さぁ、ありがたくも日頃から拙宅に遊びにいらしてくださるお方さまがた……このタイトルを目にしてお思いのことでしょう。
『まだ◯◯◯◯の続きやんのかよ!?』と。
 
 
壁|д')だって、書いてる猫木が思うもの。

 
 
そんな需要があるのやらないのやらいまいち不明な「あなたの◯◯◯◯、見えてます。」な続きっぽいものだったりしやす。
 
 
 
✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄
 
 
 
それはなんの前触れもなく突然にだった。
見えるようになったのだ、なんとも不可思議なことに蓮の目にもあのなんとも不可思議なゲージとやらが。
ぴょこんっと、向かい合った対談相手の頭の上にそれが唐突に見えるようになって……だ。
その驚愕に微かに目を見開き、だが、誰にも気付かれないままほんの数コンマの間の硬直だけで見事に押さえ込む様はまさにプロの演技者とでも称えるべきだったろうか?
それとも、自分も見えるようになりたいなんてひっそりこっそり密かに願ってしまっていたが故だろうか?
春の日差しだなんて謳われる柔らかな笑みを秀麗なその顔に貼り付けながら押しも押されぬ人気NO.1俳優として目まぐるしいスケジュールを熟す男としては、酷くとても珍しくもその胸の中でこう思ったという。
 
 
 
あぁ、はやく仕事が終わらないかなぁ……と。
 
 
 
その日、そこからの敦賀蓮の仕事っぷりはといえば、まぁ巻きに巻いた訳で。
それはもう敏腕マネージャーが「なんか……今日のお前、ちょっと怖いぞ?」なんてついつい呟いてしまう程なにっこりとした笑顔での有無を言わなさでもって共演者やスタッフ等々をはしから巻き込んでの徹底っぷりでの必死さでもって。
ドラマの共演者な自称友達思いな俳優仲間の頭の上はもちろん、主演な蓮の相手役を演じる女優たちの頭の上にだって、それはしっかりと見えた。日本人男性の平均身長から頭ひとつふたつと飛び出す高身長な蓮の目線からすれば、それは嫌でも目に入るとまで言えよう。
細く長い四角形をしたバーのようなものと、それの何割かを満たすそのピンク色が。
そんな不可思議現象がその身に起きていようとも、敦賀蓮は狼狽ない。
何故ならば、ようやっと手に入れたかわいいかわいいあの恋人から聞いていたからだ。
他人の頭の上に見えるゲージの話を。
蓮の拗れた片想いを実らせてくれたきっかけとも言える不可思議ゲージなのだ。それを話す時の恋人の恥ずかしげな素振りの堪らなさもあって、詳しく聞き出してしまっていたその話。
それを知っている蓮からすれば、自分にしか見えていないらしき不可思議ゲージがなんであるか悩んだり、そのゲージを満たすピンク色の量が何を表しているか?なんて仮説を立てる為に出会った老若男女様々な人をこっそり観察なんて必要は無くて、だ。
だから、蓮はチラチラと視界に映るようになった不可思議ゲージに気を配る事などなく、その日の忙しく詰まった仕事をこなして退けたのだった。
そうしてやっと、煩わしいだけな共演者からの誘いをあくまでもにこやかで紳士的にだがさらっと断りかわしてようやっと、自宅への帰路に着けた蓮。
車の数の多い東京の交通事情で道路交通法をきっちり守ったいつもながらな敏腕マネージャーの運転が、今夜の蓮にはトロトロと遅くまどろっこしくさえ感じるみたいな送迎を経て、自宅までほんのあと少し。
上昇する専用エレベーターの中。蓮はウキウキと弾んでしまっているテンションを落ち着かせ、無駄に高いその演技スキルを総動員する勢いでもっての必死さでもってなに食わぬ普段の自分を演じてみせようとする。
何故、そうまでって?そりゃ、最上階の蓮の自宅には愛しい恋人が待ってくれているのだ。
他人のムラムラが見えるだなんて飛んでも能力をきっかけに、多少の順番は狂ったとはいえ、蓮が愛しい想い人を口説き脅してから1年と少しが過ぎたところ。
べったりと貼り付いている筈なマスコミのカメラを完璧にぶっちぎって惑わせるのけているキョーコの驚異の身体能力と変装のせいで、残念ながら……えぇ、それはもう何処かの業界最大手事務所の看板俳優が舌打ちしたくなるくらいに残念ながら、未だに大々的に公表してアピール出来るスキャンダルにはなってはいないのだが……
蓮の部屋に置かれるキョーコの歯ブラシにパジャマや化粧品や服やらをはじめとした私物も順調にその数を増やし、「キョーコが来てくれない俺がそっちに行く」なんてゴージャスターの知名度と隠しきれぬオーラを思えばキョーコの耳には脅しにしか聞こえないみたいな願いを繰り返しに繰り返し、やっとこさ最近では半同棲と言っても良いくらいなレベルまで押し込み持っていけているのだから。
そんな蓮の自宅で待ってくれているキョーコに、まだ知られる訳にはいかないのだ!!
蓮にも、あのゲージとピンク色が見えるようになっただなんて。
数多いる世の敦賀沼に嵌ったファンはもちろん、本気で惚れさせる共演者キラーで女優やタレントメイクにスタッフ、更にはそっち系な俳優やらまで……日常的に好意を寄せられる事の多いモテ男。
だがっ!その実態たるや、恋した相手に存在を抹消される事を恐れるがあまりにろくに口説けてもいなかったくらいに拗らせきってしまっていた男なのだ。
他の誰がいつ何処でどれほどムラムラしていようが基本どうでもいいが、それが恋しいキョーコのものとなるば話は別物となる。
恋人が自分にどれくらい欲情してくれているか……なんて、そんなの、知りたくないとは口が裂けても言えやしない。
本音をぶち撒けると喉から手が出そうになるくらいに知りたくて堪らない。
だが、ムラムラ解消の一夜限りでいいなんて思い詰めて特攻してくれた癖に、未だ初々しく奥手な所を残しまくりな純情乙女。
自分の性欲が蓮に見えてしまっているだなんて知れたら…………光の速さでもって逃げられるとしか思えない。
だからこそ、蓮は自宅玄関の扉を前に、いま一度ぺしぺしと軽く自分の顔を叩いて引き締めてみせるのだった。
開いた扉の先には暖かく灯る照明と漂う食欲をそそるお味噌汁のいい匂い。
パタパタと軽いスリッパの足音と共に蓮を迎えてくれる恋人の愛くるしいハニースマイル。
「ただいま」と「おかえりなさい」なんてほわりと幸せになるみたいな挨拶を交わしながら……
さり気なく。そう、あくまでも何気なくちらりと蓮の視線がキョーコの栗色の髪の少し上へと向けられた。
期待した通り、そこにも件のゲージとピンク色がしかりと蓮の目に映る。
それを確かめたその途端、ドクリと蓮の心臓が大きく跳ねた。
 
 
 
キョーコって…………意外に。
 
 
 
 
 
 
蓮の胸を満たしたのは、驚きと喜び……そして、ぞわりと背中を震わせてしまいそうなくらい急激に高まる狂おしいまでの衝動だった。
 
 
 
 
✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄
 
 

壁|д')ありがたいことにいくつかいただいていたのですよ。蓮くんにも見えたらどうなる?的なお声。
が、まぁ、所詮は猫木めにでございますのよ?←


 
さぁ、蓮さんにもピンク色が見えちゃって。
そんで、キョコさんや意外にも……?
 (・∀・)ニヨニヨ
 
 
なーんて、そんなお話だったりする予定です。
あんまり長くならないといいなぁ……なんて思ってはいたりですが、どうぞなまぬるーぅくお付き合いをばお願いしまっす。
_(:3 」∠)_
 
 
 
次回、いきなりピンク色……やも?
 
 
↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。

 
web拍手 by FC2