猫木の変な挑戦『いろんな敦賀さんを書いてみよう。』

困惑混沌の朝。reverseから派生する続きのひとつ?なのかもしれないこのシリーズの超絶番外編的なもの一途ではあるらしき彼と代理人たる僕。の続きだったりします。

 

 

そして先に謝らせてくださいませ。

この話、いただいたネタをいつもよりも別ものなまでに大いに捻じ曲げてしまっております。ごめんなさい。

また、猫木に専門的知識はなく、ねつ造もりもりなんちゃって雰囲気な変てこ内容となっております。

それでも良いよー☆なお方はどうぞ、よしなに……

_(:3」z)_

 

 

 

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案内されたのは郊外のとある住宅地の一角にあるこじんまりとした一軒家だった。
所属先の社長が所有する物件のひとつであの子の潜伏先なシェルターとしての安全性は主人の肩書きに掛けて保証すると、ここまで案内してくれた青年(何故か黒の燕尾服な本格的執事姿だった)は言った。けれど、そもそもその主人たる人物の肩書きとやらが『愛の伝道師』なんていまいち信用出来ないようなもので……
通されたリビングルーム。
待っていたのは、硬い表情をしたあの子だった。
どうぞと進められた椅子へ腰を下ろすと香りの良いコーヒーがテーブルの上に差し出される。本来なら、ここで今日の訪問の目的や自らの立場を明確にしてみせるところだけど……そうしてみせようとは思えなかった。
名刺入れは鞄の奥底に押し込んだまま。いっそ胸に付いた向日葵と天秤のバッヂも外してやりたいくらいだ。
 
 
 
 
「……………………。」
 
 
 
 
対面して座るあの子。きょときょとと落ち着きなく泳ぐ視線。
「あの、今日は、その…………敦賀さんの代理人として来て……くれた……んです、よね?」
恐る恐るのしどろもどろな声。
あの男の名前に……腹の中に燻っていたような不快な苛つきが込み上げてくるようだ。
あの男っ!同じ事務所に所属する弁護士が受け持った案件の、それも対立する調停相手の代理人なんて通常では受け入れられる筈なんてないなんて常識はしっかりきっかり理解していながらしれっとした顔で、それもよりにもよって私に代理人を頼むだなんてっ!
しかも、断ったらどこか別の弁護士に依頼しないとって、わざとらしくもスマホで近辺の弁護士事務所の検索なんてしてみせるのよ?あの目立つ顔と大きな図体と派手な車で?敦賀蓮が飛び入りで弁護士事務所へ?……守秘義務があるって言ったってマスコミにでも嗅ぎつけらたら、その敦賀蓮に追いかけ回されているあの子がどうなることか……わかってるでしょうにっ!?あんなの脅しと一緒じゃないっ!!
ぎっと、膝の上の手に力が入って爪が手のひらに食い込む。藤堂さんに言われなくても眉間にシワが出来てるのが、自分でもわかる。
だいたい、藤堂さんも藤堂さんだわ。敦賀蓮が依頼してくるまで、キョーコの代理人を受けたって一言もないだなんて!いくら守秘義務があっても私はこの子の……
「……さん?…………お母さん?」
窺うようなその声に、はっと顔を上げる。
黙り込んだままどうしたのだ?といった表情のキョーコ。顔色が悪いようにも見えるし……メイクで誤魔化してるけどうっすらとクマがあるように見える……そうだ。何よりもまずは確かめないといけなかった事が……
「本当に、合意で……のこと、だったの?」
コクリと息を飲んだ後、喉から飛び出したのは自分でもびっくりするぐらいに硬い声。
どんな些細な変化も見逃すかと、見つめたキョーコの顔。
「は?……え、あの、ぃえ」
はっきりとした返答が返って来ないまま、泳ぐ琥珀色の眼。
「まさか……無理やりっ!?」
敦賀蓮!あの男っ!!なにが『言葉が足りていなかったのは認めますが、決して彼女に手を上げたりなどはしていません。出来ませんよ……最上さんに嫌われてしまうのが何よりも恐ろしいですからね。』だ!!腕力に物を言わせなくったって、先輩後輩の関係を笠に着て断れないように口八丁で丸め込んでたり…
「いいえ、敦賀さんはちゃんと優しくしてくださいましたっ!!」
唐突に叫ばれた否定。
言い切ってから、その言葉のあからさまな内容に思い至ったのだろう。瞬時に真っ赤に染まる顔。
頭を抱え込むみたいに椅子の上で身を縮め、ごねごねとのたうつみたいなキョーコは耳まで赤いが……敦賀蓮への嫌悪感は、ない……ように見える。
気まずい沈黙にこほんと咳払いをして、本来の代理人としての話へと戻す。
「慰謝料な正式な念書などを求めるつもりなない。あなたが誰に口外しようとも構わない。もちろん、芸能界からの引退も求めない……だそうよ。」
当たり前でしょう?そもそも、そんな事をキョーコ側から言い出すのがおかしいのであって、そんな事を請求されたりなんてあり得ない事なのだから。
なのに、心底驚いたみたいに目をまんまるにしているキョーコ。
「え?…………でも、敦賀さんは……私の顔も見たくない筈で……」
「逆に、おはようからおやすみまでそばで顔を見ていたいくらい……だとか言ってたわよ。」
あぁ、あの似非臭い笑顔を思い出すだけでムカムカとする。
なにが『念書ではない書類にならサインと捺印してもらいたいぐらいです。あぁ、確か保証人が二人必要なんでしたっけ……お互いの代理人に頼むっていうのもいいですよね?』だ。見るからに口がうまそうだし、信用ならない。
「ひっ!……24時間監視体制を整えないといけないくらいの危険人物だと思われて!?」
何がどうしてそうなる?
ガタガタと怯えているのは、何故なのか?
「あなたが請求するのならば、慰謝料として全てを差し出す。また、あなたが依頼人の顔も見たくないと言うのなら、依頼人これから先の芸能活動の一切を停止…」
「敦賀さんが役者を辞めるだなんて、とんでもないっ!!」
遮るみたいに叫びながら、ガタッと椅子から立ち上がるキョーコ。そこから朗々と、如何に敦賀蓮が素晴らしく代え難い役者であるかを、まるでスピーチみたいに語る。
演技の神!我が主とさえ讃えるその姿に……洗脳でもされてるんじゃないかって不安になった。
だって、あの男。キョーコが求めるのなら芸能界を引退するだなんて言った時、正直なところその本気を疑った。
だって、あの敦賀蓮なのだ。芸能界にいまいち詳しくない私だってそのスケジュールが年単位の先まで埋まっているだらう事くらいはわかる。様々な契約に縛られた仕事だ、そんなに簡単に引退など出来るものか……って。
なのに、あの男は言ったのよ。
『そうですね、何かの不幸な事故でもあって顔か身体に取り返しの付かない傷でも出来れば…………あとは違約金だけでなんとでも。』
と。人ごとみたいに……その癖に恐ろしくなる程の真剣な眼で。
キョーコが心から望むのなら、これまで積み上げたキャリアとこれから先の輝かしい未来も惜しくはないとでも言うみたいに。
ぞっとするような、敦賀蓮がキョーコへと向ける執着。
本当に、大丈夫なのだろうか?
脅すみたいな形で私を敦賀蓮側の代理人に仕立て上げることでキョーコの逃げ場を塞いで囲い込み、その上ある意味での母親公認……な形へと持って行こうと企むような強かな男なのだ。
幼馴染みに騙された前科のある騙されやすいキョーコのこと……外堀を埋めるみたいに巧妙に、気が付いたらあれよあれよと人生ごとべったり絡めとられてしまいそうだ。
気をしっかりと持て、敦賀蓮には気を付けろとでも釘を刺しておくべきだろうか?
でも、どのツラ下げて?
男に騙されてキョーコを産んだあげくに母親らしい事のひとつもしないで拒絶し続けておいた私が、いまさら?
ふと気がつくと、役者敦賀蓮を讃える演説は止んでいて……
俯いた顔と落ちた肩。テーブルの上には祈るみたいに組まれた指。
 
 
 
「……敦賀さん」
 
 
 
小さく小さく呟かれた名前。震えるその声に乗るのは、強く恋しいと言うかのような感情。
きゅっと切なげに寄せられた眉。
あぁ、もう本当にバカバカしい。そんなところばかり似なくたっていいじゃない。
はぁっと、肺からため息を吐き出すと、最後に依頼人からこれだけは伝えて欲しいのだと頭を下げられた彼の言葉をキョーコへと告げた。
 
 
 
 
 
「俺の気持ちを決めつけたまま、向き合うのを怖がって逃げるのなら……例え君が芸能界を辞めようとも、草の根分けてでも探し出すよ?」
 
 
 
 
 
 
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| 壁 |д・)……まさかの冴菜さん視点。
 
 
 
そっちが弁護士を代理人に交渉して逢ってくれないらなら、こっちはキョコ母を代理人に。
んで、俺の事が嫌いで逢いたくないならまだしも、俺の気持ちを決めつけて逃げるつもりなら……許さないよ?な、メッセージを送りつける蓮さん、みたいな……
無理くりのーぷらんを、藤堂キョコさんズVS冴菜蓮さんズ(ただし、キョコさんからの蓮くんへの好意が確認出来なかった場合は即座にみんな敵に回る)で、あたかも最初っから計画していたかのような対となった感じに……少しくらいはなってたらいいなぁ。←後付けばりばり
_(:3」z)_
 
 
 
んで、この後の冴菜さんは心配なあまりにちょこちょことキョコちゃんと接触を計ったりとか
敦賀蓮のそばな芸能界から遠避けられるようにに……あの子の頭を撫でてあげるべきなの?どんな顔して?みたいな苦悩とかして、そこを藤堂さんに目撃されてからかわれたりして欲しいっす。
ァ,、'`( ꒪Д꒪),、'`'`,、
 
 
 

↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。

 


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