猫木の変な挑戦『いろんな敦賀さんを書いてみよう。』
困惑混沌の朝。reverseから派生する続きのひとつ?なのかもしれないこのシリーズの超絶番外編的なものとなっております。


そして先に謝らせてくださいませ。
この話、いただいたネタをいつもよりも別ものなまでに大いに捻じ曲げてしまっております。ごめんなさい。
また、猫木に専門的知識はなく、ねつ造もりもりなんちゃって雰囲気な変てこ内容となっております。
それでも良いよー☆なお方はどうぞ、よしなに……
_(:3」z)_



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指定された待ち合わせ場所は事務所の応接室らしき一室だった。
相手のスケジュールによっては多少は待たされるかもしれないと思いながら案内されたそのドアをノックすれば、意外にも中から低い声での答えがあった。
ソファーから立ち上がり頭を下げる男。
そういえば、この男のデータの中に『無遅刻キング』とのあだ名があった事を思い出す。
そして、胸ポケットから名刺入れを取り出し、この訪問の目的と自分の身分とを告げた。




「どうも、はじめまして。最上キョーコの代理人を務めますウィリデ法律事務所の藤堂奨です。」




コーヒーを運んで来てくれた青年(何故かアラビア系の民族衣装を着ていた)が部屋を出て行ってから、ひと息の間を置いて……
依頼人よりの提案を提示する。
あの娘が僕を通してこの男へと提示するとてもおかしなその申し出のすべてを。
「…………以上の内容について不安があれば、正式に念書を製作し署名する。また、依頼人と顔を合わせたくないとの申告等があるのならば、依頼人は芸能界での活動からも退き、精神的慰謝料の請求が有ればそれに従う意である。」
この手の事案では、後で言った言わないなんていざこざのないようにと制作する紙での証拠となる書類。
テーブルの上、男は差し出したそれに目を落とす事もなくただ沈黙を通していた。
目の前の男の表情を眺め、眼鏡のブリッジを押し上げながら思う。
やはり、最上の娘だと。
キョーコちゃんがわざわざ僕を通してまで持ち掛けた内容のその不可思議さ。
抱かれたい男NO.1だなんていわれている俳優との酒の勢いでの一夜、その全てを決してマスコミ等はもちろんのことその他の誰にも口外にしたりしない。そして、敦賀蓮が望むのならば二度と目の前には現れないと……慰謝料さえ用意するとキョーコちゃんは預金通帳さえ僕に提出する勢いだった。
おかしな話だろう?
身長190センチの鍛えた男を相手に、いくら酒に酔ってたって細身の女性が無理矢理にどうにか出来るとは思えない。
本来ならば、彼女が請求する方でないのかってものだ。相手にとって弱みがあり過るのだから。
やりようによっては俳優として致命的なまでのスキャンダル騒ぎだって引き起こせるだろうに。
「これより先、依頼人が貴方へ……そう。例えば妊娠出産によっての認知や養育費等の請求などする事はない…………あぁ、ご安心を。依頼人は現在、妊娠してはいません。」
妊娠出産とそう口にした瞬間に、はっと顔を上げた男。キョーコちゃんが妊娠していないと告げた瞬間、寄せられた眉と膝の上でギリっと強く握り締められた手。
あからさまにほっとした安堵の表情を浮かべないだけ、まだマシか。
奥歯を噛み締め耐えるような顔をした俳優は、それでもまだ沈黙を守り続けている。
理解しているからなのだろう……一夜が明け俳優が目を覚ますよりも前に部屋から逃げ出し、そしてそれからずっとこの男から逃亡し続けているキョーコちゃんへとたどり着くにはこちらの申し出の全てに耳を傾ける他にないのだと。
「僕はね……どこの馬の骨とも知れない男の血を引くあの娘を憎らしくも思ったけれど、でも、それこそあの娘が3歳の頃から将来的に『格好良い』と思われたいくらいにはかわいく思っていてね。」
ずり落ちてもいない眼鏡のブリッジをもう一度押し上げて、幼い頃からの知り合いだということに驚いたのか少しだけ目を見開いてみせている俳優と目を合わせながらそう告げた。
あぁ、それはもう……この依頼を受けた時、キョーコちゃんが望むのならば自分の持つ社会的地位やツテその他諸々の全てを使ってでも目の前のキョーコちゃんを追いかけ回しているこの男を、全力で社会的な死へと追いやろうとは思うぐらいには。
けれど、依頼人の望みが解らないと依頼を受けられないと……男絡みでは母親に頼む事も出来ず、かと言って他の馴染みのない弁護士等へ頼む訳にもいかずなキョーコちゃんを脅すようなマネまでして無理矢理に聞き出した彼女の望み。
敦賀蓮の俳優としての立場を守る為に一方的に全てを差し出し、その癖に彼には決して告げるつもりのないだろうキョーコちゃんの願い。
『神様がひとつだけ許してくださるのなら…………どうか、忘れないでください。』
小さな小さな声でつぶやかれたそれは、肌を重ねた一夜の夜をだろうか?それとも、彼女自身をだろうか?
憎まれても嫌われてもいい。けれど、どうか貴方の中から『私』をなかった事にしないでください。
母親に認められる女優になれたら頭を撫でて欲しいと、そう言っていた芸能界からさえ身を引く程の覚悟。
膝の上で祈るように組まれていた細い指も声も震える程の強い思慕。
なのに、大きな琥珀色の瞳には涙のひとつさえもなく。
きゅっと寄せられた眉を見て、やっぱり最上の娘なんだな……と、そう思った。



「依頼人最上キョーコは、貴方からの意の全てに沿うとの事ですが…………彼女へ何を望みますか?」



返答の内容のいかんによっては、眼前の男を僕の人生での揺るぎなき『敵』へとカテゴライズする腹づもりでの、最後の問い。
まっすぐに合わさったまま微塵も逸らされずにいる黒い瞳。
そこに映るのは、必死なまでに真剣な色。
どうやら一途でらあるらしき男が望んだのは、ただひとつ。





「彼女に……キョーコさんに逢わせてください。」






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| 壁 |д・)……まさかの藤堂さん視点。



そんなこちら。↓拍手コメントにて匿名希望さまよりいただきましたネタ

「何らかの用事で部屋に来る藤堂さんもしくは冴菜さん。」

を、捻じ曲げた成れの果てにてございます。
蓮キョコさんなおふたりしか登場しない予定で書き始めたこのシリーズゆえに、第三者をキョコさんのお部屋に引っ張り込むのが難しくて……
無理矢理に藤堂さんを絡めるなら、こんな感じかな……と。
あたふたする蓮さんも青褪めるキョコちゃんもいなくなってしまって、ほんとごめんなさいでしたー!!
_:(´ཀ`」 ∠):



ベットから逃げ出したまんま、どうにか捕まえようとする蓮さんを避けつつ……
弁護士を通して、迷惑かけたりしないし誰にも言わないって念書も書くよ!顔も見たくないなら芸能界も辞めます!なんなら精神的慰謝料も出しますゆえにっ!!
なキョコさんの代理人な藤堂さん。
と、そんなものはいらないから望みはただひとつだけ。キョコちゃんと逢わせて欲しいって一途必死な蓮さん……みたいな?
キョコさんの雲隠れ先を聞き出して捕獲へ向かうだろう俳優と、ある意味架け橋的な弁護士。
んで、藤堂さんがまだ冴菜さんGET出来てない癖にこの先なにかと「父親づら」して蓮くんにチクリチクリ絡むようになったりするとおもしろいかと……
将来的にキョコちゃんたちに冴菜さんの孫なベビーが出来た時とか、蓮くん経由でこっそり写真やらムービーやらを横流しさせたりとかするの。
ァ,、'`( ꒪Д꒪),、'`'`,、



↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。

 


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