あけましておめでとうございます。
猫木は、年明けそうそうに娘っこな猫が体調崩してたいへんでした。娘っこは今は元気です。
皆さまはよいお年始をお過ごしでしょうか?



さて、本日のこれはお正月な時期ものっぽい話を装いつつも、きっと今年も我が家はこんな感じ……な、あほ話にござーい。
(*´Д`*)



✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄




「………………むぅぅぅぅ」



ここは、狭い島国民の住宅事情に真っ正面から喧嘩を売りつけるかのような、一人暮らしな物件にしてはふざけた敷地面積を誇る高級マンション最上階ワンフロア独占なる某人気俳優の自宅。
そんなこの部屋の主人たる男といえば、書筆を片手にむぅむぅと真剣に悩み考え込んでいる晴れ着の少女をそれはもう楽しげに……そして、むぅと尖らせた唇からたすき掛けにされた袖から覗く細い腕や筆を取る白い指の先までもがたまらなく愛らしいと語るかのような甘やかな瞳をして見守っていたのだった。
有能なるマネージャーが奔走して作り出してくれた、珍しくも丸一日オフなせっかくの正月休み。
どうせならお正月っぽい事がしたい、そんな先輩俳優からの願いをラブミー部への依頼と変換したらしきキョーコ。
だるま屋で作ったおせち入りのミニお重を抱え……そして、その胸にひっそりと秘めた蓮への想いを隠しつつもせっかくなのだからと、おもしろがる事務所のラブモンスターが嬉々として貸し付けてくれた晴れ着姿でもって着飾って俳優の自宅を訪れたのであった。
女将さんに着付けを手伝ってもらった振り袖姿のキョーコに、一瞬だけ無表情を見せたりなどしていた蓮。
美味しい御節を一緒に食べたりしながらも非常に癒されるまったりとした時間を過ごしていたのであった。
『初詣にでも行こうか?』
キョーコへと、密かにデートへと誘うつもりで有名どころな神社の名前と共に蓮がそう投げかけた提案は
『ご自分の人気を解ってらっしゃいますか?群衆に取り囲まれて身動き取れない大混乱になるに決まってます!!』
と、コスメマジックナッシングでは一般ピーポーな私とは違うんですっ!なんてキョーコに苛烈に反対されてしまって…………
キョーコとのスキャンダルならば馬の骨対策に持ってこいで大歓迎ですな、蓮の心情など置いてきぼりにしたキョーコは言ったのだった。



「今日は1月2日ですからね、書き初めを致しましょう。」



書き初めとは、年明けに初めて書く書のことである。2日に書くのが習わしであり、この日に書くと書道が上達するといわれている。
…………の、だが、とある事情により日本人を演じてはいてもアメリカ育ちである蓮。
一年の初めに願いなどを書けば良いのだと、そう言われても一般的にはどういったものを書いたものかもいまいちよくわからないで、どうしたものかと戸惑ってしまうであった。
けれど、そこはそれ。キュラっとした笑顔と口八丁で煙に巻くのはお手の物となっている男である。
「んー、書道ってあんまりやったことないんだよね。最上さん、お手本見せてくれない?」
と、そうしれっとキョーコへと頼んでみせたのであった。




そうして、ここでシーンは冒頭に戻る。
『敦賀教徒、募集中』やら『敦賀新年』など、達筆な美筆で書き上げては蓮に却下されてしまい、白紙な半紙を前に悩みに悩んでいるキョーコ。
そして、そんなキョーコもかわいいなと爛れた事を思いつつも眺めていた蓮。
ぴきょりっ!!っと、頭上に光る電球でも浮かぶかのようなキョーコの晴れやかな表情。
さらさらっとキョーコの手により半紙の上を走る筆。
書き上げられたものをパシッと両手に持ち、蓮へと掲げるように見せたのであった。
今年の抱負です!と、自信満々にぱりっとした薄い白紙に黒い毛筆にて書き上げられていた文字こそ……




『キョ突猛進』




なる、謎ワードである。
馴染みのありもしない見知らぬその言葉に、クエッションマークを美貌の上に浮かべた男。
「今年は亥年ですからね。猪突猛進、周りを見る事なく突っ走る迷惑な人、なんて意味で使われてますが、真っ直ぐに目標へとひた走る!といった前向きな意味で……キョーコのキョで、猪ならぬキョ突猛進で目標へとひた走る姿勢を表したつもりです!!」
ふにゃりっと、蓮が思わずどうしてくれよう?と思ってしまうような照れたかわいい笑みを浮かべながら、えへんとそう蓮へと告げてみせているキョーコ。
「……最上さんの目標って?」
猪なまでのがむしゃらな真っ直ぐっぷりでもってキョーコが向かう目標へと小さく胸を燻る嫉妬を覚えながらも蓮がこぼし問うたそんな質問へ。
キョーコは当たり前のように答えたのだ。



「もちろん、敦賀さん…」



の、ような素晴らしい役者です!!と、そうキョーコは続けるつもりだったのだ。
しかし……振り袖姿のキョーコ。それも、脳内名医が匙を投げてしまいそうなくらいに……俺のこと、少しは男として意識してくれてる?なんて思ってしまうくらいに愛らしく頬を染めたキョーコとの、お正月の自宅デートな現状に浮かれきってしまっていた蓮は、キョーコの言葉を遮りその甘く低い声で告げる。



「うん、じゃぁ……おいで?」



さもこの胸な飛び込んでおいでと招くようにその両の腕をキョーコへと開いてみせながら。
へ?ぇ……へぅ???と、唐突なる魅惑の敦賀セラピースポットへのいざないに頬を赤く染めながら身動きもできないままで戸惑って立ち竦むキョーコ。





蓮は思うのであった。
一年の計は元旦にあり……だっけ?今日のお休みをもらう為に、年明けから睡眠もろくにないままで仕事詰め込んできたんだから……まだ元旦みたいなもんでしょ?などと、寝不足ぎみな頭で考えながら
それこそ、猪みたいなキョ突猛進の勢いで飛び込んで来てもらっても全力で受け止めてみせる愛しい愛しいキョーコを胸に抱き締めようと、腕を伸ばしたのだった。





✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄



ほらね。やっぱりいつものあほ話。
_(:3」z)_


そんな猫木ですが、今年もどうぞ見捨てずになまぬるぅーくよろしゅーにお願い致しまする。


↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。

 


web拍手 by FC2