パラレルですぞよ?
 
 
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気付いてしまった……自分の気持ちに。
蓮と久遠には、絶対に気付かせちゃいけない想いに。
そんなどこまでも自分勝手な、自分が嫌で堪らない。
ぐにゃりと歪んだ視界が揺れているみたいで気持ちが悪い……。
俯いた私なんて知らないで、手当ての終わった蓮と久遠はクーパパに参ったって言わせた後どっちが先に殴りかかったかなんかで揉めていた。
ぐじっと鼻を鳴らしたりなんてしないように小さく細く息を吸い込むと、感情の乗らない声でふたりにお小言を落とす。
「蓮も久遠も……そんな事で学校サボったりしちゃダメなんだからね?」
これでこの話は終わり、まるでそう告げるみたいにカタンッと固い音を立てて救急箱の蓋を落として立ち上がろうとした……けど
 
 
「そんな事なんかじゃない。キョーコちゃんが泣いたから……だけじゃなくって、キョーコちゃんのそばにいる為なら何だってする。」
 
「もうキョーコちゃんを置いていったりしない。キョーコちゃんのことが…」
 
 
私の両手を掴む久遠と蓮のひやりと冷たい大きな手。
記憶にある幼い声よりずっと低くなった声のその言葉の先を……聞いてしまえば後戻り出来ないような致命的な気がして遮るように叫ぶみたいに吐き出した声。
「嘘っ!だって、心に決めた大事な人がいるって……アメリカに彼女がいるん、だよね?」
ズキズキと痛むのが胸なのか頭なのかもよくわからない。
だけど……よかった。昔っから……ひとりにしてってほうっておいってって言ったって、本当の本当に私が寂しいって泣きたい時は……何があっても、ずっと一緒にいてくれたおとなりの優しいわんこな男の子たち、いつまでもその優しさに年上の私がつけ込む訳にはいかないもの。
鼻の奥がツンと痛むけど、泣くのは絶対に蓮と久遠に見つからないように。だから、手当ても終わったことだしふたりのでろでろな汚れ具合を指摘しておとなりに帰そう……
顔を伏せたまま口もとだけで無理やりに薄く笑ってみせる、この話はもう終わりってふたりにそう伝える為に。
 
 
「アメリカに彼女なんていない!」
 
「ずっとずっと特別で大事な女の子はキョーコちゃんだけよ。」
 
 
久遠と蓮の言葉から耳を塞ぎたいのに、ぎゅうって痛いくらいに握りしめられた手。
瞼を閉じた眼球が茹だったみたいに熱い。
 
 
 
 
 
呼吸の仕方さえ忘れてしまったみたいに苦しくって、声が出せないまま、ただ首を左右に振るう。
駄目なんだって……
 
 
 
 
 
「それは……光さんがいるから?」
静かに落とされた久遠の声に、もう黙ったまま一度首を振る。
「俺じゃ、駄目?まだ、キョーコちゃんの弟のまま?」
目を瞑ったままなのに、あの置いてかれるわんこみたいな表情をしてるんだって分かるみたいな蓮の声。
左右に振っていた頭を止めると、ぐにゃって床が波打ったみたいな感覚がした。
滲んだ涙を拭う優しい指先。
 
 
 
 
 
「ち……がぅのっ……だめ、なのは……私…」
 
 
 
 
そう。駄目なのは私の方。
だって…………
 
 
 
 
久遠のキスも、蓮からのキスにも
同じくらい……胸が痛いくらい鳴るもの
 
 
 
 
 
どこまでもこんな酷い私が、悪くって駄目なの。
双子だからって一緒にしないで、久遠を久遠として、蓮を蓮として
見て欲しがっていた、ふたりなのに
知っていたのに…………
こんな私じゃ、絶対に駄目
 
 
 
 
 
泣き過ぎた後みたいにガンガンと頭が痛む…………くらくらする
ふつりと目の前が真っ暗に
 
 
 
 
 
 
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三つどもえって……むずかしぃ。
今さらなんだけど、なんでそんな難しいの猫木なんぞが書いてるだろう。書けるとでも思ってたんだか…………
_:(´ཀ`」 ∠):
 
 
 
次回、夢うつつ。←のーぷらーん☆
 
 
 
↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。

 


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