あめばさんが「仮装診断」なるものを
やっていたので試してみたら……
でした。
ただ、そっからないつものかるーい
思いつきと勢いの中身ナッシングなものと
なっておりまする。
(*ΦωΦ)
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男は酷くイラついた様子であった。
ただでさえ、人混みと喧騒の絶える事のない街により一層に溢れている騒音。
本日、10月31日。ハロウィーンである。
しかし、この国ではもはや悪霊を追い出し秋の収穫を祝うケルトの収穫祭の名残りなどなく別ものな祭へと変貌を遂げたようだ。
当日よりもその前の週末が本番とばかりな程ではあれど、当日な今日もカボチャの着ぐるみからドラキャラや魔女、はてには何故ゆえなのかアニメのキャラクターらしきコスプレなんてものがあちこちに溢れかえっている。
この国でも指折りに有名であろう待ち合わせスポット。いつもであれば犬の銅像の周りには待ち合わせなのだろう人々がわんさといる筈なそこに……男はいた。
ある意味では今日の街に馴染むかのようなロングジャケットから靴先に至るまで全身真っ黒な黒尽くめコーデの男。
足もとにはタバコの吸い殻の山。苛立たしげにゴツい革靴が絶えずにゴツゴツと音を立て、ボサついた黒髪から覗く鋭い眼光に浮かぶ色は酷く凶悪にして凶暴。
彼からすれば普段着なのだが……「シリアルキラー」のコスプレだと言われれば納得してしまいそうな佇まいに、男の周りには人っ子ひとりとして近づくものはいなかった。
強く噛んでいた短くなったタバコを吐き捨て踏み潰した彼、カイン・ヒールは見たまんま酷くイラついているのだ。
何故ならば、仕事を終えて住みかとしているホテルに戻ってみれば彼を待っていてくれる筈のカインの唯一にして最愛の妹の姿はなく……ただ一枚のメモのみがペラリとホテルのベッドの上に置かれていたのだ。
『お前のかわいい妹は預かった。返してほしくばハチ公の前で待て。』と、そう書かれていたメモには彼も見覚えのあるあのお祭り騒ぎ大好きな愛の伝道師のサインが。
今度は何をして遊ぼうとしてるんだ、あの人は?とは思いつつもカインとして妹を待ち続けている男。
……カツンと、ヒールの音が近づく。
あからさまに殺気立った危ない男へと余りにも無防備にまるでそれが当たり前だとでもいうように近づくひとりの少女。
彼女の姿をのそりと気怠げな動きでその目に収めた彼は、その身に付いた俳優としてのスキルを発揮してピクリとも表情を変えずにいながら心の中で頭を抱え、なんて格好させるんですかっ!?と脳内にて傍迷惑な雇用主に文句をつける。
彼女もある意味では、この時期の乱痴気騒ぎなコスプレ集団にも馴染むかのような姿をしていた。事務所の社長とミス.ウッズに遊ばれたのだろう…………
彼女、雪花・ヒールの本日の装いはナース服なのであった。
何故か下乳ギリギリな危うい場所やら腹チラな脇腹やらを引き裂かれた上、あちこちに血で赤く染まった入った白のナース服は彼女の美脚をこれでもかっ!とアピールするかのようなミニ丈で、ジャケットの代わりとでもいうのかこれまた所々に血のペイントされた白衣を羽織っている。
ご丁寧にも首には聴診器まで掛けていた。
「お待たせ……兄さん。」
そのままカツカツとベンチに座る男のもとへと近づくと、ぺたりとカインの頬へと何かを貼り付けた。
「うん、かわいい……あと、これもあるのよ?」
グロスの濡られた唇のチェーンのリングピアスを揺らして満足気に笑い、凶悪な男からは程遠いような感想を告げたセツカ。
おまけとばかりに兄の首にはダークグレーのもふもふで目つきの悪い牙の生えた犬の顔が3つ付いた、いつかのあのケルベロスなマフラーを巻き付けてみたりなんてしている。
「……なんだ?」
何をしてるんだとばかりなカインの言葉にセツカは白衣のポケットから髑髏なフレームの手鏡を取り出すとカインに向けながら答える。
「何って……いたずら?」
とそう楽し気に告げる妹の手にある鏡には、彼女が貼り付けた黒い狼のタトゥーシールが貼り付けられた男の顔。
「なんにも言わずにいきなりか?」
普通であればハロウィンの定型文「Trick or Treat」と、お菓子をくれないといたずらするぞと宣告してからだろうとそう言うカイン。だが
「だって、兄さんがお菓子なんて持ってる筈ないもの。」
タバコはお菓子じゃないのよ?とほっておけば山を作るかのように吸ってばかりな兄を諌めるセツカ。
甘味の類になぞ興味もなければ、ましてや持ち歩く筈なんかないだろうカイン。お菓子なんて持ってる筈ないんだからいたずらしていいのだとセツカはにんまりと笑う。
ふむ……と、思い付いたかのようにカインはジャケットに突っ込んだままだった手を引き出すと、セロファンを剥ぎ取った何かを妹の口へと差し出した。
それは、ジャックオーランタンをかたどったロリポップチョコレート。
セツカの口に持っている筈がないと言われたばかりなお菓子をねじ込んむと、そのままセツの細い腰を抱き寄せて男は言った。
「Trick yet Treat 」
ニヤリと悪く笑って。お菓子はいいからいたずらさせろ……と、そう。
男の色香が滲み出るかのようなこの男に掛かれば、ハロウィーンの決まり文句な筈のいたずらの言葉さえどこかいかがわしくさえ思えるかのようだ。
そんな返しをされるとは思ってもいなかったらしきセツカ。それでも
「なぁに……兄さんもアタシにシール貼りたいの?」
と、予備なのだろう黒猫のタトゥーシールを白衣のポケットから出してくるのだけど……
カインはそのシールを受け取ることのないままのそりと立ち上がるとセツカを腕に捕まえ、ピンクプラチナの髪を撫で付けその細い首へと唇を寄せた。
チリッとした小さな痛みとちゅぅ…と、耳に届く肌を吸う唇の音。
「いらん。印くらい、自分でいくらでもつけれる。」
かわいい妹の首すじに、赤い独占欲の痕を仕返しないたずらとして刻み付けたカイン。
ローテーションアウトローらしくなく、はくはくと唇を動かしているセツカの赤く染まった頬に満足気に笑うとそのまま彼女の腰を抱いて歩き出す。
「ついでだ。お前の服でも買いに行くか。」
勝手にそう決めるカイン。
最愛の妹がやっと腕に返ってきたというのに男の苛立ちは未だに収まってはいない。
カインは気に入らないのだ。
かわいいかわいい妹のむちプリで……彼が密かに触りたいと切望する綺麗な脚が、ナース服に赤いガーターベルトと編みタイニーハイなんて見るからに美味しそうな状態で馬の骨の目に晒されているのが、どうしても。
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ヤンデレナースなら、キョコちゃんよりもナツよりもセツカだろうと!!
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そう思って、何故か猫木はあんまり書いてないカインとセツカなお話にしてみたつもりにございましたとさ。
なんで都合よくタトゥーシールやらロリポップチョコやら持ってたのかとかタトゥーシールはそんなぺろっと貼れるようなもんじゃないとかは……ほら、全部ローリィ社長が手を回したとかでなんとかこう……誤魔化してくださいまし。
しっかし、敦賀さんの手にかかると途端にいかがわしく聞こえる気がします……いたずら。
きっと猫木だけではありますまい。
↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。