はぅぅぅぅん♡
惨劇を予想してぎゅっと瞑っていた目を恐る恐るに開き……そして、驚きに目を見開いた。
自分の目に映るものが事実だと信じられなくて、思わずぐしぐしと目をこすってみたりもしたんだけれど……寸分変わらずに当たり前みたいにそこにある現実にパチパチと瞬きを繰り返す。
だって!だってだって信じられないんだもんっ!?
敦賀氏に絡みつかれていた親ビンのピンチ。
そんな親ビンと敦賀氏の間へと颯爽と飛び出して行った小さな影。
防護スーツもサングラスも装備すらしないままであの敦賀氏の殺人光線スマイルを前に、それも親ビンを捕獲してのキラキラ出力過去最大規模のあの恐ろしい光を浴びて…………浄化もされず干からびる事さえないどころか、うっとりにこにこと微笑んでいるだなんてっ!!
親ビンだって眩しくて目を逸らすっていうのにだ!?
親ビンの頭の上にちょこんと乗っかっているあの子は…………唐突に目の前に現れたその子をまじまじと見つめる敦賀氏の黒い瞳とバチリッ!と目が合うと赤く染まった頬を恥ずかしがって両手で顔を隠しながら言ったのだった。
 
 
 
 
『はぅん、敦賀しゃん……かっこいい♡』
 
 
 
 
そこからは、もう敵なしなまでの独壇場だった。
そう、敦賀氏の殺人光線スマイルを浴びてさえうっとりけろっと平気な顔をしている彼女は、あの日に消えてしまったと思われていた親ビンのピュアな気持ちの結晶、ピュアキョ!!
我ら怨キョと同サイズなミニマムちんまりっぷりに、愛らしく結われたツインテールと真っ白なワンピース。ふわふわと嬉しげに花を飛ばして、ほっぺたを薄っすらと赤らめて敦賀氏を見つめる潤キラな瞳には…………我らが過去に捨て去り失った筈のあの毒感情がありありと。
思わぬところから飛んで現れたピュアキョによる敦賀氏への好き好きビーム!!
敦賀氏に痛恨の一撃!効果は抜群だっ!!
だって、現にあんなにがっちり親ビンを捕獲するみたいに絡み付いていた敦賀氏の腕が緩んでいる。
その隙を突くように夕食の盛り付けを完成させる親ビン。あからさまにほっとした雰囲気の親ビンに少しだけ不服そうだった敦賀氏も、親ビンの頭の上でにこっりにこにこしてるピュアキョを前に、顔こそ崩してはいないがでれっと鼻の下が伸びた感じを隠せないでいたのだった。
親ビンの手料理を前にしては、敦賀氏も大人しく箸を取るしかないらしく…………新しく演じるドラマの役どころやらを話しながらな食卓に流れているのは実にほのぼのとした空気だったのだ。
食事の後片付けを放置するなんて選択肢を持ってない親ビンと、そんな親ビンと離れていたくないらしき敦賀氏。仲良く並んで食器を洗っていた。
そんな時にも、親ビンへと神々スマイルを放ちながらも敦賀氏がちらりと気にするは、親ビンの肩にちょこんと腰かけたピュアキョだ。
そんなピュアキョといえばあいも変わらずに敦賀氏へと笑顔を向けて……そして、さらっと言ったのだ。
『んふふふぅ〜♡一緒にお皿洗いしてくれるなんて敦賀しゃんは優しいですね。どこぞのあの馬鹿男とは大違いですぅ。』
だなんてっ!!敦賀氏の前であの憎っくき怨敵馬鹿松を匂わせるだなんて、なんと恐ろしいっ!!我ら怨キョでさえ近づくのを躊躇う大魔王がお出ましになるっ!!って、思わずにぎゅっとひとかたまりに身を寄せ合っていたのだけど…………
一向に怒れる大魔王の真っ黒ダークオーラもなく、そろっと目を開けるとさっきと変わらぬまんま並んで食器を洗っている親ビンと敦賀氏。
…………どうやら、自分達怨キョと違い数が少ない所為なのだろうか?ピュアキョの存在は目視出来るものの、その声は敦賀氏には微塵も届いていないらしい。
そんなこんなしているうちに片付けも終わり、食事の御礼にと敦賀氏がコーヒーを淹れてくれるとそうなったのだ。
キッチンに残った敦賀氏と別れ、リビングのふかふかの高級ソファーにちまっと座っている親ビン。
「ちょっと!アンタ大丈夫なの!?サングラスもないままあの敦賀氏の殺人光線スマイルをあんなに間近で浴びるだなんてっ!!」
ふんわりと飛んでいるピュアキョを捕まえて、どこか干からびたり浄化されたりしてないの?とぺたぺたと確かめていると……ピュアキョはきょとんと不思議そうに答えたのだ。
『?敦賀しゃんの優しい笑顔、かっこよくて素敵です♡』
だなんて、夢見る乙女のように指を組んできゅるんとそう。
おぉっ!…………なんて事だ。どうやらピュアキョには敦賀氏のあの神々スマイル光線を浴びても浄化どころか、まるで平気ならしい。
信じられないっ!!なんて驚愕を隠せないでいると、急にはっと慌てたみたいに怨キョの輪を抜けて飛んでいくピュアキョ。
ピュアキョの後を追ってソファーへと視線を向けるとっ!親ビンがっ!!
「真っ赤になってる……かわいいキョーコ」
夜の帝王モード敦賀氏に押し倒されているではないかっ!?
あー!親ビィィィン!!真っ赤になって坩堝ってないで逃げて逃げてー!!なんて我ら怨キョ一同の願いも虚しく、ぎゅっと目を閉じてピキッと硬直したまんまな親ビン。
妖しい色気を滲ませた敦賀氏の指が親ビンの下唇をなぞってゆっくりと距離を縮めていく……
あぁっ、親ビンっ!!もう駄目だっ!?って瞼を閉じて顔を覆っていると……
『ふぁん♡まるで眠れる森のお姫様への王子様のちゅー!しゅてきぃ〜♡』
と、ハイテンション嬉しげな声が。
おぉっ!?敦賀氏がぴたりと停止している!
パチパチと瞬きなんてしてみせている敦賀氏に流れる空気は……そうまるで、いざって所でピュアピュア無邪気な子どもに雰囲気を叩き壊された悪い大人のそれ!!
敦賀氏はふぅっと親ビンに気付かれぬように小さく小さく口の中でため息を吐き出すと、少し困ったみたいに苦笑してから、ぎゅぅっと目を瞑ったままな親ビンにふんわりチョンッと触れるだけのキスをして
「……もう限界?」
と、そう低い声で聞いたのだ。溺れる親ビンがわらを掴む勢いで「ここここ、降参ですぅ」って白旗を上げる親ビンに「残念。」って呟いてからもう一度だけ触れて唇を離すと「送っていくよ。」と、ソファーから親ビンを起こす敦賀氏。
「……さっきの続きはまた今度ね?」
などと、恐ろしき事を囁かれてしまっているのだけど…………ほぅぅぅ。夜の帝王様の気配が消えて、親ビンがピンチを脱出したらしき空気にほっと息を吐く。
そして、自分たち怨キョは目撃してしまったのだ。
こそりと、敦賀氏の視界から隠れるみたいに…………したり顔で笑っているピュアキョを。
確信的にわざとだったのだ!夜の帝王な敦賀氏に横やりを入れてお邪魔をしていたのはっ!!
そんな自分たち怨キョに気が付いたのか、にっこりと笑うとピュアキョコは言った。
『敦賀しゃんならご主人様を幸せにしてくれるとは思いますけど……まだ不安なまんまなご主人様を混乱させて有耶無耶に、なんていけませんわ。』
その笑顔は何も知らない純真な子どもというよりも、全てを悟った淑女のよう。
そんなピュアキョはぎゅっと手を握りしめると続けたのだ。
 
 
 
 
 
『ですから、ご主人様が安心して覚悟なされるまで…………私がご主人様の純潔を護ってみせます!!それに、はじめての夜には絶っ対に!お姫様だっことお姫様ベッドは譲れませんっ!!』
 
 
 
 
 
そこ、そんなに大事に拘るところ!?とは思ってしまったものの……あの敦賀氏をでれでれ骨抜きに出来る上に、夜の帝王にも殺人光線スマイルにさえ物ともせずにピュアピュアっと無邪気な皮を被って立ち向かえてしまえる…………最強の守護者の降臨に
我ら怨キョ一同はカッコイイ!と声を揃え、パチパチと心からの称賛の拍手に手を叩いたのだった。
 
 
 
 
 
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コーン時代の京都の思い出を彷彿とさせるみたいなピュアピュアちゃんを相手にしちゃうと……蓮さんとてお手上げじゃないかな?と。
 
 
 
神々スマイルでも平気☆キュラキュラな似非紳士や大魔王でうるっと涙目で怯えられちゃたら折れざるを得ないだろうし、王子様♡な夢見る純真ミニキョコちゃん相手に夜の帝王様も形無し……故に、最強の守護者となるみたいな?
( ´艸`)
 
 
 
そんなこちらなお話、21100番目の拍手を叩いてくださったkomugiさまからのリクエスト
 
「内通者な怨キョちゃんたちのお話」
 
を捻じ曲げ、新たなる最強守護者を添えたつもりなものとなってたりします。
素敵リクエスト、ありがとうございましたー!!あんまり怨キョちゃんが活躍してなくってごめんなさいでしたー!
・:*+.\(( °ω° ))/.:+




しっかし、怨キョもだけどピュアキョもなんか書いてて違和感ががががが……
こんなでごめんなされぃ。
_:(´ཀ`」 ∠):
 
 
 
↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。

 


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