猫木の変な挑戦『いろんな敦賀さんを書いてみよう。』

困惑混沌の朝。から派生する続きひとつ終わりを告げられた私。の続きな掟破りの番外編的な?そんなものとなっております。

……の前に、こちらな話。毎度のごとくいただいたネタを元にしておりますが、かーなーり捻じ曲げておりまする。どうかお許しをば。

_(:3」z)_

 

 

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無性に腹が立った。
我慢なんて出来ねぇくらいに
キョーコに……それ以上に、ヤツに。
 
 
 
 
 
あの日、あの場所に居合わせたのは偶然だった。
やっと口説き落とした少しミステリアスなところのあるナイスバディな業界人。仕事の終わりに人目を忍んで落ち合おうと約束していた人気のない地下駐車場。なのに、仕事が少し押したらしくこの俺が待たされた。
そこに聞こえて来た声。最初は3つだった。
キョーコひとりなら揶揄いに出て行くが……この俺を差し置いて芸能界で一番ピー(規制音)な男なんて呼ばれてやがるあのいけすかしたヤローの声にその気も失せた。せっかくの割り切った大人な夜遊びを前にあんなヤツの面なんて見たかなねぇってんだ。もうひとつの声はマネージャーか?
昼食はちゃんと食べたかなんて、相変わらずに色気のない所帯くせぇ事を言っているキョーコ。
早くどっか行けよ……なんて思っていたところに、マネージャーらしき車を取って来ると言う声と遠ざかる足音。
短い沈黙が落ちる。そこに
「今夜、俺の部屋でいい?上がりが22時頃の予定なんだ。」
聞こえて来た潜めた低い男の甘ったるい声。
はぁ?なんだってお前がキョーコを家に連れ込もうとしてやがんだ!?ふざけんなっ!!
苛立ちのまま怒鳴り出てやろうとした俺を硬直させたのは……
「わかりました。軽いお夜食でも用意しましょうか?」
当たり前みたいに答えるキョーコの声だった。しっとりとした妙に女の色を乗せた……俺が聞いた事のないキョーコの声。
指先から冷たくなってくみたいな、気持ちの悪さ。そんな俺なんて知らぬ気に、買い物するなら地下のスーパーでだとか、言ってやがるあいつら。微かに、近づいてくる車のエンジンの音がして……ヤツが言ったんだ。
「そういえば……この前ので最後のひとつだったから買っておいてくれる?コンドーム。」
キョーコの耳もとに顔を近づけて、揶揄うみたいに低く悪く。ぱっと、キョーコの頬が赤く染まるのを見てにやりと笑って、キョーコが返事を返す前にアスファルトを噛んで止まるタイヤが軋む音がかき消した。
見聞きしてしまった敦賀とキョーコのやりとりが現実感のない悪い夢みたいで、ぐるぐると視界が歪む。
遠ざかる車の音。
再び、人の気配のなくなったがらんと冷たい空気。僅かに埃臭いみたいな地下の匂い。
ふと、視線を下げると手の中には暇つぶしの手なぐさみにしていた愛用のボイスレコーダー。
小さな液晶には、録音中を示す文字が浮かび上がっていた。
 
 
 
 
 
 
 
「今すぐにって訳にはいかないから…………そうね、2ヶ月後くらいには京都に帰るわ。」
スマホを覗きながら、さらっと言ってやがるキョーコ。
翔子さんに頼み込んで待ち伏せてまでやっと捕まえたキョーコに突き付けたレコーダー。なのに、なんでそんな冷めた諦めたみたいな顔してんだよ?
こいつだって今じゃ、名前と顔が売れた芸能人で。現に今期の月9なんて硬い枠のドラマで主演になっていた。レギュラーやCMだって何本あるか……それが、たかだか二ヶ月そこらで全部方が付く仕事量かよ?変えの効かないものだけ詰め込んで、後は違約金を積むつもりか?
思い込んだらどこまでも真っ直ぐな馬鹿女。
「……いいのかよ、それで。俺を追い落とすんじゃなかったのかっ!?」
アーティストの大事な手と指だってのに、握り込んだ爪が痛え。
「あんたが言った通り…………向いてなかったのかもね、芸能界なんて」
なんでだよっ!!いつもみたいに馬鹿みたいに熱くなってムキになって突っかかって来いよ!
……なんて顔してやがる。本当に、馬鹿じゃねぇのか。そこまであの男が大事かよ……
「敦賀のことは……どうすんだ。」
震える肩。あからさまな俺からの挑発にはなんの反応もなかった癖に。こんな、あいつの名前ひとつで……
自分の肩を抱くみたいにシャツの袖を掴むキョーコの手。俯いたキョーコの口からぼそりとこぼれ落ちる言葉。
「どうするも何も…………敦賀さんと私は何にもないもの。身体だけよ……」
ほんっっっっとーに!この阿呆がっ!!
何がどうトチ狂ったらあの鬼畜野郎がお前に向けるおかしい執着をそこまで無視出来んだよ!?
そんな震えるくらい辛いなら泣けよ!涙のひとつふでも落としてくれたら、抱き締めてやれんのに……あの気にいらねぇ男の顔をぶん殴ってやれんのに。
「キョーコ、お前中居じゃなくて女将になってくれるか?」
俺を見るキョーコの瞳。この期に及んで涙のひとつさえない。冗談なんかじゃないと分からせる為に逸らさずに見つめる。
中居ではなく、女将。その意味をキョーコなら知ってる。
「無理よ、ショータロー。」
その名前で呼ぶなって何度言やわかんだよ、馬鹿女。しかも、無理だと来やがった。
…………でも、俺をまっすぐに見るキョーコの眼。どこまでも覚悟の決まった馬鹿みたいに頑固な女の顔。
さっきみてぇな辛気くさい顔よりずっとマシだ。
 
 
 
 
 
 
 
ああああー!!くそっ、腹が立つ!この馬鹿女が!!
目の前のキョーコの腕を掴んで歩き出す。
何すんのよだとかどこ行くのよだとかうだうだ言うキョーコを引きずって。

敦賀がどんなつもりだとか、お前がどうしたいだとか、全部関係ない。


 
 
 
 
「うるせー、黙ってついて来い!!」
 
 
 
 
 
 
 
この俺様が腹が立って我慢がならない……だだそんだけだ!
 
 
 
 
 
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はい……2話で纏まりませんでしたとさ。2話に纏めよーとすると、どーしてもレコーダーの中身とどうやって撮ったかとか上手く入れ込めそうもなくて……はい。猫木の文章力のなさのせいにございまする。つまんなくてごめんなさい。
リクエスト内容もあらんかぎりに別もの次元にねじ曲げてしまって申し訳ないでありんす。もう本当にごめんなさいごめんなさいごめんなさいです。
もう1話続きますぅぅぅ。
_:(´ཀ`」 ∠):



松くんがなんで蓮さんとキョコさんが居るとこに潜んでて飛び出して来なかったとか……そんなの禁断症状で隠れてプッ◯ンプリン食べてたらからとかふざけた理由にして、まるっと書かないでおこうかとかも考えたんですけど……松くん視点にございまする。



次回、松くんがキョコさん連れてく先は?2人の逃避行の行方に迫る魔王の手!!←なんだそりゃ?


↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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