| 壁 |д・)…………長く放置してしまっていたこの毒皇帝クオンくんと死にたがりキョコさんな話。
どんな話かすっかり忘れたよ!?な方も多いかもしれませぬが……またぽちぽちと書いて行こうと思ってはおりますゆえ
お付き合いくださいます心優しき方は、どうぞよしなに。
_(:3」z)_



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皇帝たるクオンの眼前に控えるはひとりの乙女。
まるで喪に服すかのような濃灰の質素なドレス。唯一、彼女を飾る黄金色の花を模した腕輪が生々しいまでに毒々しく……咲き誇る毒花のように思えた。
神に祈るように指を組み跪いて、さぁこの首を落せとばかりに首を差し出す姫の姿。
「そこまで…………それ程がまでに、厭うか……。」
クオンの形の良い唇からぼそりと吐き出された、小さな小さな言葉。
低く硬いその声に込められた感情は強い怒りであったか深い悲しみであったのか……それとも、落胆であったのだろうか。







それは過ぎ去った懐かしき記憶。北国に訪れた短な夏の季節、ふたり以外の誰も知らぬ幼き日々のことであった。
さわさわと膝程にまで育った草が風に揺れて軽やかな葉音を鳴らしてた。
ただ、人の目から隠れたくてひとり彷徨って迷い込んでしまっていた、人の手も碌に入ってない寂れたような庭園の離れ。
クオンがここなら誰もいないだろうと思っていた、そんな場所で、思いがけず出逢った幼き姫。
記憶の中の彼女はすぐに泣いて、けれどよく笑う……小さな花のような姫だった。
『レン様レン様!こっちこっち、はやく!!』
秘密の場所へ連れて行ってくれると言って跳ねるようにはしゃぐ姿は少し前まで泣いていたのが嘘のように溌剌として、一国の後宮には似付かわしくなくまるでお転婆な村娘のように無邪気で。
『ね!レン様、お城の外のお話聞かせて?』
ほんの数日間、そんな短な時の中でキョーコは繰り返し何度も強請っていた。
たわいの無い話。それでも、時に笑い時に怯え、くるくると表情を変えながら真剣に耳を傾けていた。
そして、その小さな手でドレスの裾をぎゅっと掴み幼い顔にそぐわぬような寂しげな色を浮かべて、外の世界を思うかのように空を見上げていた。きっとその時からずっとクオンが心を捕らえられ、焦がれ求め続けてきた紅茶色の瞳。
泣くことさえ上手く出来なくなっていたクオンの代わりにぼろぼろと涙を零してくれた優しい姫。クオンが告げた別れに、置いていかないでと一緒に居てくれと泣きじゃくってくれた。
胸に芽生えたていた想いの自覚もなく名も知らぬままで、住む世界ぎ違うと……待っていてくれとは告げれぬままに別れた愛しい娘。
幼き姫が口にしていた願いを叶え、大事に大事に護りそばにいれば、いつか、そういつの日にかは……あの日のようにまたクオンへと微笑んでくれるのではないか、そんなクオンの願いを真っ向から否定するかのような……『死にたがりの姫』。
愛しいキョーコの命を奪うなど如何あってもクオンには出来ないというのに……
それならば…………いっそ。
無理矢理にでもクオンの望みに沿わそうか。
クオンが贈るドレスなど着たくないというのなら、祖国から持参した他のドレスなど全て引き裂いて。
飾りなくひとつに結い上げたその長い黒髪を無理にでも解いて、死にたがりの髪姿になど出来ぬように両の手を縛り付けて。
首を落とせとしか願ってくれぬ唇には枷を嵌めて。
アカトキの兄王から贈られた金の花など奪いあげて、どこへも行けぬように閉じ込めて。
キョーコに厭われ憎まれようとも…………
愛しい娘の瞳に宿るだろう憎悪。キョーコから絶対の拒絶を向けられると思うだけで、クオンの胸は軋み底の知れぬ恐ろしい程の仄暗く冷たい暗がりへと落ちてゆくようだ。
そうして……彼は気付く。今まで自分が目を背け考えぬようにしていた事に。
あぁ、今更か…………もう、とっくに。





コツコツと、皇帝の鳴らす靴が跪くキョーコのもとへと靴音を鳴らす。
クオンの顔の半分を覆い表情を隠す黒の仮面。冷たい翠の瞳。けれど、皇帝の唇のみが歪んだ笑みを浮かべている。
深く俯いたままのキョーコの頬へと伸ばされた大きな手。
柔らかな頬を撫でて顎を掬い上げるように上向かせたキョーコの瞳を覗き込むように見つめ、クオンは冷たく低い声を吐き出した。





「そこまで……俺が、憎い?」







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続き書こうと羞恥ぷれぃな読み返しをしてみたら……なんつーとこで止めてたんでしょうね、猫木ったら。
(*ΦωΦ)←




こんな有様ですが……み、見捨てずにお付き合いくださいます方はいらっしゃるんでしょうかしらー?
。(´д`lll) 




↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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