猫木の変な挑戦『いろんな敦賀さんを書いてみよう。』
困惑混沌の朝。から派生する続きのひとつ……かもしれない?な、掟破りな超絶!番外編でっす!?
ひっさしぶりなこのシリーズですが、いつものやつとはちぃとばかり趣が違っておりやす。
よろしければどうぞお付き合いくださいましー!
_(:3」z)_


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俺は、信じねぇ!!
昨日しこたま呑まされた酒の所為で悪い夢を見てるに決まってる。
そうさ……こんなのは、夢に決まってるっ!!
だから、俺は信じねぇっ!絶対に信じねぇっ!!





いつ如何なる時も完璧カッコイイ……いかに俺がそんな存在だとしてもだ。
人間には限度ってもんがあんだよ!
「……うぅーー」
頭ん中でそんな事を考えて、自分以外の誰もいないって解ってるからこそ、ガンガンと痛む頭に思わず喉からみっともないような唸り声を上げながら頭痛の発生源な電子音の鳴る方へとシーツの上に手探りに手を彷徨わせた。
クソッ!頭いてぇ……
ドームツアーラストの打ち上げだからって呑み過ぎた。超イカした俺の声が歌う天才的な新曲とはいえ……この頭に寝起きはキツい。
舌打ちしたいような気分でやっと着うたを鳴らし続けるスマホを手繰り寄せた。
「ッチ、たく……誰だよ……!!」
液晶画面に浮かび上がっている名前に、思わず跳ね起きた。
キョーコが俺に電話!?しかも、FaceTimeでだと!?俺の顔が見たくなったとか?
『ショーちゃんは世界でいっちばんにカッコいいの♡』
頭に浮かんだのは、俺だけ見てた昔のアイツ。
んな訳ないよな……頭を振りながらホームボタンを押す前に、手ぐしで髪を撫でて自分の格好を確かめる。よし、寝起きだろうと完璧。流石、俺!
けど、あくまでも自然な感じに?キョーコ相手に気取ってるなんてガラじゃねぇ。ナチュラルにカッコいい俺であるべきだろ。
気怠げに髪をかきあげて後ろに流してみせながら、俺はボタンを押した。
液晶画面に映し出されたのは…………






『やぁ、おはよう不破くん。世界で一番素晴らしい朝だね?』
なんだってキョーコからの着信でお前が出てくんだよ、敦賀蓮!?
いつもスカしてやがるヤロウが見たことねぇくらいに蕩けたみたいなニヤけたツラ晒しやがって……って、ちょっと待て!!
「敦賀、テメェ……キョーコに何しやがった!?」
『あぁ、ごめんね?キョーコがまだ寝てるから少し声を落としてくれるかな?昨日の夜、疲れさせちゃったから……』
メルヘン趣味なあいつ好みのキラふわした部屋をバックに、ゴージャスターだとか言われてやがるヤツがぴょんって寝ぐせなんか付けていやがる。しかも、シャツも着てない……裸でわっかりやすくダダ漏れに色気出しやがってっ!!
あの救いようのねぇダミーホ女!俺にあんだけコイツでけはねぇとか啖呵切っておいて、まんまと食われてやがるじゃねぇか!!
例え、遊びのつまみ食いだとしても許せねぇ!
『君に電話をしたのはね、一言お礼を言いたくて……キョーコと再会出来たのも真っさらで純潔なままでいてくれたのも全部、君に見る目がなかったおかげだよ。』
自分のもんが奪われた腹の底から湧き上がるみたいな怒りにスマホを掴んだ手が震える。噛み締めた奥歯がギチリと嫌な音を立てて軋む。
そんな俺を嘲笑うみたいにヤツは続ける。
『本当に……昔の、出逢ったばかりの幼いキョーコちゃんは完璧にショーちゃんの事を王子様だって信じきっていたからね。君が見る目のないろくでなしで……この娘のことを踏みにじって傷付けて捨てたのは許せやしないけど、そのおかげでキョーコのはじめての男になれた。』
なんの……何の話をしてやがる?まるで昔、キョーコがまだ俺をショーちゃんと呼んでた頃にコイツと会ったことがあるような口ぶり。
ニヤりと笑ってやがる男。横に眠っているだろうキョーコの方へ嫌に甘ったるい視線を投げて髪を撫でているような動き。触るんじゃねぇ、そいつは俺のだっ!って叫んで止めたいのに喉がカラカラに乾いたみたいに声が出てこない。
だって、記憶をいくら遡ってもこんなやつ、俺は知らない。キョーコの事なら全部知ってる筈なのに……俺の知らない間にキョーコと敦賀が逢ってたなんて、知らない。
『このスマホでは着信拒否させてもらうけど、招待状は事務所に送るから俺たちの結婚式にはぜひ出席して祝福して……その後は出来るだけキョーコには関わらずにいてくれるとありがたいね。君にはアリクイの餌やりな前科があるから。』
ちょっと待て!?何頭の茹だったようなバカげた話してやがる……誰と誰が結婚だと?ふざけんなよ!?冗談も大概に……
『そろそろキョーコが起きそうだから、切るね。じゃぁ、本当に……キョーコに手を出さないままでキョーコの王子様から転がり落ちてくれてありがとう。バイバイだよ……ショーちゃん。』
コイツのどこが春の陽射しな温厚紳士だっ!!絶対に性格悪いだろっ!!
気持ち悪い呼び方でそう呼んで宝物ひけらかすガキみてぇな底意地の悪い笑いで、馬鹿にするみたいにワザと臭く手をひらひらと振って見せている憎らしい男に
「待ちやがれっ、キョーコは……」
キョーコは俺のもんだって、お前になんて渡せるかって、そう言おうとしてたんだ俺は。
けど……
『……るがしぇ…らぴ……ん、すきぃ……もっと』
むにゃむにゃと眠気の混ざるキョーコの声。寝ぼけた小さい小さな声だ。
なのに、アーティストの性能の良過ぎる自分の耳が嫌になるくらいの、俺の聞いたことねぇ……しどけないくらいに夜に掠れた、甘えるようなゾクリとくる女の声。
ガンッと頭を殴られたような衝撃。自分の足もとにぽっかりと深い深い穴が空いて飲み込まれたみたいで、目の前が真っ暗に塗り潰されてく……






いつの間にか手のひらの上のスマホの液晶画面は真っ暗に落ちていて……
「はっ……はは、そうだよな。芸能界1なんちゃらな男だとか言われてるヤロウとキョーコが幼馴染で……よりにもよってキョーコなんて地味女と結婚だとか。夢に決まってる。」
まるで、誰がに言い聞かすみたいな乾いた大きな俺の声が二日酔いにズキズキと痛む頭に響く。
そうだ。夢に違いない。昨日の酒が残ってる所為でおもしろくねぇ夢を見てたんだ、そうに違いない!





「夢……だよな。俺は、ぜってぇに信じねぇからな……」





ぼそりと呟かれた俺の声だけが答えもなく、ただ部屋に落ちた。






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いろんな敦賀さんシリーズ三桁を超えてからの、まさかまさかの松くん視点☆
……いや、本当ごめんなさい。もうしません!?
_:(´ཀ`」 ∠):



こちら↓拍手ボタンコメントにて名前のないお嬢さまから頂きましたネタ。要約すると

「朝起きた蓮くんはショーくんにお電話。キョコさんとの出会い再会、手を出さないでいてくれたお礼やら結婚式にごしょうたーい!とやりたい放題☆なお、松くんは松くんでありえねぇー!夢だったんだとキョコさんと蓮さんがベッドにいる現実から盲目的に目を背ける。」

な、感じのものからねりねりぽちぽちと作ってみたものにてございまする。




蓮くんが松くんとお電話的なのは書いたよーな気がしたので、なんとなんとな松くん視点でしたとさ。
んで、蓮さん。勝手にキョコさんの携帯拝借したりまだ告白もせずに一夜を共にしただけなのに結婚式まで先走りまくりなありさま……
きっと、松くん事務所に結婚式招待状が届いてもTVで会見なんてやっても、信じない信じない、俺は信じないからなっ!ってなりそうな勢いかと。笑



あぁ、出来上がりがっかりなものでしたら、すみません。
。(;°皿°)



↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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