16000番目の拍手を叩いてくださいました、おれんじ様からのリクエストにお応えしようとしてたつもりが……?



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(キョーコちゃぁーーーん!?)



業界でも最大手たる芸能事務所LME、その中でもぶっちぎりな稼ぎ頭たる看板俳優を担当する敏腕マネージャーの社は心の中で悲鳴を上げていた。
こんな展開になるだなんて聞いてない!!
ひそりと、スーツの下の背中に冷や汗を浮かべている社の横に居るのは世に『春の陽射し』のような男だと言われたりなんぞとしてる俳優、敦賀蓮そのひとである筈だった。
…………が、なんせその蓮の機嫌が悪過ぎる。
通常であれば、社がブリザードを振りまかねばあわよくばお近付きにとわらわらとひとの群がっている蓮の周りに人っ子ひとり近寄らずに遠巻きにされている現状。それもそのはず、極一位部の者にのみ伝わるグサグサと光線の刺さって痛いキュラッキュラな笑顔ですらなく、口もとでさえ笑みの形を取ってさえもなく隠しようもないくらいにピリピリとした空気を纏っているのだから。
こんな筈じゃなかったのに……
闇の国一歩手前な男を隣に、社はそっと気付かれぬようため息を吐き出した。
こんな事になるだなんてチラリとも予測していなかったのだ、このドラマの収録がはじまるまでは。
本当なら……本来なら担当している俳優と女優の久しぶりの共演となるこのドラマの間は、ふたりが同現場にいることによりいつもよりマネージメントし易くなるし、社の中で頭を悩ます難関な仕事である蓮の食事事情も食育担当のキョーコの指導により楽になる仕事だった筈で。
妹役を演じるキョーコへ役作りなどの相談等あるのなら乗るよ?なんて、他の誰かにキョーコが頼ったりしないように先回りした蓮に
「大丈夫。妹役なら自信があるのよ、兄さん?」
と、どこか気怠げ排他的なローテンションでニヤリと笑ってみせたキョーコと
「最上さん。普通の兄弟は、ベッタリと絡みついたり兄の足の上に座ったりなんてしないんだからね?」
などと、今更にも真面目に釘を刺す男に
お前、ヤンマガヤンデレ兄弟設定をいい事にキョーコちゃんにそんなことさせてたの!?と、によによと悪く揶揄ったりもする余裕があったのに……
演者やスタッフの顔合わせから読み合わせ、撮影などの日を重ねる度に急降下してゆく担当俳優のテンションは最早、隠し切れたものではなくなっていたのだった。



 
「ね、あのふたり仲いいよね〜」
スタジオの隅でスタッフがこぼした小さな話し声。
社の耳にも届いたのだ。キョーコに関する事には驚異的な地獄耳を発揮してみせた蓮の耳に入らない訳などなく……
社は隣にいる男を発信源とする冷気により体感温度が2〜3度ほど下がったかのように感じてしまった。
そう、あのふたりと話題に登ったのが当の蓮の想い人たるキョーコであるのだが。
通常であったならば、蓮がスタジオ入りしたとなれば、過去のトラウマ級な挨拶指導により駆け寄るように挨拶をしてくれて蓮にささやかな幸せと癒しを与えてくれていた筈のキョーコが……
男と楽しげに話し込んでいた。
蓮より5センチほど低い身長の男を見上げてまるで内緒話でもしているがばかりに、近く顔を寄せ合い、親密そうな雰囲気をさせて。



(困る……困るよぉぉぉ!キョーコちゃん。そんな急速にどこの馬の骨ともまだわからないような他所の事務所の、しかも、初共演の俳優に懐いて仲良ししちゃうなんて……天然記念物的な恋愛拒絶のポリシーはどこに行ってしまったっていうのさ!?)




悋気に鋭く眇められた蓮の視線の先、キョーコと親しげに話し込む男。
このドラマでキョーコの『兄』を演じる俳優であった。





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はてさてむふー?
我ながら、どう……するつもりなのやら。
_(:3」z)_



↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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