くーま様からのリクエストにお応えしてみようとなんとか奮闘してみた成れの果てにてございます。
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はじまりは楽屋のドアをノックする音だった。
ドアを開けて入ってきたのは思いつめた表情をした蓮の想い人であるキョーコで、そんな蓮のかわいい彼女は開口一番によく通る声で言った。
「敦賀様っ！！」
蓮は自分の顔が引きつってしまいそうなのを必死に抑えている。キョーコが『敦賀様』だなんてそんな風に自分を呼ぶ時ほど、いつもろくな事がないと身にしみてしまっていたから。
そして、その予感は的中する事となった。
「わたくし、最上キョーコ！勝手ながら誓いを破ろうと決心を致しました事を厚顔ながらもご報告させていただきに参りました！」
だなんて、キョーコの口から飛び出したそんな問題発言によって。
人気Ｎｏ．１の実力派俳優、そんな蓮のために用意された個人の楽屋は、空調のせいでは決してない底冷えするような冷気とデロデロドロドロとしたうっそりと重く暗い闇の気配で詰まって、息を吸うのも難しく思える程の有様と成り果てていた。
そこにひとり佇み、闇の国を統べる大魔王の様に仄暗いオドロオドロした黒いオーラを振りまいている発生源の男の背中を見て、社はもう本当に泣いてしまいたいと胃を痛めながら
(いや、もう本気で俺、こんなこっわい闇の国の蓮さんの担当とか無理だからっ！！キョーコちゃん！？)
だなんて、聞き捨てならない大問題でどうしようもない規模の大きな大きな爆弾発言を言うだけ言って、疑問と禍根と困惑を残して颯爽と去って行ったキョーコに助けを求めていた。
(頼むから！お願いだからっ！！誓いを破るとか、純潔を捨てるとかそんな………蓮の怒りの引き金を引きまくるような発言の説明をして行ってくれっ！？)
なんて社は半ば気の遠くなる現状に現実逃避したい思いで見つめていた残された男の大きな背中、それがふるふると震えを大きくしていくのを怯えギョッとして見守るしかなかった。
蓮の背中の震え、最初はほんの僅か微かだったそれはどんどんと大きくなり、やがて耐えきれぬと言うように「くっ…」と溢れたものを社は嗚咽だと、そう思っておたおたと慌てていた。
けれどもそれをあっさりと裏切るように
「くっ……くっくっくっ…ふっ…
はっ…はははははは………本当にもう、あの娘は……どうしてくれようか？」
だなんて、悪役真っ青の邪悪な笑い声を響かせる楽屋の主。
「純潔の誓いを破る？………結構だ。もともと、生涯の純潔なんて貫かせてやる気なんてこれっぽっちもなかったからね。お試し？………それも結構。もとより離す気なんて持ち合わせてないんだから、一度頷かせてしまえばこっちのものだ。芸の肥やし？………きっと彼女なら恋愛を素晴らしい愛の演技の糧に、根幹にするでしょう。なんの問題もない…………そう…………問題は、最上さんがその相手の男の選択欄の端にさえ俺を並べてくれる気配もないって事だ。」
滔々と低い声が語る。なにも知らない者が聞けば甘くさえ聞こえてしまいそうなその声に、社はますます顔色を無くしぞわりと背筋を震わせ怖気ることになってしまう。
「………大事だから、怖がらせないように逃げられないように、ずっと側で待ってあたためて安心させて護ってきたのにね？」
はぁぁぁーっと、大きな大きなため息を吐き出し「もぅ…いいか」だなんてそんな事を小さな小さな声で落とすとクルリと社を振り向く蓮。
その綺麗なキュララララー！と、最上級に輝く笑顔に、嫌な予感がして止まらない彼の顔色の悪いマネージャー。
「彼女が俺を男として見ないんなら、無理矢理にでもこっちを向かせてやる事にしました。社さん……協力、してくれますよね？」
優しく笑顔でにっこりと凄むように脅してみせた、世間一般では春の陽射しだとか言われている男。
「蓮………犯罪は、駄目だぞ？」
そんな男のこれから起こすだろう予測もつかぬ暴走に少しでも歯止めをかけようと必死な自称お兄ちゃん。そんな胃のキリキリする社に返された答え、それは
「大丈夫ですよ？安心してください…………最終的には頷かせてみせますから。」
だ、なんてちっとも安心出来やしないものでさらにその上
「さぁ、彼女の邪魔をしに行きたいんですけど………俺のこれからのスケジュールどうなってます？」
と、サラリとそのぬばたまの黒い前髪を揺らして悠々とそう尋ねてみせた。
この日より暫くの間ＬＭＥでも断トツに有望なマネージャーである社は、ぶちりとどこかが切れてしまった見た目は百戦錬磨な重量級の恋愛初心者の妨害工作に協力すべく、胃薬と栄養ドリンクとスケジュール帳を顔色悪く握り締めることとなった。
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んー？あれ？きょうせいれんあいの蓮さんってこんなんじゃったかしら？
？(´Д` )？
最初のキョコちゃんのセリフ「敦賀様っ！！」を何をどう打ち間違ったのか「敦賀貴様っ！！」になってて声出して笑いました。
喧嘩腰キョコちゃん。そりゃ、蓮さんの顔もひきつるよね。
(σ・∀・)σ
↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。
