木都イサリス
シアの回りには夢が漂っている。
その夢の片鱗にリアンは触れた。
どこか暗い場所でミルティスが鏡の破片を自分の喉元に押し当てている。
瞼の裏に広がるのは赤い鮮血だ。
パチリ、とシアの目が開いた。
「フォラオゥト」
ぽつりと古代兵器の名前をあげた。
「シア!」
「使わせては、ダメ。」
「リアン、ホマルカ南部に、火の神使を、助けて。」
「貴方の、盾と剣を、連れて、ホマルカ南部に」
シアは言葉を一気に紡ぐと再び瞼を閉じた。
「シア」
シアの言葉を神妙に聞いていたリィルシャンテは、後ろを振り返りエルフィンドに言った。
「私をディルバに帰して。それからダナを連れてリヤンとホマルカ南部に跳んで。」
エルフィンドは胸に手を置いた。
「分かりました。」
そして再び眠りについたシアを見た
「剣はダナで、盾は私ですね。」