22~23時頃、リフレックス(ミルタザピン)服用
フルニトラゼパム 2020.1.25 断薬完了
音楽に携わって生きてきたクセに、眠れないからといって安易にクスリに頼ってしまった土偶です。
この事実を猛省して、ヤクブツなんぞに頼らなくても、眠りにつきやすくするための生活の工夫のひとつとして、これなんかイイじゃん?という曲を勝手に貼ってきました。
ですが今日は番外編として、「考えちゃって眠れなくなるかも?」という曲を貼ります。
ショパンの「バラード 第1番」
土偶が中学生の頃からハマっている曲です。
数あるショパンの中でも一番好きかも知れません。
最近ではフィギュアスケートで、あの羽生結弦がショートに用いました。
羽生結弦がバラードを滑る!と初めて聞いた時は胸が高鳴りました。
震災で地獄をみた彼なら、若くてもこの難曲にふさわしい滑りが出来るに違いありません。
そして期待を裏切らない素晴らしい演技で世界最高得点!オリンピック 二連覇!!
彼は国の宝ですよね、人間国宝です。
ですが、編曲は残念でした。羽生結弦の責任ではないけれど。
もともとバラード第1番は約9~10分間の曲です。
その約10分間の曲を、フィギュアの規定でショートプログラムは2分50秒にまとめなければいけないので、仕方がないって言えば仕方がないのですが、あの編曲では「ショパンの言いたい事」が正確に伝わりません。
羽生結弦バージョンでは、「辛くて苦しい報われない人生を、それでも懸命にコツコツ頑張って生きていたら、ある日突然、天変地異か戦争か何かに巻き込まれて、抵抗してみたけれどなす術なく、一発でとどめを刺されて絶命しました。」みたいな曲になってしまっています。
これを最初に聴いたときは、あんまりだ…酷い…悲しすぎる…と、涙がでました。
フィギュアでバッサリとカットされてしまった部分には珠玉の「第2主題と展開部」がありまして、この部分がこの曲には「なくてはならない救い」なのです。
辛くて苦しい報われない人生の中の「救い」、つらい日々の中にやっと訪れたささやかな「幸せ」
なんの取り柄もない自分だけれど、生きていれば良い事もある・・生まれてきて良かった・・
曲の終結部もフィギュアバージョンでは1回で劇的に「終わり」ますが、本当は違うのです。
倒れても倒れても、暗闇の中から何度でも這い上がろうと手を伸ばす…光に向かって何度でも…
そして最後にどうなったのかは判らない。結局そのまま息絶えてしまったのか、それとも何度転げ落ちても這い上がり、とうとう「冷酷な運命」に勝利するのか。
ショパンもそこは決めずに、演奏者や聴衆に判断をゆだねています。
ところでショパンは、39歳という短い生涯の中でたくさんの素晴らしい曲を作っていますが、このバラード第1番は、なんと二十代前半頃の作品です。
「人生は暗闇・恐怖・冷酷さに満ちている。そういうものだと達観する。そして、その暗闇を受け入れて、しかしあきらめずに最期まで生き抜く。」
この事をハタチそこそこのショパンが、バラード第1番でここまで見事に表現したのだから、私も頑張って生きよう…と思えるのです。
バラード第1番/ショパン
クリスティアン・ツィマーマン(1956~ ) ※これは31歳の時の演奏
【土偶の曲解説】
物悲しい不協和音…つらく苦しい日々
そんな報われない日々を地道に生きている。
・ 第2主題 (3分頃~
![ラブ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/006.png)
※ この曲の重要な救いの部分。羽生結弦のショートでは、バッサリと見事にカットされてしまった主題
・ 展開部 (4分40秒~
※ この展開部もフィギュアではカット
巨大な災害や戦争に巻き込まれ(ショパンの祖国ポーランドはロシアに制圧されていました)、滅茶苦茶に翻弄される。
抵抗むなしく倒れる。
光へとむかって。
そして・・・・