8月19日の晩、
ダンナの誘いで久しぶりに矢向の志楽の湯へ行きました。

夏休みだから混んでいるかと思いきや、
露天風呂は私の貸切状態、
雲1つない夜空に煌々と満月に近い月と星が。

一番眺めのいいところで、
今月13日に亡くなった父のことを想っていました。
初七日…。

しばらくすると、一人の老婦人が入ってこられ、

「あら、今晩はいい月が出てますねぇ」と、夜空を見ながら湯の中へ。
(ゴツゴツした石造りなので、転ばぬか心配していた私)

心配をよそに、小柄で痩せたおばあちゃん、
広い露天でお隣に入られ、
お連れがいないようなので、

「お一人でいらしたのですか?」と聞くと、

「いつもそうよ。私は団体嫌いだから。一人が好きなの」と。

お年を聞くと、88歳、
近くの高層マンションに娘さん夫婦と同居、
4代住み続けた千葉を離れ、こちらに来たそう。

19歳の戦時中に、医療不足の中お父様を亡くされ、
その後結婚、53歳の時にご主人を突然亡くされ、
女手一人で一人娘を育て、その娘に孫もいないので、
「孫がいたなら使うだろうお金を自分の為に使って、
日本国中を『青春18きっぷ』で一人で旅行しまわってるのよ」と語られる。

神戸の震災の時は、旅の途中で三宮に泊まっていたそうで、
「そりゃ、もうスゴイ揺れだったのよ。あのときは、2日間足止めされてね」。

そして、
「今年は松本清張の砂の器の舞台になった鳥取へ行く予定なのよ」と、
楽しそうに微笑みながら話してくれた。

まだまだお話を聞きたかったけれど、
お話に夢中になって湯あたりしてはいけないと、
10分そこそこの出逢いと別れでしたが、
長い人生を生き抜いてきたからこそ、得られた底力と
自分らしさを肯定する生き方を、話してもらいました。

生前、父からも
「こうあるべき、そうあるべき」と常識的な人間よりも
多少嫌われるくらいの個性的な人間であった方がいいぞ」と
言われたことがあります。

そういう父は、誰に見せることもなく、
こういう絵を描いていました。
猫嫌いではなく、猫が怖かったということが判明。(笑)

サササと描いてしまう父、
私のイタズラ描きを見て、
「ハナシにならんナ!」と言われ、ムカついたこともありました(笑)。

猫宙



登山家の野口健さんが先日ラジオで

「飼い猫が、2ケ月ぶりに帰ってきた私に腹を出して寝転がるんですよ。
腹なんて薄い皮なんですよ!野生の動物は決して腹を見せない姿、
ダメですよ、人間も動物も野生をなくしちゃ!。
だから僕は、腹を見せると怒るんです」
と言ってました。

昨日、夕方のニュースで
99歳のホームレスの男性が出ていました。

「私は今まで、何があっても拳を揚げたことがない」

「最近、いいお告げがあったんですよ。私は130歳まで生きるそうです。
そうしたらギネス記録ですよ」と。

ホームレスでありながら、長生きを喜びとする。

人それぞれ、個性を大切に、今を生きる
自己の解放と天に全てをお任せする心境、
この1枚が物語っているようです。

猫宙

みなさま、どうもありがとうございます。