「デカローグ」プログラムD | 猫棒徒然雑記_mirror

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コラム系日々雑記。半径5センチの超近視眼的日常。

2024年6月22日(土)~2024年7月15日(月)
東京都 新国立劇場 小劇場

 

原作:クシシュトフ・キェシロフスキ / クシシュトフ・ピェシェヴィチ
翻訳:久山宏一
上演台本:須貝英
演出:上村聡史

 

「デカローグ7 ある告白に関する物語」

吉田美月喜 / 章平 / 津田真澄 / 大滝寛 / 田中穂先 / 堀元宗一朗 / 笹野美由紀 / 伊海実紗 / 亀田佳明

 

あらすじ

両親と同居している22歳のマイカは、最終学期中に大学を退学。

彼女は6歳の妹アニャを連れてカナダに逃れたいと考えていた。

実はアニャはマイカが16歳の時に生んだ子供で父親はマイカが通っていた学校の国語教師ヴォイテクであった。

その学校の校長であったマイカの母エヴァは、その事実が醜聞になることを恐れ、アニャを自分の娘としていたのだった......

 

「デカローグ8 ある過去に関する物語」
高田聖子 / 岡本玲 / 大滝寛 / 田中穂先 / 章平 / 堀元宗一朗 / 笹野美由紀 / 伊海実紗 / 亀田佳明

 

あらすじ

スポーツ好きの女性大学教授ゾフィアは、隣人の切手コレクターと親しくしている。
ある日、勤務先の大学に、ある日ゾフィアの著作の英訳者である女性大学教員エルジュビェタが来訪する。
ゾフィアの倫理学講義を聴講した彼女は、議論する為の倫理的問題提起の題材として第二次大戦中にユダヤ人の少女に起こった実話を語り始めるが、その内容は二人の過去に言及したものであった......

公式サイトより

 

プログラム7と8

演出は上村さん。

 

重い……重すぎる……

プログラムD

重過ぎて背中が曲がりそうだ……

 

エピソード7は、

娘に厳しくし過ぎた母親が、

娘が若くして産んだ孫を

自分の娘として育て直しをしている。

 

という内容で、

本当にもう見ていてしんどかった。

 

母親との関係が破綻した娘は、

自分の娘と新しい親子関係を築きたいと

海外移住を考えているのだけど、

 

結局、計画はすべてばれて頓挫し、

娘はただ一人、電車に乗って旅立ってしまう。

 

きっともう一生。

彼女らは会うことはない。

 

新しい世界で新しい家族と

幸福になって欲しいと思いながら、

残された歪な家族は歪なまま

時間を重ねるのだろうか。

 

対話をすることを諦めた人たちの

絶望の物語。

 

翻って、

プログラムEは

対話することによって

赦し先に進んでいく物語。

 

ナチスの迫害が迫っていた時代、

ユダヤ人少女が亡命するために、

保証人が必要で、

その保証人を紹介してくれる約束が

一方的に反故されてしまう。

 

自分の家族を守るために

約束を反故にしたのが大学教授で、

反故にされたのが来訪したきた彼女だった。

 

二人は対話を重ね、

状況と心理を整理していく。

 

赦しとは

相手に対することではなく、

自分に対すること。

 

囚われていた過去を赦して、

先へ進んでいく。

 

対照的なエピソードを並べたことにより、

なんとも言えない気持ちで

劇場を後にしたのでした。