2024年2月10日（土）～3月3日（日）
東京都 シアタートラム
作：横山拓也
演出：瀬戸山美咲
出演：坂東龍汰、近藤公園、綱啓永、正名僕蔵、新納慎也、相島一之
あらすじ
小さな漁村、沈丁花が見事に咲く瑞香院という神社、あとは海沿いのささやかな温泉があっただけのコノ島が、25年前のリゾート開発でおかしなデザインのホテルが建ったり、温泉施設ができたり、本土との定期連絡船が設定されたり、随分様変わりした。
そのことが直接関係あるわけではないだろうが、コノ島を「う蝕(しょく)」が襲い、島のあちこちを陥没させて、たくさんの人を飲み込んだ。
この地盤沈下のような現象を「う蝕」と言い出したのが誰なのかは不明だが、まるで虫歯がジワジワと侵食してくるように、地面にポッカリと穴を開けていく。
犠牲者の身元判明のために集められた歯科医師たちがいる。コノ島に移住して歯科医院を開業している根田（新納慎也）、本土からやってきたこだわりが強い歯科医師の加茂（近藤公園）、臨床実習で加茂に世話になったという木頭（坂東龍汰）の3人。彼らが歯科治療のカルテを使って、犠牲者の歯の状態と照合していく作業を進めていこうとしていた矢先に、２回目の「う蝕」がやってきた。遺体安置所や避難所までもが穴に沈む。またいつ次の「う蝕」にやられるかわからない危険性もあったので、コノ島に全島避難指示が出された。
まだ自分たちの仕事は終わっていないと、ここに留まることを選んだ歯科医師たち。そこに、役人の佐々木崎（相島一之）と、２度目の「う蝕」のニュースを聞いて居ても立ってもいられなくなった派手な出立ちの歯科医、剣持（綱啓永）が本土からコノ島に渡ってくる。
土砂を掘り起こす土木作業員が来てくれないことには、今、彼らにできる作業はなにもない。しかし、作業員たちは待てど暮らせどやってこない。現れたのは、思わせぶりに白衣をまとった久留米（正名僕蔵）という男。彼は言う。「この中に、ここにいるべきではない人間がまざっている」
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公式サイトより
横山拓也さん
と
加藤拓也さん
と
同一人物だと思って、
仕事量すげぇなと思ってたこともありました。
劇団iaku
と
劇団た組
です。
全くの別人です。
というわけで。
未曾有の災害「う蝕」
じわじわと人を建物をすべてを
飲み込んでいって、
その跡は普通の地面に戻る。
というこの災害を
イメージできるかできないかで、
この芝居の解像度はかなり変わると思う。
う蝕とは虫歯のこと。
虫歯のように、毎日ちょっとづつ進行して、
気がついたら手遅れになっている。
という意味で名付けられたらしい。
じわじわ飲み込まれてくのに、
逃げられない……
うーん、うまくイメージできないな……
そこは力技で押し切って、
知り合いが埋まっているらしい地面に、
木材を立てて目印にする男。
その男の先輩が側にくっついては、
いろいろと語りかけてくる。
男は歯科医。
飲み込まれた住人の遺体を確定するために、
全国から派遣されてきた歯科医。
だか、確定する遺体を見つける前に
全島避難の指示が出される。
島の近くには凶悪犯を集めた刑務所があって、
模範囚たちが土木工事のために
やってくることになっていた。
ここにいてはいけない者。
ここにいるしかない者。
ここにいて欲しい者。
島が沈む。
その前に全ての決着をつけなければ。
災害に対処する人たちがテーマになっているので、
能登地震を受けて、上演中止も真剣に検討した
そうですが、
悪い意味で我々は災害に慣れてしまっている。
今更、気遣いされても、されなくても、
同じ気がする。
個人的には、上演してくれて、
よかったと思いますが、
見たくなかった人もいるかもなあ。
被災地に歯科医が派遣されてくる。
職務を超えた職務には頭が下がる。
消えてしまったもの。
飲み込まれたもの。
失ったもの。
残された手がかりは
きっと
穴の底にある。