余計な消費をしない(Reduce)ということを考える時、日本人の「商魂」が邪魔をしているような気がします。スーパーに食料品を買い物に行くと、全ての野菜、果物、魚、肉、加工品が綺麗に清潔に丁寧に包装されています。必要のないところにまで手をかけて、その分の料金を付加しているように思えます。製造者から小売業者に至るまでの全てのライン上で、どうやって付加価値を付けるか、どうやって最終的に購入する人から多くのお金をせしめるか、多くの人が考えすぎている結果ではないでしょうか。
_綿や野菜の売り方
アメリカ:アメリカのスーパーでは、果物や野菜はバラ売りが基本です。山のように積まれた裸の果物や野菜の山から自分で選びます。リンゴやオレンジのようなものは均一価格、葡萄のような個体差が大きいものは量り売りがほとんどです。慣れないうちは売り場の1ポンドの価格表示に戸惑い、いったい自分が持ち上げた大きなブトウの房がどれくらいするのか分かりませんでしたが、実は売り場に必ず秤が置いてあり、レジまで心配を引きずらなくても売り場で値段がわかるようになっています。自分で選べるからといって、山を崩すまでして奥のほうから少しでもよいものを、と掘り出しているような人は見かけたことがありません。みな、適当に手に当たるものをカゴに入れていっていました。
日本:日本は大きなリンゴと小さなリンゴ、赤いものと青いものをうまく組み合わせてパックにして売っている訳ですよね。多分、小さくて青いものまで売りたいからこういう売り方になったのだと思いますが、パックにかかる費用や労力を省いて、小さくて青いものは加工に回す、というようなアイディアのほうで勝負して欲しいと思いませんか?
△菓子・乾物などの売り方
アメリカ:だいたいのスーパーにはバルクフーズと呼ばれる量り売りのスペースがあります。自分のすきなだけお米を買ったり、チョコを買ったり、ミックスナッツを買ったり、とても楽しいコーナーです。ビニール袋にお目当ての商品を入れたら、紙リボンのついた留め金で袋をとじます。そのリボンに、商品の容器についている番号を書き込むと、レジでグラム単価がわかるようになっています。当然、書き間違いもあるでしょうし、故意に単価の安いものの番号を書き込むこともできるのでしょうが、レジでのチェックはまったくありません。だれもそんなことに腐心しているような感じもありませんでした。
日本:日本で量り売りが定着しないのは、レジでの手間が多い、とか、客に取らせると商品が傷む、とか、衛生上の問題、とかでしょうか。大袋で買うとお買い得、と言われると確かに惹かれますが、1個でも100個でも同じ値段、というほうが、本当は消費者の立場が良いのではないか、と思います。だって1個欲しいという消費者をバカにしていると思いませんか?先日ネジ1本を買いにホームセンターに行き、唖然としました。100本くらい入った袋しかないんです。それで今、99本のネジが無駄にひきだしに入っています。
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アメリカ:大型スーパーではやっていませんでしたが、フードコープと呼ばれる地元密着型の食品店で、味噌やその他の調味料の量り売りをしていました。驚いたのは、どんな空き瓶でもオッケーで、レジの人が量りにかけて、風袋分を完全に勘で予想し、重さから引いてくれます。だから担当の人によってものすごく差がでます。でもだれもそんなこと気にしている気配さえ感じられませんでした。タッパーを持ってくる人、マヨネーズの空き瓶を持ってくる人、と様々でした。
日本:まずは、衛生面でこの売り方は通らないのだと思います。でも日本のスーパーの棚に並んでいる、完璧にシールされた様々なパッケージの味噌を見ていると、これだけの労力とコストが本当に必要なのかと疑問に思います。もともと、味噌などの発酵食品は熟成がとまるものではありません。使いながらも冷蔵庫の中で、冷暗所で、ゆっくり熟成・成長していたものです。でも商品として棚に載せるのにはそれでは困る、とでも小売店が思ったのかしら。最近は発酵を止めるような処置をして売っているものが多く見られます。熟成している段階では腐ることはありません。熟成をとめるから腐るんです。味噌の国がこんな売り方をしていたら、そのうち本物の味噌が食べられなくなるんじゃないかしら。

私は別にアメリカびいきな訳ではありません。日本が大好きで、アメリカには長く住めない人間です。でも、こと小売りに関しては、アメリカ的な「大雑把な」商売、「適当な」商売が、結果としてReduceを実現させられる可能性を秘めていると思います。ここから少し学んでもいいと思うのです。