「このお店やさんはウィンドーだけなんやね」
「そやね、こじゃれとってかわええね」







「ここは香水のお店やさんなんやね」




「お花屋さんもあるで」




「あそこにおっさんおるで」
「あの人は実業家やねん」
「なにしとるん?」
「星を数えて自分のにしとるんよ」
「さよか」




「こっちにもおるで」
「あの人に見つかったらあかん」
「なんでや」
「だれかれかまわず自分の家来にしてしまうんや」
「なんで?」
「王様なんやて」
「そやからぼっちゃんがあの人のとこ行った時もな『やあ、家来が来たな』、いうとったんやて」
「そらかなわなんなー」




「あそこにもおるで」
「あの人点灯夫さんや」
「さよか」
「陽が沈んだらガス灯に明かりをともすのが仕事なんや」





「こっちにはおめかししたぼっちゃんおるで」
「さっきもお会いしましたけど、こんにちは」
「うちらイコズです」
「ここ、めっちゃええとこですね」




「教会あるで」
「行ってみよ」




「ここは入っていいんやろか」
「ドアあいとるしな、ええんとちゃう」




「ここで結婚式とかしよるんかな」




「ステンドグラスきれいやね」
「よく見てみるとキツネはん模様とバラの花模様が見つかるで」
「いえっさはんもおるね」

「教会の手前のとこの植え込みはええもんの形しとるんやで」
「そろそろお腹すいてきたなー」



「あ、ホトトギス咲いとるで」
「あ、どんぐり落ちとるで」




「うちらもおめかししたろ」

イコズ、そろそろお昼ご飯の時間でしょうか。