「うちがきっと好きだっていうとこここ?」
「なんかかわええ看板あるで」
「レストランの看板やね」
「レストラン プチ プランス?!」
「こじゃれたお名前のレストランやね」
「スイコはん、こっち来てみ」
「なんやろ、このオブジェ」
「スイコはん、これな~うちの大好きな本に出てくんねん」
「これな、星やねん」
「ほー」
「上に男の子おるやろ」
「おるね」
「あの子の住んどる星やねん」
「ちいそうてかわいらしい星やねんね」
「すぐ上んとこのはバラとついたてなんやで」
「ふんふん」
「星には休火山が二つと活火山がひとつあるんやで」
「危ないんとちゃう?」
「小さい火山やから手入れさえ怠らなければ大丈夫なんやて」
「手入れができる大きさやねんね」
「活火山のほうは料理に使っとるんや」
「ほんまや、右っかわのが活火山なんやね」
「わー、うち、大好きな本のとこにこれて幸せや」
「そやけど、『星の王子さま』って童話やろ、イコはんが好きとは意外やね」
「なんかな、うち、関東来て楽しくてええんやけどね、たまーに関西が恋しくなることあってな」
「ふんふん、そないなことあるな」
「その気持ちと、ぼっちゃんが故郷を懐かしむ気持ちと重なるねん」
「なるほどなー」
「中入ってもええんやろ?イコイコ」
「わくわくするな、曲がり角の向こうはどうなっとんのかな」
「かわいく刈り込まれた木やね」
「道や壁もええ感じやね」
「わーお花がいっぱいや」
「センスのええガーデニングデザインやね」
「ダリアの花もきれいやけど、黄色いまるこい花かわええね」
「こないな小道見ると先行ってみたくなるな」
「行き止まりなのわかってても行きたなるな」
「わー、うちの大好きなシュウメイギクや」
「もうすっかり秋のお庭やね」
「こっちの赤い丸いのもかわええ~」
「このつぼみ、めっちゃかわええね」
「咲くとむこうの白いお花になるんやろか、不思議やね」
「あ、イチモンジセセリさんおるで」
「こういう門の向こうってなんかわくわくしよるね」
「入ってみたいな」
「わ!スイコはん、この門の飾り」
「なんかシュウメイギクみたいな星やね」
「これな、本の挿絵の星の形まねてありよるんや」
「さよか、めっちゃ凝っとるんやね」
「なんか、うち感動したで」
「このアーチくぐった向こうはバラ園になっとるみたいや」
「バラの実がなっとるね」
「普通は後から咲く花に栄養をあげるために咲き終えた花は摘むさかい実はならへんのやけど、摘まれずに残っとったんやね」
「きれいな色やね」
イコちゃんが「星の王子さま」を愛読してるとは意外でしたが、イコズの旅はまだ続きます。












