「蔵づくりの町並みをすぎて、『札の辻』いう交差点を左へ曲がると菓子屋横丁なんやで」

「通り沿いにあるはずや」

「お店の名前は『岡野屋食堂』いうんやで」

「お~、イコやん、しっかり調べよったんやね」

「うち、うどんめっちゃ好きやさかい」


「ここや、ここや」

「川越名物肉汁うどん、やて~」





「・・・」

「・・・・」

「もしかして」

「ひょっとして」


「お休みや~~~~」


「ショックや~」

「うどん、食べられへん」


あー、困ったね、どうする?他のもの食べる?


「うちらお腹ぺこぺこや」

「・・・・肉汁うどん・・・・」


少し戻ったあたりに別のうどんやさんあるみたいだよ


「・・・・肉汁うどん、ありよるやろか」


どうだろね、でもね、そこうどんじゃなくて「うんとん」っていうんだって

どんなのかな


「うんとんいううどんなん?」

「行ってみよ、うんとん、食うたろ」




「うんとんやけど、要するに麺やね」

「小江戸どん、うまそうやね」

「うんとん御膳もええねえ」

「そやけど、他にもいろいろ買い食いするんやろ?したらあんまりお腹いっぱいにせんほうがええんとちゃう?」

「したら、このかきあげめん(税込み1080円)にしたろか」




「窓から外の見えるカウンターに座らせてもろたけど、なんかのんびりできてええね」

「あすこに誰かおるで」

「お腹ペコペコで飛び込んでもたから入るときは気づかんかったね」

「春夏秋冬いうお店やねん」



「かき揚げめん、きたで」

「うまそや」


「三つ葉たっぷり入ったうどん、ええにおいするなー」

「めんはうどんがきしめんよりになったみたいな感じやね」

「かき揚げ、さくさくや~」

「サツマイモが入ってるで」


「けっこうしょうゆがきいとんねんね」

「お醤油屋さんがやってるお店やねんて」

「なるほどなー、関西のうどんとはまたちょっと違ってこれはこれでうまいね」


「したら、あそこにおる人にあいさつしたろ」




「こんにちは、うちらイコズです」

「関西から関東へ引っ越してきて今日は川越観光しとるんよ」

「何か食べてるの?」




「ちょっと失礼させてもろて見せてな」

「うんとん食べてるのやね」

「うんとんちゃんいいよるの?」




「股のとこに赤ちゃんおるね」

「ペンギンさんみたいやね」

「『春夏秋冬』いうのはここのお店の名前やね」

「ほんまもんの看板娘やねんね」


「うんとんちゃんとこのうんとん、うまかったで~」

「今日は会えてうれしかったで、またな」


「川越のランドマークは『時の鐘』やったね」

「このあたりにあるんとちゃうか」

「行ってみよか」


さて、お腹もふくれたイコズたち、川越の町は見所がたくさん、食べどころもたくさんなので、もう少し続きます