あー苦しい やっぱり嫌いやわー | ねこの実両親介護日記

ねこの実両親介護日記

パーキンソン病の父を見送り、その後片目失明と左半盲になった母の在宅介護日記。
視野が少しになり、老人性難聴もある母は、坂道を転げ落ちる様に認知症になりました。

   母が起きだした。

  「おはようさん」 私が言うと
  「おはようさん」 同じ様に返ってきた。

   良い出だしだった。
   車椅子に移乗させようとすると腰が濡れている。パッドの吸収量オーバーで腰の方から漏れてきたようだ。何十日ぶりの事。
   
   でもこんな事は平気。ベッドの防水シーツごと車椅子に座らせる。


   トイレに行き、直ぐ隣の洗面所の洗濯機の蓋を開け
  「オシッコで濡れてるから、全部脱ぐよ」声を掛ける。耳が遠いから大声で。


   ここからだ。


  「濡れてへんで」
  「オシッコしてへんもん」

  「濡れてるの」と、まずTシャツを脱がし、洗濯機に放り込む。

  「いや〜凄い事しやるわ」

    トイレに入り便器の左側のカウンターに取り付けた手摺りに掴まらせ、ズボンを下げて便器に座らせる。この時いつも後ろにいる私の方に座ろうとするので腰を持ち90度回転させねばならない。この事を認知症の母は覚えられず毎度行なう。
   手首が痛いが、それよりも母の

  「いや〜恐っ。乱暴な人や!」これが痛い。

  右目失明と残る左目も半盲で、良く見えてない状態で身体を回転させられて座るのだから、それは恐いと思う。でも毎度だから、とても疲れる。


   ズボンを脱がすと

  「いや〜裸になるやん。何すんの?」

  「オシッコで濡れてるから着替えるの!」

  「オシッコなんかしてへん!」

   そう言い張るので、ずっしりと尿を含んで重たくなったパッドを破いた紙パンツと共に母の手に持たせてやった。

  「いや〜捨てて!   コレ!」 

   分かってるんやん、やっぱり!


   清拭用のタオルを濡らすため洗面所のシングルレバーをお湯側にひねり、熱い湯が出るのを待ち、洗濯機にワイド◯イターを入れてる間も大声で、

  「シャツを持ってきてー
      パンツを持ってきてー  はよう(早く)」と、

   カウンターの上を触りまくり、消臭剤やら花瓶やらスプレーを倒しまくっている。


   お湯が出てタオルで身体を拭き始めると

  「何やの?」と。

  「オシッコが付いてるから拭いてんの!」と言うと、出ました。ーーー私の嫌いなコレ。

  「ふふっ」    

   母がよくする、人を小馬鹿にした様な、嘲笑するような笑い。

   これがもう、たまらない。
   これがもう、イヤだ。

   これがもう、嫌いだ。ホントに。



   身体介助は、こちらが余程疲れていない限り苦ではない。

   この嘲笑の様な笑い。これが耐えられない。



   これは何?  
   本当は認知の芝居をしてるだけではないの?

   それとも考え過ぎ?

   元気な時から平気で人が傷付く事を言っていた母だから、勘ぐってしまうだけなのか?



   もう私は、喋らず只黙って服を着せる。

   部屋に連れて行き介護テーブルの前に車椅子を止めて、知らんふり。無視。ネグレクト。


   怒りが収まるのを待つ為に他の方のブログを読み続けていると、長女が母にヨーグルトを出してくれた。




   ちょっと落ち着いてきたので、母の朝食の用意をするか……



   ありがとう、娘ちゃん。