習近平が密かにすすめる世界戦略が判明…!経済大低迷で中国が追い込まれる「要塞経済」のヤバすぎる中身
止まらない習近平の拡大志向
大統領選が大詰めを迎えるアメリカで、中国への脅威認識が急激に高まっている。
前編『習近平の「新覇権戦略」がアメリカに暴かれた…!拡大志向と経済音痴の宰相が密かにすすめる「孤立経済化」への危うい道程』で紹介したように、6月20日付米ニューヨーク・ポストは、米国内の19ヵ所の軍事基地に近隣する農地を中国の企業・個人が所有していることを示す地図を掲載した。
アメリカでは日増しに中国への警戒感が高まっている Photo/gettyimages© 現代ビジネス
「太平洋のハワイから南部フロリダに至るまで、各地の米軍基地が深刻な安全保障上の脅威にさらされている」というメッセージだ。
いまや宇宙空間も中国の独壇場となりつつあるが、とりわけ中国海軍の拡大志向は、世界中で影響力を強めている。
極めつけは、中国の艦船が7月20日、ロシアのサンクトペテルブルクで開催される式典に参加するため、「北大西洋条約機構(NATO)の湖」と呼ばれるようになったバルト海に入ったことだろう。世界最大の海軍力を誇る米国の座があやうくなる中、南シナ海の安全保障を巡り、中国との攻防が一層激しくなっている。
米中が激突する「南シナ海」
特に、南シナ海は世界の交易を支える大動脈だ。
世界で取引される貿易商品の4分の1が南シナ海を通過する。原油と液化天然ガス(LNG)に限れば、全貿易量の半分だ。
南シナ海の重要性は経済面に限らない。
南シナ海を行く貨物船 Photo/gettyimages© 現代ビジネス
米国は最近「南シナ海は米中の覇権争いの行方を決する場所だ」と認識するようになっている。
19世紀末から20世紀初頭にかけて、米国は欧州勢を追い出し、南北アメリカ大陸を支配できるようになったが、中心点に位置するカリブ海を押さえることでそれを可能にした。南シナ海もかつてのカリブ海に相当し、ここを勢力圏に収めた国がインド太平洋の覇権を握ることができるという認識だ(8月2日付日本経済新聞)。
中国も米国と同様の認識を有しており、米本土全体に届く核ミサイルを搭載した原子力潜水艦を南シナ海に本格的に配備しようとしている。
双循環モデルに逆行する「要塞経済」
習近平指導部は米国との長期戦への備えも始めているようだ。
米カリフォルニア大学の研究チームは7月30日「中国政府は外的なショックに耐えるため『要塞経済』化を進めている」との分析結果を発表した。
要塞経済とは、他国から制裁を受けても自力で維持できる強靱な経済のことだ。
習氏は2020年に「国内大循環を主体として、国内外の双循環が互いに促進する経済体制を目指す」とする「双循環モデル」を提唱したが、米国との対立激化を受けて、自給自足に軸足を置いた経済体制を構築しようというわけだ。
だが、「言うは易し、行うは難し」だ。
無謀なチャレンジ
不動産不況に起因する内需不足を改善することができず、輸出依存の構図が鮮明になっている。都市化と異常気象の頻発が災いして国民全体に必要な穀物の確保にも黄信号が灯っており、自給自足にはほど遠い状況だと言わざるを得ない。
長期戦の要とも言える人口動態に大問題を抱えていることも気がかりだ。
経済孤立化など本当にできるのだろうか…Photo/gettyimages© 現代ビジネス
出生数に密接に関連する婚姻数は今年上半期、2013年以来の最低水準となった。
中国の出生数の減少スピードは猛烈だ。日本の出生数が半減するまで約40年、韓国が約20年だったのに対し、中国はわずか6年(2016年の1880万人から2022年に956万人)だった。
暴走が止まらない…
中国が長期戦に耐えられる能力が乏しいのにもかかわらず、「習氏は『自分たちがどんな問題に直面しても、西側の競争相手の方が最終的に分裂し敗北するだろう』との揺るぎない自信を持っている」と噂されている。
習氏が「裸の王様」でないことを祈るばかりだ。
さらに連載記事『「中国EV」が欧州の港で大量ストップ…!止まらない欧米の中国包囲網は「プラスチック」へと飛び火!習近平「経済無策」の悲惨な代償』でも、中国経済の深刻な状況を詳しく解説しているので、参考としてほしい。