安倍総理が暗殺されて2年間、ネット民として投票率の問題に正面から向き合ってこなかったという点を反省している。
思えば、失職の可能性こそ自浄作用の始まりである。労働者においては減給・解雇の危険、企業においては減益・倒産の危険があるからこそ、立ち直りのきっかけとなるのである。
したがって、まずは政治家に落選の恐怖を植え付けることから始めるべきであったのだろう。そして、官僚にはコントロールできる政治家が落選するというプレッシャーを与えるべきである。
安倍総理の暗殺=日本国民を敵に回す!!
この図式を敵に示すことができなかったこと、慙愧の念に堪えない。
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私はネコである。名前はもうない。
【194】「アベノミクスの好循環」を加速する「構造政策」を!
FROM 藤井聡@内閣官房参与(京都大学大学院教授)
「日本経済再生、2020年頃の600兆円経済実現」のためには、「デフレからの脱出速度」を確保すべく、三年間はデフレギャップを埋める大規模な「財政政策」を行うべきである──本メルマガでも何度も主張して参りましたが、この度、「28兆円規模の経済対策」が閣議決定されました。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL02HQM_S6A800C1000000/
ただし、この規模の経済対策を例えば、10年かけてゆっくりやるのと1年間でやるのとでは、「効果」の点で10倍の差があります。したがって、ホントにわが国のデフレを完全に終わらせるためには、第一に、この閣議決定した項目を、可及的速やかに、それこそ、「大至急」執行していくことが必要不可欠です。
そして第二に、これから各種経済指標(消費、賃金、物価、GDP、そして何より、「ネットの資金需要」 http://www.mitsuhashitakaaki.net/2016/07/26/fujii-206/ 等)を確認しつつ、「どうやら、まだデフレギャップが埋まってはいない」という事が疑われたなら、
「躊躇なく」
十分な規模の追加財政支出を図ることが必要です。
さらには第三に、今回の財政政策はあくまでも「第一弾」の措置であって、こうした財政政策は、少なくとも「来年」、「再来年」と継続していくことが必要不可欠です。
そして何より、これらを展開にするにあたって、自民党の新幹事長が示唆された「プライマリーバランス目標の撤廃」の可能性を見据えておくことが必要不可欠であることは、論を待ちません。
http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/wbs/newsl/post_115944/
・・・
このように、しっかりとした財政政策をあと「3か年」は展開していくことが必要不可欠ですが、その財政政策の効果をさらに「拡大」していく取り組みを展開することも、これからは重要になってきます。
つまり、28兆円「規模」の経済対策が閣議決定された今、上記の「経過確認」を決して怠らないようにしつつ、「デフレ脱却後の持続的成長」も見据えた「次なる一手」も必要になります(何度も繰り返しますが、だからといって、財政政策のための展開を緩めては断じてなりません!)。
そしてその「一手」こそ、筆者は、
「賃金と企業投資の拡大を促す、正しい構造政策」
であると考えます。
そもそも、現安倍内閣が推し進めるアベノミクスでは、企業業績、投資・消費、消費が、下記の様に循環的に上昇していく、というイメージを「アベノミクスの好循環」(あるいは、経済の好循環)と呼称し、これを「加速」させることを目指しています。
「企業業績の改善 → 投資の拡大・賃金の増加
→ 消費の拡大 → 企業業績の改善 →……」
http://www.kantei.go.jp/jp/headline/seichosenryaku/sanbonnoya.html
つまり、アベノミクスの成功のためにはこの「好循環」を加速していく方策が求められているのであり、それこそが、「賃金と企業投資の拡大を促す、正しい構造政策」であると、考えます。
ただし、この取り組みを考えるにあたって、まず第一に確認すべきは、誤った構造政策(あるいは、構造改革)は、賃金と投資の縮小をもたらす、という一点です。
例えば、
(誤った構造政策1)「低賃金労働者を受け入れる移民政策」や「低賃金で働く非正規雇用を増やす政策」等を通して、賃金が低い労働者を増やしていく。
(誤った構造政策2)過剰な低価格競争が横行しているマーケットで「過剰な規制緩和」等を行って、低価格競争を激化させる(そしてそれは必然的に、賃金と投資の縮小をもたらす)。
(誤った構造政策3)各企業に「年商の拡大」「総合的な企業価値の拡大」ではなく、単なる「収益の最大化」(あるいは、ROEの最大化)の圧力をかけることを通して、「企業に賃金を下げさせ」、「企業投資を下げさせ」ていく。
といった取り組みはみな、アベノミクスの好循環に「逆行」する、「間違った構造政策」です。
ただし、この一点さえ理解しておけば、我々が実行すべき構造政策の方向は、おのずと示されることになります。
すなわち、上記の三つの政策とは、
「正反対」
の構造政策の展開を図れば良いのです!
つまり、我々が考えるべきは、
(正しい構造政策1)「低賃金労働者を受け入れる移民政策」や「低賃金で働く非正規雇用を増やす政策」を「抑制」し「縮小」させていく。
(正しい構造政策2)過剰な低価格競争が横行しているマーケットにおける「過剰な規制緩和」を抑止し、低価格競争を抑制するような、「過当競争の適正化させる構造政策」を展開する。
(正しい構造政策3)単なる「収益」(あるいはROE)の最大化「だけ」のために経営する企業姿勢から、「年商の拡大」や「総合的な企業価値の拡大」のために「賃金の上昇」や「未来への投資」を重視する企業姿勢への転換を促す構造政策。
等です。
どうも構造政策(structural policy)というと、上記の(誤った構造政策1、2、3)が想起されがちですが、実は、構造政策には、その「真逆」の上記の(正しい構造政策1、2、3)も存在しているのです!
これらはいずれも十分な国民理解が広まっていないのが実情ではないかと思われますが、中でも特に理解されていないのが、(正しい構造政策3)です。
この方針を理解するには、企業というものがどういう存在なのかを理解する必要があります。
そもそも、企業というものは、株主の利益(配当)のためだけに存在しているのではありません。
第一に「商品・サービスをつくって、社会に供給する」ための存在であると同時に、「社会の一員として利益の一部を税金として政府に納める」存在でもあります。
さらには、
A.商品・サービスをつくるための技術を継承し、発展させる
B.雇用を創出し、人々に賃金を分配する
という存在でもあります。
そして、企業が「A」の側面を重視する経営判断を行えば、「年商」として儲かったお金の多くを「投資」に割り振ることになります。
さらには企業が「B」の側面を重視する経営判断を行えば、年商として儲かったお金の多くを「賃金」として、労働者に分配します。
ところが、企業が、「株主の利益」を過剰に重視してしまえば、AやBを無視して、とにかく「株主配当」を増やすことになるでしょう。
つまりは、(誤った構造政策3)とは、そういう「株主の利益だけを過剰に重視する」という企業の姿勢を促す政策であり、それとは逆に、(正しい構造政策3)とは、そういう姿勢ではなく、「技術の継承や発展」「こようを創出し、賃金を分配する」という側面を重視する姿勢を促す政策、なのです。
こうした「正しい構造政策」が展開できれば、財政政策等を通して改善した企業収益の多くが、投資や賃金に割り振られ、それを通して消費も拡大し、経済はさらに拡大していきます。
真にアベノミクスを成功させるには、こうした「正しい構造政策」の議論を展開しなければなりません。
それでは具体的にどういう政策があるのか──それについてはまた、次回以降、さらに詳しく考えていきたいと思います。