【エルサレム=福島利之】パレスチナ自治区ガザ中部ヌセイラットで8日に実施された人質4人の救出作戦を巡り、英週刊紙「ジューイッシュ・クロニクル」は、イスラエル軍などの特殊部隊が地元住民のふりをして人質の拘束場所付近に家を借り、監視するなど作戦の内幕を報じた。イスラエル軍の司令官だった経歴を持つ記者が、イスラエル高官の話として伝えた。

 同紙によると、イスラエルは5月12日、拘束したガザ住民の尋問から人質4人がヌセイラットに拘束されているとの情報を入手。現地に住民と同化する特殊部隊を派遣し、市場での情報収集で、19日後に人質の居場所を特定したという。

 ヌセイラットには6月初め、パレスチナの避難民を装うため、ヒジャブ(スカーフ)を頭にかぶった黒い服装の女性を含む隊員が、2台の古い車に分乗して到着した。一行は、人質の居場所近くに家を借り、監視を始め、作戦の前日に姿を消した。隊員はガザなまりのアラビア語を話しており、怪しまれなかったという。

 人質救出ではイスラム主義組織ハマスと激しい戦闘となり、住民274人が巻き添えで死亡し、イスラエルは国際的な非難を浴びた。