全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!

北野です。



先日、YouTubeで

◆【米大統領選挙】トランプ再選の可能性、世界を混乱
させる政治になるのか

https://www.youtube.com/watch?v=vidPmaa9eTc

という動画を出しました。

(@もしよかったら、チャンネル登録お願いします。)

するとコメント欄に、


<北野氏の本をかなり読ませていただきましたが、ロシア
に住んでいた頃と、正反対の事を言っておられますね?
そうなった理由をぜひ聞かせていただきたいです。>


というのがありました。

ウクライナ戦争が始まって、私は、はっきりとウクライナ
側についています。

それで、昔の本を読まれた方は、「北野は変わった」と思
われるようです。

とはいえ、私自身は、今も昔も何も変わっていません。

「北野は変わった」という人は、


「昔は親ロシアだったが、今は反ロシアになった」


とか、


「昔は親プーチンだったが、今は反プーチンになった」


とか考えているのでしょう。

しかし私は、親ロシアではありません。

親米でも親中でもありません。

私は、モスクワ時代から一貫して【 親日 】です。

私の考える基準は、「親プーチン」とか「反プーチン」と
かではありません。

一貫して、【 日本の長期的国益 】です。


これだけいっても、キレイゴトに聞こえて、あまり説得力
がないでしょう。

もう少し詳細に振り返ってみます。



▼2000年代の私の主張



私がメルマガをはじめたのは、1999年です。

なんと、プーチンがまだ大統領でなかった時代。

2000年代初め、私には来るべき未来が見えました。


・中国が超大国になる。

・中国は覇権を目指し、日本の脅威になる。


私の結論は、どうだったのでしょうか?


・日本は、アメリカとの同盟関係を強化すると共に、

中国とロシアを分断し、ロシアを日米側につけなければな
らない。


これは、突飛な発想でしょうか?

リアリズムの神様ミアシャイマーさんも、世界一の戦略家
ルトワックさんも、

大昔から「アメリカ最大の脅威は中国」

「中国に勝つために、中ロを分断し、ロシアを味方につけ
ろ」


と主張していました。

2005年、私は一冊目の本『ボロボロになった覇権国家アメ
リカ』を出版しました。

この本の内容をざっくり書くと、


・近い将来、アメリカ発の危機が起こって、アメリカ一極
時代は終わる。

・中国は、08~10年の危機を短期間で乗り越え、2020年ご
ろまで成長をつづける。


実際、この本が出版されてから3年後の2008年、リーマンシ
ョックから「100年に1度の大不況」が起こった。

それで、「アメリカ一極時代」が終わったのです。

そして、中国は、予測通り、危機を短期で乗り越えた。

それで、世界は「米中覇権戦争の時代」に突入していきま
す。


私は2冊目の著作


『中国ロシア同盟がアメリカを滅ぼす日~一極主義対多極
主義』(2007年)


の中で、「日本は、中国とロシアを分断すべき」と主張し
ています。

その後も、一貫して「中ロを分断すべき」と書きつづけて
きました。



▼反日統一共同戦線を無力化するために、ロシアとの和解
を主張



さて、私3冊目の本は、

『隷属国家日本の岐路~今度は中国の天領になるのか?』

(08年)

です。

この本の主な主張は、


・アメリカは没落した。(この本は、リーマンショックの
直前に発売になっています。)

・これから中国が台頭する。

・尖閣をめぐって、日中対立が激化する。


です。

そして、実際そうなりました。


2010年、尖閣中国漁船衝突事件。

2012年、尖閣国有化。


この二つによって、日中関係は最悪になりました。

そして2012年11月、中国は、ロシアと韓国に


【 反日統一共同戦線 】


創設を提案します。

@全国民必読証拠はこちら↓
https://rpejournal.com/rosianokoe.pdf

中国の主張は、

・中国、ロシア、韓国で、【反日統一共同戦線】を作ろう!

・中ロ韓で、日本の領土要求を退けよう。

・日本に断念させるべき領土とは、北方4島、竹島、尖閣、
【 沖縄 】(!!!!!!!)。

・日本に【 沖縄 】の領有権はない。(!!!!!!!)

・反日統一共同戦線には【 アメリカ 】を引き入れなけ
ればならない。(!!!!!!!)


私は、この情報を知って、


「嗚呼、日中戦争がはじまった・・・・・」


と大いに嘆きました。

そして、即座に


【 反日統一共同戦線戦略を無力化する方法 】


を繰り返し繰り返し、あらゆる媒体で発信するようになっ
たのです。

中国の驚愕の対日戦略。

本質は、以下になります。


・日米関係を破壊する。

・日ロ関係を破壊する。

・日韓関係を破壊する。

・日本を完全に孤立させて、尖閣、沖縄を奪い、日本を破
滅させる、

です。

この戦略に対抗する方法は、理論上簡単です。


・日米関係を改善させる。(鳩山さんのせいでボロボロに
なっていました。)

・日ロ関係を改善させる。(メドが北方領土を訪問し、日
ロ関係はボロボロになっていました。)

・日韓関係を改善させる。(李明博が「日王が韓国に来た
ければ謝罪しろ!」といって、日韓関係は最悪になってい
た。)


それで私は、


「日米関係を改善させましょう!」

「日ロ関係を改善させましょう!」

「日韓関係を改善させましょう!」


と主張するようになったのです。

この話をするとき、「背景」まで、きっちり説明する必要
がありました。

というのも、


「日ロ関係改善」「日韓関係改善」


という主張は、あまり理解されないからです。

しかし、安倍総理は、完全に私の主張どおりに動いてくだ
さいました。


・日米関係は、2015年4月の「希望の同盟演説」で劇的に
改善されました。
安倍さんは、トランプさんとも良好な関係を築きました。

・日ロ関係は、2016年12月のプーチン訪日で、これも劇
的に改善されました。

・日韓関係は、2015年12月の慰安婦合意で一時改善され
ました。


安倍総理は、見事に中国の「反日統一共同戦線戦略」を
【 無力化 】することに成功したのです。


このあたりの話、詳細に興味がある方は、拙著


◆『中国に勝つ日本の大戦略』

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をご一読ください。

証拠つきで全部わかります。



▼なぜ私は、中ロを分断してロシアを味方につけろと主張
しなくなったのか?



さて、安倍総理のおかげで、中国の超反日戦略は、無力化
されました。

そして、2018年10月、ペンス副大統領の「反中演説」から
【 米中覇権戦争 】の時代がはじまったのです。


安倍総理のおかげで、【 日中戦争 】は【 米中戦争 】
に転化しました。

私は以後、「中国に勝つために、中ロを分断し、ロシアを
こちら陣営に引き入れましょう。

そのために、ロシアを仲よくしましょう」

とあまり主張しなくなりました。

「反日統一共同戦線戦略」の脅威が、ひとまず後退したか
らです。

それでも、「日ロ関係どうしたらいいですか?」と聞かれ
れば、

「中国に勝つためには、ロシアを味方につけた方がいい」

と答えていました。

これは、リアリストだったら、「スタンダード」な答えで
しょう。

たとえばルトワックさんの超名著


◆『自滅する中国』

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を読めば、日本は中ロを分断すべきだと書かれています。


しかし、2022年2月24日、状況は完全に変わりました。

プーチンが、隣国ウクライナへの侵略を開始したのです。

2022年3月2日、国連総会でこの侵略を非難したのは141か
国です。

この決議に反対、すなわちロシアを支持した国は、

ロシア、北朝鮮、シリア、ベラルーシ、エリトリアだけ。


このメンツをみてください。

ロシアが、国際社会で完全に孤立しているのは明らかです。

ところが、「親プーチン派」は、棄権した35か国をちゃっ
かり「味方」にカウントして、

「孤立していない」と主張します。

これは、完全に「詭弁」でしょう。

日本がロシアのウクライナ侵略を支持して、

北朝鮮、シリア、ベラルーシ、エリトリア

の仲間入りする?????????

はたしてそれが、「日本の国益」でしょうか?

違うことは、子供でもわかります。


もう一つ。

日本と欧米がウクライナを支援せず、プーチンがサクッと
勝ったとしましょう。

習近平はそれを見て、


「プーチンがウクライナを侵略しても、日本と欧米は何も
しなかった。

俺が台湾に侵攻しても、日本と欧米は動かないだろう。」


と考え、台湾侵攻の可能性が高まります。


しかし、日本と欧米の支援で、ロシアが戦争に負け、プー
チンが失脚すればどうでしょうか?

習近平は、


「日本と欧米の支援でウクライナは勝ち、プーチンは失脚
した。

台湾に侵攻すれば、日本と欧米の支援で台湾が勝ち、俺も
失脚することになるだろう。」


と考え、台湾侵攻の可能性が減ります。

つまり私たちは、ウクライナを支援することで、台湾侵攻
を阻止する戦いをしているのです。


まとめます。

私は、「親プーチン」とか「反プーチン」とかいう基準で
物事を考えることはありません。

私が考える基準は、常に【 日本の国益 】です。

中国に勝つためにロシアと友好関係を築くことは、

【 日本の国益 】に適ったことでした。

しかし、2022年2月24日に、ロシアがウクライナへの侵略
を開始した後は、

ロシアと友好関係をつづけることは、

【 日本の国益に反すること 】になったのです。


私は、変わったのでしょうか?

根本は、何も変わっていません。

昔も今も、【 日本の長期的国益 】を軸に情報を発信し
ています。

昔はロシアと友好関係を結ぶことが【国益】だったのが、

今は【国益ではなくなった】ということです。

理解できない人に、イギリスの宰相パーマストンの言葉を
ご紹介します。


「英国は永遠の友人も持たないし、永遠の敵も持たない。
英国が持つのは永遠の国益である」


そして、私はいいます。


「日本は永遠の友人も持たないし、永遠の敵も持たない。
日本が持つのは永遠の国益である」


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