静岡県の鈴木知事は7日、東京都内で開かれた、リニア中央新幹線の沿線自治体でつくる建設促進期成同盟会の総会に初出席し、水や環境の問題と両立させながら建設を「推進」する立場を改めて表明した。総会では東海道新幹線の「静岡空港新駅」設置の有効性を確認した。

岸田首相との面会後、取材に応じた鈴木知事(中央)ら(7日、首相官邸で)

岸田首相との面会後、取材に応じた鈴木知事(中央)ら(7日、首相官邸で)© 読売新聞

 期成同盟会の会長を務める大村秀章・愛知県知事が「本日は静岡県の鈴木新知事にもお越しいただいた。我々はリニアの早期全線整備のために一致団結して働きかけを行っていく」とあいさつした。

 鈴木知事は「水と環境の問題はないがしろにできない」としつつ、「国とも協力してスピード感を持ってJR東海との対話を進め、早期全線開業に向けて一丸となって取り組む」と決意を述べた。

 期成同盟会を巡っては、静岡県は2022年7月に加盟し、川勝前知事が昨年5月の総会に初めて出席した。「静岡工区の早期着手」などを盛り込んだ決議が採択されてきたが、川勝前知事は着工を認めず、JR東海は今年3月、27年としてきた東京―名古屋間の開業目標を断念した。

 総会では、リニア整備を契機とした「総合的な高速交通の将来像」の研究成果が示され、静岡空港新駅の設置や県内駅の新幹線停車回数の増加で、地域経済の発展や生活向上などを図れるとした。

 大村会長は「開業時期の遅れは大変残念だが、リニア効果をさらに大きくするための準備期間とも捉えて前向きに取り組みたい」と話した。

 ただ、空港新駅設置については、JR東海は従来否定的だった。また静岡市の難波喬司市長からも「相当な費用を、誰が負担するのか。簡単には決まらないだろう」と、実現可能性を疑問視する声も出ている。

 総会終了後、鈴木知事は期成同盟会の知事らとともに、岸田首相や斉藤国土交通相らを相次いで訪問し、リニアの早期建設を要望した。鈴木知事は「関係者と心合わせができて非常に良かった」と振り返った。