ドローンで撮影した尖閣諸島・魚釣島の北側。植物のない岩肌が目立っている(沖縄県石垣市提供)

ドローンで撮影した尖閣諸島・魚釣島の北側。植物のない岩肌が目立っている(沖縄県石垣市提供)© 読売新聞

 沖縄県石垣市が4月に尖閣諸島・魚釣島沖で行った環境調査について、同市は10日、植生が比較的残っている島北側のドローン(小型無人機)撮影の結果、繁殖した外来ヤギを十数頭確認し、複数箇所で食害によるとみられる斜面の崩落を把握したと発表した。市は「非常に厳しい状況」として、改めて島を所有する国に対し、上陸調査の許可を求める考えを示した。

 調査は昨年1月以来3回目で、市の委託を受けた東海大が中心となり、4月26、27日に実施した。過去2回は魚釣島の南側を調査。食害の影響で植物が激減しており、ヤギは1頭しか確認できていなかった。

 今回は、調査できていなかった島の北側全域の撮影に成功。映像を詳細に確認した結果、草を食べたり、歩いたりするヤギを少なくとも十数頭確認した。一方、複数箇所で緑の斜面の崩落がみられ、沿岸部にはヤギが葉を食べないアダンの木が多く茂っていた。

 また、沿岸部には漂着ごみが埋め尽くすように滞留しており、南側よりもはるかに深刻だった。同大の山田吉彦教授(海洋政策)は「環境の劣化が進み、かなり危機的な状況だ」と話した。中山義隆市長は「ドローンによる調査には限界がある。手をつけられない状況になる前に、できるだけ早く上陸調査をしなければならない」と強調した。

 今回の調査では、中国海警局の船が約1キロまで調査船に接近し、予定していた一部調査を中止した。山田教授は「(調査船の安全を確保する)巡視船が多数いたため、ドローンに電波干渉が生じる危険性があり、安全を優先した。撮影は十分にできており、調査に影響はなかった」と述べた。