小池百合子都知事の〝国政復帰説〟がまだくすぶっている。小池氏が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」が国政進出のために設立した「ファーストの会」が衆院東京15区補選(16日告示、28日投開票)に、作家の乙武洋匡氏の擁立を決めた。これによりウワサされていた小池氏の国政復帰のくら替え出馬の可能性は消えたハズなのだが、いまだゼロではないというのだ。

注目された東京15区補選の候補者でファーストの会は乙武氏を擁立し、自民、公明党も相乗りする公算が大きくなった。しかも小池氏は自ら乙武氏を口説いたことも明かし、取りざたされていた国政復帰からの自民党総裁選への殴り込み&首相就任プランは事実上消滅したかと思われた。都知事選(6月20日告示、7月7日投開票)で3選に集中することになりそうだが、まだスッキリしない状況が続いている。

乙武氏の擁立を明かした先月29日の会見で、都知事選出馬を問われた小池氏は「(新年度予算成立で)都政をこれからまさに実施をしていくということ」と明言を避け、この期に及んでも出馬表明しなかった。

「乙武氏擁立により衆院補選に小池氏が出てくることはさすがにないと思います。ただ、この先は政局次第であり、都知事選の前や同時に衆院解散総選挙となれば国政に戻る可能性もあるということで、まだフリーハンドでいたいのでは」(永田町関係者)

乙武氏がファーストの会の副代表に就任したことで、永田町では〝密約説〟も飛び交っている。元参院議員で実業家の松田公太氏はXに「ファーストの副代表ということであれば15区をステップにして小池さんが引退(もしくは国政へくら替え)する時の後釜狙いでは」とポストしている。

乙武氏は長らく都知事選出馬が取りざたされ、過去には都庁のおひざ元となる新宿区長選への出馬を直前まで検討した。2022年の参院選東京選挙区に無所属で立候補したのも都知事選への布石とみられていただけに今回、衆院補選出馬、しかもファーストの会に入党したことは「意外だ」との声も多い。

「小池氏の弱点は都政で後を任せられる後継者がいないこと。右腕となっている元都民ファ代表の荒木千陽氏は参院選で落選しているように知名度で劣り、後継指名したとしても都知事選では勝てない。その点、乙武氏なら問題はない。ファーストの会の副代表に据えたことは事実上、後継指名したともいえる」(前同)

補選で乙武氏が当選し晴れて国会議員になったとしても、解散総選挙の時期によっては小池氏が辞任して東京15区に転身し、乙武氏がポスト小池の都知事選に挑戦する〝入れ替えシフト〟の可能性も出てくるわけだ。

国政復帰が取りざたされていることに小池氏は「取りざたしているのは皆さんじゃないでしょうか」とケムに巻いてみせたが、日本初の女性首相の可能性が残されている以上、〝小池劇場〟はまだ終わっていないようだ。