全世界のRPE読者の皆様、こんにちは!

北野です。



@個人的な話、お勧め映画、ドラマ、健康話、
あまりにローカルな話(たとえばセーチンの息子が亡くな
ったとか)などは、こちらから配信しています。

https://rpejournal.biz/p/r/LcJ9oxS8




ブリュッセルで3月11日、スウェーデンのNATO加盟を祝う
式典が行われました。

『共同』3月11日。



〈北大西洋条約機構(NATO)は11日、ブリュッセルの本
部でスウェーデンの加盟を祝う式典を開催し、同国のクリ
ステション首相とストルテンベルグNATO事務総長が見守
る中でスウェーデン国旗が掲げられた。

ストルテンベルグ氏は「全員が1人のために、1人が全員の
ために」と述べ、スウェーデンが集団防衛の対象になった
ことを強調した。

クリステション氏は「加盟でスウェーデンは安全になり、
NATOはより強固な同盟になる」とした。〉
ーー


プーチンは2022年2月24日、



「NATO拡大を阻止する」



と言って、ウクライナ侵攻を開始しました。

この時、NATO加盟国は30ヶ国でした。

あれから2年が経ち、フィンランドとスウェーデンがNATO
に加盟しました。

この二国は、伝統的な中立国で、ウクライナ侵攻がなけれ
ば、NATO加盟を全然考えていなかったのです。

しかし、プーチンが主権国家ウクライナを侵略したことで
両国は、考えを変えました。

プーチンは、「NATO拡大を止める!」と宣言してウクラ
イナに侵攻しましたが、

まさにその行為がNATOを拡大させてしまったのです。


これも、プーチン・ロシアの


【 戦略的敗北 】


の一つです。



▼プーチンの仲間、トランプとオルバン



ところで、ウクライナ戦争はどうなっていくのでしょうか?

スウェーデンのNATO加盟に最後まで反対していた男がいま
す。

ハンガリーのオルバン首相です。

「欧州最後の独裁者」といえば、ベラルーシのルカシェン
コ大統領のあだ名です。

(@ロシアのプーチンは、「欧州の独裁者」にカウントさ
れていない。)

ルカシェンコほどではないですが、「独裁的」と常に批判
されているのが、オルバンさんなのです。

オルバンさんは、独裁者仲間ということでプーチンと仲が
よく、さらにトランプさんとも馬が合うのです。

そんなオルバンさんは3月8日、アメリカでトランプさんと
会談しました。

この会談を踏まえてオルバンさんは、こんなことを言って
います。

『毎日新聞』3月12日。



〈ハンガリーのオルバン首相は10日放送の地元メディア
のインタビューで、トランプ前米大統領が11月の大統領
選で返り咲きを果たした場合、ロシアの侵攻を受けるウ
クライナに



「(トランプ氏は)一銭も払わない。だから、戦争は終
わる」



と述べた。ロイター通信が報じた。

オルバン氏は8日に米国でトランプ氏と会談したばかりだ
った。

トランプ氏は、仮に自身が就任すれば「24時間以内に戦争
を終わらせる」と主張しているが、具体策は明かしておら
ず、オルバン氏の発言は波紋を広げそうだ。〉
ーーー



オルバンさんやトランプさんが、ウクライナには【1銭】
も払わないとは言わないでしょう?

英語の記事で確認してみると、【 1ペニー 】も払わな
いとなっていました。

@たとえばBBCは↓
https://www.bbc.com/news/world-europe-68533351

これ、めちゃくちゃありえます。

というのも、トランプさんは、一貫して


「自分が大統領になったら、真っ先にウクライナ支援を止
める」


と主張し続けているからです。

『テレ朝ニュース』2023年3月5日。



〈「アメリカ・ファースト」を強調するトランプ前大統領
が演説を行い、大統領に返り咲いたら真っ先にウクライナ
支援を停止するなどと述べ、自身への支持を訴えました。

トランプ前大統領:「ジョー・バイデンをホワイトハウス
から追い出し、これを最後に、アメリカを悪党どもから解
放するつもりだ」

トランプ前大統領は4日、共和党保守派による大規模イベ
ントの演説で大統領への返り咲きに自信を示し、そうなれ
ば、最優先でウクライナ支援を止めると表明しました。〉
ーー


トランプさんにとっての「最優先課題」は、

「ウクライナ支援を止めること」なのです。


そして、トランプさんは、「言行一致」「有言実行」で知
られています。


さらに、トランプさんの共和党内におけるパワーは、彼が
2017年に大統領になったときと比べ、大きく増しています。

彼は大統領時代も、プーチン・ロシアとの仲を改善しよう
と試みました。

しかし当時は、民主党だけでなく共和党議員もロシアとの
和解に反対していた。

それで、ほとんど何もできませんでした。

ところが今回は違います。

トランプ派は現在、共和党の「主流」になっています。

それで、トランプさんが大統領選で勝利し、


「ウクライナ支援を止めるぞ!」


と決めれば、実際にそうなる可能性が高いでしょう。

すると、どうなるでしょうか?

ウクライナ軍が健闘しているのは、彼らの士気が高いだけ
でなく、

欧米からの武器、資金支援があるからです。

アメリカからの支援がなくなれば、ウクライナは欧州(特
にイギリス、ドイツ、フランス、ポーランドなど)
に頼ることになります。

しかし、アメリカの支援なしで、ロシアと対峙し続けるこ
とは難しいでしょう。


だから、トランプさんの「24時間以内に戦争を終わらせる」
というのは、


・トランプさんが大統領になる

→・ウクライナへの支援を完全に止める

→・ウクライナは資金と武器弾薬がなくなってこまる

→・ウクライナは、プーチンが提示する条件で停戦せざる
を得ない状況に追い込まれる

→・プーチンの条件で停戦成立


ということなのでしょう。

しかし、トランプが大統領になれば、

「24時間」、あるいは「極短期間」で戦争が終わるかわか
りません。

なぜでしょうか?

現在のプーチンの条件は、「現状維持の停戦」です。

つまり、2014年に併合したクリミアと、2022年に併合し
たルガンスク州、ドネツク州、ザポリージャ州、へルソン


をそのままにして停戦する。

ロシア軍はクリミアと4州にとどまり、実効支配を続けて
いく。

ただこの条件は、「ロシア軍が比較的劣勢」の状態で出さ
れたものです。

『日テレニュース』2023年12月24日付。



〈アメリカの有力紙ニューヨークタイムズは23日、ロシ
アのプーチン大統領が条件付きでウクライナ側と停戦交
渉に応じる用意があると報じました。

ニューヨークタイムズがアメリカ政府関係者などの話と
して伝えたもので、ロシアが現時点で占領しているウク
ライナ東部や南部の地域を維持することを条件に、プー
チン大統領が停戦交渉に応じる用意があるとしています。

また、プーチン大統領はゼレンスキー政権の退陣を要求し
ないなど、従来の姿勢にも変化を見せていて、今年9月頃
から西側諸国に、こうしたシグナルを送っているというこ
とです。〉
ーー



ところが、アメリカからの支援が止まることで、ロシア軍
は、明らかに優勢になります。

優勢になったプーチンが停戦する意味はあるのでしょうか?



〈一方で、アメリカ政府関係者の中には、全ての領土の奪
還を目指すウクライナが、この条件に応じるのは難しく、
「ロシア軍が勢いを増せば、プーチン氏はまた考えを変え
る可能性がある」などと、懐疑的な見方もあると指摘して
います。〉(同上)
ーー


アメリカのウクライナ支援が止まり、有利になったプーチ
ンはもっと高めの要求を出してくる可能性が高いと思いま
す。

たとえば、「ウクライナは、クリミアと4州がロシア領で
あることを承認せよ!」など。

ハルキウ州やオデッサ州の占領を試みるかもしれません。


いずれにしても、トランプさんの思惑どおりにいくかは、
ロシア軍がどれだけ疲弊し、消耗しているかによるのでし
ょう。



▼プーチンの最終目標は【 全ウクライナ支配 】



プーチンのウクライナ侵攻。

目的は、なんなのでしょうか?

彼は、主に4つの理由を挙げていました。


・NATO拡大阻止、ウクライナのNATO加盟阻止

・ルガンスク州、ドネツク州のロシア系住民を救う

・ウクライナの「非ナチス化」「非軍事化」「中立化」

・ロシアが先制攻撃しなければ、ウクライナが攻めてきた
であろう



「プーチンの目的」について、いまだに「ルガンスク、ド
ネツクのロシア系住民を救済すること」

だから、ウクライナ内戦の停戦協定で2015年2月に調印さ
れた「ミンスク2合意」をウクライナ政府が履行すれば戦
争は終わる、などと気楽なことを言っている人もいて、驚
かされます。

もしプーチンの目的がルガンスク、ドネツクのロシア系住
民を救うことなら、

両州にロシア軍を入れ、ずっと駐留し、防衛線を築き、
ウクライナ軍が攻撃できないようにするだけでよかったは
ずです。


ところが、プーチンは、最初から首都キーウへの進軍を命
じていました。

首都攻略戦が失敗したので、仕方なく東部に撤退したので
す。


もう一つ、プーチンは、「ルガンスク、ドネツクのロシア
系住民を救う」

と言いつつ、ちゃっかりザポリージャ州、へルソン州も併
合しています。

この2州は、いったいどういう理由で、併合したのでしょう
か?


わけのわからないプーチンの行動ですが、


「プーチンは、ウクライナ全土を支配しようとしている」


と考えれば、すべて納得できます。

最近、メドベージェフ前大統領が、「本音」を語りました。

『ロイター』3月4日付。



〈ロシアのメドベージェフ安全保障会議副議長は4日、ウ
クライナは



「明らかにロシアの一部」



との認識を示した。(中略)

この日はロシア南部ソチで開かれた若者を対象としたフォ
ーラムに参加し、ロシア帝国とソビエト連邦を賞賛した上
で、ウクライナの指導者が屈服するまでロシアは「特別軍
事作戦」を遂行すると表明。

「ウクライナはロシアではないと語ったウクライナの元指
導者がいたが、こうした概念は永遠に抹消されなければな
らない。



ウクライナは間違いなくロシアの一部だ」



とし、歴史的にロシアの一部であるウクライナは



ロシアに「帰還」しなければならないと語った。〉
--------



「ウクライナは間違いなくロシアの一部だ」

「歴史的にロシアの一部であるウクライナは
ロシアに「帰還」しなければならない」


そうです。

ここから、「ウクライナ侵攻」の真の目的が見えてきます。

そう、



「ロシアが全ウクライナを併合すること」
 


です。

メドベージェフは、「プーチンの子犬」を揶揄される小者
ですが、

「子犬」だけに、プーチンの意向に反することは言いませ
ん。

だから、プーチンの真意も「ウクライナ全土の制圧」であ
ること、間違いないでしょう。


停戦に応じるかどうかは、その時の戦局によって、柔軟に
対応するということなのでしょう。

しかし、その停戦も、「軍を休めて、次の侵略の準備をす
る期間を確保するため」と思っておいた方がいいでしょう。


いずれにしても、トランプさんも、オルバンさんも、プー
チンの手のひらの上で踊らされている感じがしますね。


◆PSPR


そういえば、ルーズベルトもスターリンの思うがままに操
られていたそうです。

歴史は繰り返すということでしょうか?

興味がある方は、こちらをご一読ください。


◆『ヴェノナ 解読されたソ連の暗号とスパイ活動』

詳細は↓
https://amzn.to/4aat7Ik


◆PSPR

@こんな感じの「陰謀論のようなホントの話」をたくさん
知りたい方は、

『パワーゲーム』にご登録ください。

詳細は↓
https://in.powergame.jp/kipg_year_rpe


◆PSPR

北野の新刊が出ています。

「わけのわからない世界情勢が、めちゃくちゃシンプルに
わかるようになりました!」

と評判です。

アマゾンで

・戦略・戦術部門1位
・その他戦争関連書籍1位
・ロシアのエリアスタディ1位

を獲得した


●黒化する世界~民主主義は生き残れるのか?

詳細は↓
https://amzn.to/3AWOtJj


まだの方は、是非ご一読ください。