【ロンドン=中西梓】欧州連合(EU)の執行機関・欧州委員会は16日、政府補助金によりEU域内の公共事業が不当に安く落札された可能性があるとして、中国の国有企業で世界最大手の鉄道車両メーカー「中国中車」グループを調査すると発表した。

 欧州委の発表によると、中国中車はブルガリア政府から、鉄道車両20両と15年間の保守事業を推定6億1000万ユーロ(約1000億円)で落札した。英紙フィナンシャル・タイムズによると、落札額はブルガリア政府の想定額や競合相手のスペイン企業の入札額の約半額だったという。

 EUは、一部の産業を除き、特定企業に対する政府の補助金を原則禁止している。EUは昨年、政府の補助金を受ける域外企業との競争で欧州企業が不利にならないように新たな規制を設けている。今回の調査は新規制に基づく初の本格調査になるという。