習近平、孤立…中国海軍が世界から猛批判!そのウラで現実味を帯びる人民解放軍「寝そべり化」の《ヤバすぎる事情》

中国艦船へ向けられた「疑惑」

パレスチナのハマスのイスラエル奇襲攻撃以降、激しさを増す「ガザ戦争」だが、周辺の紅海やアラビア海の武装勢力フーシ派の商船への攻撃も国際的な問題に発展している。

前編『ルール無視の「中国海軍」に世界が大バッシング…!そのウラにある「習近平の大粛清」への《ヤバすぎる懸念》』でお伝えしたとおり、こうした中でいま、同海域に展開する中国艦船への批判が高まっている。

中国艦船は、アデン湾を哨戒している Photo/gettyimages

中国艦船は、アデン湾を哨戒している Photo/gettyimages© 現代ビジネス

SNSに「昨年11月後半、同海域に派遣されていた中国海軍の艦艇3隻が、商船からの救難信号を無視した事案が発生した」との批判が上がったのだ。

これは、近くを航行するすべての船が救難に駆け付けなければならないと定める国際法を無視する行為。その真偽はまだ明らかではないが、これを報じた12月27日付のニューズウィーク日本版によれば、アントニー・ブリケン米国務長官が、12月に王毅外相との電話会談で、国際的な責任を果たすよう求めたという。

こうしたニュースに触れ、習近平国家主席による軍に対する粛清の動きが関係しているのではないかと筆者は考えている。

人民解放軍に蔓延する「寝そべり族」の憂鬱

12月29日、全国人民代表大会(全人代)で軍高官9人の代表資格が取り消されたが、槍玉に挙がっているのは核・ミサイル部隊を運用する「ロケット軍」だ。多額の予算が配分されるロケット軍では汚職が蔓延しており、そのせいで同軍の作戦実行能力に疑義が生じている。

習氏は中国軍の立て直しに躍起だが、事態は深刻だと言わざるを得ない。

不動産バブル崩壊の悪影響が中国軍にも及んでいるからだ。2021年下期以降、地方政府の公務員の給与削減が始まっているが、軍人にも給与削減の波が及びつつある。地方公務員の場合と同様、軍人給与の財源は土地使用権の売却収入に依存しており、不動産市場の不調でこれが当てにできなくなったことが災いしている。

財政難に陥った地方政府はこぞってリストラを進めているが、そのせいで公務員の間の「寝そべり化」がさらに進むのではないかと懸念されている。寝そべりとは「仕事をしないで寝そべって何もしない」というライフスタイルのことだ。

習近平の「粛清」と政府の「寝そべり化」

中国では近年、努力をしても報われない社会に絶望する若者の間で寝そべり化が進んだと言われるが、昨年初めごろから「中国政府内でも寝そべり化が始まっている」と指摘されていた。

毛沢東の手法を強引に踏襲しようとする習近平国家主席に対する反発から、面従腹背に徹し、実質的には何もしない公務員が増殖中だと言われていた。

政府機関の士気の低下が懸念されている…Photo/gettyimages

政府機関の士気の低下が懸念されている…Photo/gettyimages© 現代ビジネス

給料が減る一方、不動産絡みの汚職の追及が進む状況下で、地方政府の公務員たちは保身のために罪のなすりつけ合いが始まっており、寝そべり化が今後ますます猖獗を極めることになるだろう。

気になるのは「地方政府と同様の状態になりつつある中国軍内部でも寝そべり化が始まっている」との懸念が生じていることだ。

習近平が見る「悪夢」の正体

アデン湾に派遣されている中国艦船が自らの任務を放棄しているのは、船長を始め乗組員の間で寝そべり化が始まっているからではないか。

昨年、中国で起きた労働争議の数は前年の2倍となり、今年はさらに増加することが確実視されている。

人民解放軍の寝そべり化は習近平の「悪夢」となりかねない…Photo/gettyimages

人民解放軍の寝そべり化は習近平の「悪夢」となりかねない…Photo/gettyimages© 現代ビジネス

国民の不満がかつてなく高まる中、中国軍内で寝そべり化が蔓延すれば、共産党政権にとって悪夢以外の何ものでもない。

軍の寝そべり化がさらに深刻さを増すようであれば、中国の政治危機に発展するのは時間の問題となるのではないだろうか。

さらに連載記事『習近平の大誤算…!現実味を帯びはじめた「新型コロナ“武漢研究所“流出説」で、トランプが公言する中国への「巨額賠償」、その悲惨な中身』でも、中国が抱える深刻な懸念を詳しく解説しているので参考にしてほしい。

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