日航機と衝突した海保機を調べる消防隊員ら(3日午前9時31分、羽田空港で)=片岡航希撮影

日航機と衝突した海保機を調べる消防隊員ら(3日午前9時31分、羽田空港で)=片岡航希撮影© 読売新聞

 東京・羽田空港の滑走路上で日本航空と海上保安庁の航空機が衝突した死傷事故で、海保機の男性機長(39)が事故前日の1日、別の機体で沖ノ鳥島(東京都)周辺との間を約7時間飛行し、中国公船への対応に従事していたことがわかった。国の運輸安全委員会は、当時の健康状態なども確認する。

 海保関係者によると、約1700キロ南にある日本最南端・沖ノ鳥島の周辺海域で中国海洋調査船が活動中との情報があり、男性機長は1日午前10時頃、警戒監視に向かった。現地で中国船への対応を続け、能登半島地震発生から間もない同午後5時頃に羽田空港に戻ったという。

 男性機長は翌2日、地震の被災地に支援物資を運ぶために勤務。同午後5時47分頃、滑走路上で停止中に、着陸してきた日航機と衝突する事故が起きた。男性機長は自力で機体から脱出したが、重傷を負って病院で治療を受けている。

 関係者によると、この海保機は今回の地震で事故前にも2度、支援のために被災地を往復していたが、男性機長が支援任務に就いたのは事故当日が初めてだったという。

 海保によると、男性機長は昨年12月末時点で、総飛行時間3641時間1分、機長歴4年11か月。羽田航空基地には2019年4月から所属している。2日連続での飛行勤務は珍しくなく、ある海保幹部は「直前の勤務状況が過重だったことはなく、心身とも健康に問題はなかった」と話す。