全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!

北野です。


(@今日の本文には、書籍のPR的内容があります。
しかし、著者、出版社から紹介を依頼されてはいません。)



全然関係ないような話からします。

私は最近、ドラマ、映画「ミステリと言う勿れ」をお勧め
しています。

大学生の久能整君が、その驚くべき観察力と推理力で事件
を解決する話なのですが。

何が面白いかというと、整君はとてもおしゃべりなのです。

一人でいろいろ話しているのですが、その中に、「ハッと
させられる言葉」が混じりこんでいます。

いろいろ名言はありますが、


「真実は人の数だけある。

でも事実は一つです。」


は、「そうだよな~~」と思いました。

というのも、私はいろいろな国の「情報ピラミッド」を見
ています。

たとえば「ウクライナ侵攻」についても、


「米英情報ピラミッド」「欧州情報ピラミッド」と

「クレムリン情報ピラミッド」では、


全然正反対の解釈が流れているのです。

たとえばロシアから見れば、「31か国の反ロシア軍事同盟
NATOが存在し、さらに拡大しつづけている」

のは、確かに脅威だろうと思います。

これは、ロシア側の「真実」です。


一方、ウクライナから見れば、「ロシアは恐ろしい国だか
ら、NATOに入って守ってもらうしかない」と考える。

これが、ウクライナ側の「真実」です。

実際、同じ「旧ソ連国」でも、NATOに加盟したバルト三
国は侵略されていません。

ウクライナを見たバルト三国は、「NATOに加盟して本当
によかった!」と思っていることでしょう。


整君が言うように、「真実は人の数(国の数)だけある」
ことがわかります。


そして、「事実は一つ」と言うのも「その通り」です。

2022年2月24日に、「ロシア軍がウクライナへの侵攻を開
始した」というのは、

誰も否定することができない事実です。


さらに、整君はいいます。


「警察が調べるべきは事実であって、人の数だけある真実
ではない」


と。



▼【 事実 】で見るロシアーウクライナ戦争



「ロシアーウクライナ戦争」についても、「事実」と「真
実」をわけて考える必要があります。

たとえば、「ロシアは孤立している」という人がいます。

一方で、「ロシアは孤立していない」という人もいます。

どっちが正しいのでしょうか?

実をいうと、「どっちも正しい」と言えます。

というのは、どちらも情報発信者の「真実」だからです。


では、事実はどうでしょうか?

たとえば、国連総会は2022年3月2日、ロシアに軍事行動
の即時停止を求める決議案を採択しました。

これを支持したのは141か国。

反対した(つまりロシアの軍事行動支持)のは、


ロシア、ベラルーシ、北朝鮮、シリア、エリトリア


の5か国。

棄権したのが35か国。


これは、事実です。

この事実を見て、ほとんどの人は、「ロシアは孤立してい
る」と思うでしょう。

しかし、「ロシアは孤立していない。なぜなら35か国が棄
権したからだ」と主張する人もいます。

この主張は、間違いではなく、その人なりの「真実」なの
です。

だから、「真実ベース」で物事を見るのは危険なのです。

「真実は相対的」とも言えるでしょう。


この世にでまわっている情報のほとんどは、

ひろゆきさん風に言えば、


「それってあなたの感想ですよね」


という感じです。

「感想」を、整君的にいえば、


「それって、あなただけの真実ですよね」


となるでしょう。


何が言いたいかというと、「事実ベースで見ましょう」
ということです。

たとえば、「ウクライナ戦争」についても。


でも、どうすればウクライナ戦争を「事実ベース」で見る
ことができるのでしょうか?


最近、「エネルギー・金属鉱物資源機構」(JOGMEC)の
原田大輔先生が、

先生の著書


◆『エネルギー危機の深層 ~ ロシア・ウクライナ戦争
と石油ガス資源の未来 』

詳細は↓
https://amzn.to/3FqHgE0


を送ってくださいました。

読んで、卒倒しました。

最初から最後まで、データと「事実ベース」で書かれた驚
愕の本だったからです。

たとえば、87pに「ロシア制裁の内容」が載っています。

2022年2月22日~24日の制裁第1波から、

2022年9月30日の制裁第11波 

までの制裁内容がわかりやすく表でまとめられています。


前例のない制裁を受けたロシアは、どう対応したのかも具
体的に書かれています。

ロシア政府は、

1、政策金利の大幅引き上げ
2、企業活動で得られた外貨のルーブル換金強制
3、天然ガスパイプライン輸出代金のルーブル換金による
ルーブル減価の食い止め

で対応しました。

さらに、「資源価格の高騰」という「神風」がロシアを助
けました。

(89p参考)

原田先生は、「対ロシア制裁の実際の影響」を、事実ベー
スで正確に示してくださっています。

また先生は、ロシア経済で資源がどのような位置にある
のかも記してくださっています。

2022年、ロシアの歳入に占める石油ガス産業からの収入
は42%。

輸出総額に石油、天然ガス、石炭が占める割合は2021年、
64%(!)。

中でも石油の割合が高く約5~7割を占める(年によって変
わる)。

石炭はマックスで10%程度、天然ガスは10%台前半。



〈したがって、石油禁輸に踏み込むことは西側諸国にとっ
ては、代替供給源もありながら、ロシアに大きな痛手を与
えることができる一石二鳥のターゲットであったと言える
。〉(105p)
ーー


原田先生は、G7、EUが行った「プライスキャップ」(
ロシア産原油の価格上限設定)が、結果を出していること
を指摘されています。



〈プライスキャップが成功している最も重要な点は、
価格上限設定という制度設計上で、
ロシアにとっての「友好国」である中国、インドおよびト
ルコ等を取り込むことに成功したことにある。

これらの国はなにもロシアに対する友情や同情からロシア
産原油の購入を継続・増加しているわけではない。

単に、ロシア産原油が国際価格に比べて格段に安いから購
入しているのである。〉(108p)
ーー


〈2022年12月の石油禁輸と価格上限設定措置の発動によ
って、制裁リスクが高まるという材料を得た「友好国」は、
ロシアの石油会社が販売する原油を買い叩き、
翌月には30ドルを超えるディスカウントを勝ち取っている
ことが分かる〉(109p)
ーー



本当に、「ロシアは孤立していない」

「親友中国、インドがいるから」ですね。(^▽^)

すいません。

つい、私の「真実」を語ってしまいました。


「事実ベース」で語られる原田先生は、アメリカにとって
の「不都合な事実」も書いておられます。

たとえば、湾岸諸国が、アメリカの言うことを聞かなくな
っているという事実。

バイデンは2022年7月、中東を歴訪しました。

目的は、サウジをはじめとする中東産油国に増産してもら
うことです。

つまり、原油価格を下げたい。

ところが、サウジは、バイデンを「しかと」。

ムハンマド皇太子は、プーチンと電話会談し、

「OPECプラスの協力強化の重要性」

について協議したのです。


といった感じで、この本には、次から次へとデータと事実
が提示され、話が進んでいきます。

巷にでまわっている情報は、しばしば、どこまでが事実な
のかわかりません。

いきなり結論がドカンと提示され、出所もデータも示され
ずそこからさらなる結論が展開していくことがあります。

「陰謀論」は、「読み物」としては楽しいです。


しかし、世界情勢を知りたい私たちは、やはり「事実ベー
ス」で学ぶことが必要でしょう。


というわけで、「ロシアーウクライナ戦争の【 事実 】
」を知りたい方は、



◆『エネルギー危機の深層 ~ ロシア・ウクライナ戦争
と石油ガス資源の未来 』

詳細は↓
https://amzn.to/3FqHgE0 


をご一読ください。

北野絶対お勧めです。


◆PS PR

北野の新刊が出ています。

「悪いのはプーチンだ!」

「いや、悪いのはウクライナと、背後にいるアメリカだ!」

単純系の「善悪論」から脱却して、【大戦略的見方】を体
得したい人にお勧めです。

単純善悪論ではなく、

「その考え方で行って、日本は【勝利できますか】?」

と質問してみることをお勧めします。

すると、「敗戦時の日本とまったく同じ主張が流行し
ている」事実に気づくでしょう。


●黒化する世界~民主主義は生き残れるのか?

詳細は↓
https://amzn.to/3AWOtJj

●●●北野自身の解説動画も参考にしてください。

https://www.youtube.com/watch?v=ztbH6IP4uxM

●●●元陸将・渡部 悦和先生の書評はこちら。

https://rpejournal.com/review_watanabe_yoshikazu.html