「ポスト岸田」政局が加速、高市早苗氏の勉強会初会合 真の「保守政治」復権へ 総裁候補者ら相次ぎ「のろし」

政界有数の保守政治家である高市早苗経済安全保障相が自民党内に発足させた勉強会「『日本のチカラ』研究会」が15日、国会内で初会合を開いた。岸田文雄政権の内閣支持率が急落し、自民党を支えた「岩盤保守層」の離反が指摘されるなか、党内外の保守派や保守層を糾合できるのか。高市氏は来年秋の総裁選出馬へ意欲的で党内基盤を固める狙いがあるとみられ、今回の動きが「ポスト岸田」の動きを加速させる可能性がある。

「メッチャ勉強した。良い会になりましたよ」

初会合を終えた高市氏は、報道陣に笑顔でこう答えた。

非公開で外部の有識者を招き、サイバーセキュリティー対策などのレクチャーを受けた。出席者によると、高市氏は「さっそくお話を聞こう」と短くあいさつし、熱心に耳を傾けていたという。

 

真の「保守政治」復権へ

会合には、いずれも安倍派の山田宏参院議員や杉田水脈衆院議員、有村治子参院議員(麻生派)らを含め、派閥横断的に13人が参加した。今後は議員連盟とし、毎月、定期的に会合を開く方針だ。

高市氏ら出席者は「あくまで勉強会」と強調したが、額面通り受け止める向きは少ない。総裁選に向け「仲間づくりを急ぐ必要がある」(中堅議員)とみられているのだ。

関係者によると、入会者は数十人で、総裁選立候補に必要な推薦人数の20人を超えるという。この日の出席者に岸田首相率いる宏池会の議員はおらず「会合にはピリピリした雰囲気もあった」という。

リベラル・親中色の強い岸田政権だけに、保守の代表格で、「女性初の宰相」とも期待される高市氏には警戒感がある。総裁選まで1年を切るなか、現職閣僚としては異例の勉強会発足に「政局」を見て取っているのだ。

高市氏自身も、次期総裁選について「戦わせていただく」と言明している。2021年の前回は、無派閥ながら安倍晋三元首相が後ろ盾となり、国会議員票で善戦した。

勉強会や議員連盟は政局を動かすテコになる。菅義偉政権末期には、安倍氏らが「半導体戦略推進議員連盟」を設立し、政権の重圧となった。

一方で今月、小泉進次郎元環境相が、タクシー不足に対応する「ライドシェア」の超党派勉強会を発足させた。岸田政権に距離を置く菅氏がぶち上げた政策テーマだ。その菅氏は、進次郎氏を評価しており、勉強会は「総裁選へののろし」との観測もある。

高市氏の動きは政局につながり、支持は広がるのか。

ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「『ポスト岸田』につながる政局が動き始めた。支持率低迷で地方選挙は苦戦が続き『岸田首相では厳しい』との声が上がっている。次期総裁の条件は第一に『選挙で勝てる顔』だ。そして、自民党支持の3割を担う『岩盤保守を呼び戻す』こともカギになる。安倍氏の急逝で、保守はさまよった。岸田政権は迷走し、保守層が業を煮やした。百田尚樹氏の日本保守党設立は、そうした動きの一つだ。自民党の中で保守を代表するのは高市氏に他ならない。高市氏が出馬すれば自民党を離れた保守層が戻ってくる。ただ、高市氏の前途は簡単ではない。国民的知名度では高市氏を上回る〝候補〟もいる。誰が主導権を握るか、混戦と仕掛け合いが続く」と語った。