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2019/01/25/Fri

■米国防情報局が中国軍事の報告書―注目すべき朝日記事

世界から警戒される中国のあそこまでの露骨な軍備拡張は、いったい何に向けてのものなのか。そう聞かれ、「それは海洋進出のためだ」と答える日本人は多いことだろう。

実際にマスメディアはいつもそう報じている。しかし問題は、あの国が定める当面の「攻略」目標は具体的にはどこであるかである。

それに関しては“米が中国軍分析、初の報告書 「台湾問題で近代化加速」”と題する一月十六日の朝日新聞の記事を読めばいい。そこが「台湾」であることがわかるからだ。

こう書かれている。

―――米国防総省の情報機関である米国防情報局(DIA)は15日、中国の軍事的な目標や能力を分析した報告書「中国の軍事力」を初めて公表した。台湾問題が中国軍近代化の主な動機と分析し、中国が最新技術を駆使した軍事兵器開発を進めていることに強い警戒感を示した。

―――報告書では台湾問題をめぐり、「中国が長年重視しているのは、最終的に台湾を中国本土と再統一し、台湾が独立宣言をする試みを防ぐことだ」とし、「中国は他国軍が台湾に介入してくるというシナリオを想定し、他国軍の攻撃を排除するためのシステムを発展させている」と指摘した。

―――具体的には、中国のミサイル兵器の多くが台湾を攻撃する能力があり、H6爆撃機に搭載した巡航ミサイル「CJ20」は米領グアムの米軍基地も攻撃する能力があると指摘。中国の対艦弾道ミサイルにも言及し、「中国の政治指導者はこれらの軍事能力を保持することで台湾の独立運動を防ぎ、抑止に失敗すれば、台湾や軍事介入する第三国に対し、軍事的選択肢を取ることができると期待している」と分析した。

■台湾侵略の野心を剥き出しにした習近平演説とも符合

この記事を読む限り、この報告書の分析は、中国の習近平主席が一月二日の演説における台湾への武力行使の方針説明にもよく附合している。彼は次の如く述べていた。

「中国人は中国人を攻撃しない。我々は最大の誠意を以って、最大の努力を尽くし平和統一の未来図を描きたいと思う。なぜなら平和方式の統一実現は、両岸の同胞、全民族にとり最も有利だからだ。我々は武力行使の放棄は承諾せず、一切の必要な措置の選択肢は留保する。しかし狙いを定めるのは外部勢力の干渉と、極少数の台独分裂分子及びその分裂活動であって、決して台湾同胞に向けたものではない」

この記事を読み、「中国の軍拡の第一目標は南支那海ではないのか。台湾とは意外だ」と感じる者は少なくなかったはずだ。「統一を拒否する民進党政権への恫喝ではないか。中国と関係改善を進め、緊張を緩和させた国民党政権の時期なら、そうではなかったはず」と思う者も多いだろう。

しかしソ連の崩壊と台湾の民主化(国民党独裁の終焉と脱中国化)以降、中国の軍拡は一貫して台湾攻略を主目標とし、そのまま今日に至っているのである。実際に中国政府は常に軍拡の目的について、「国家主権と領土の完全性を守るため」と説明し、侵略の野心がないことを強調してきたが、その「主権、領土を守る」というのがほかならぬ「台湾を併呑する」という意味なのである。自国領ではない台湾の攻略は不法な侵略だから、「自国領を守る」などと宣伝して不法の隠蔽を図っているに過ぎない

■台湾問題をタブー視してきた日本のマスメディア

ところが多くの日本人が、それを理解できずにきた。その主な原因は、やはりその事実を明確に報じないできた日本のマスメディアに求められそうだ。

米国政府、議会などの中国の軍事に関する年次報告については、日本でもつねに大きく報じられるが、しかし、中國軍拡の主目的は台湾問題にありとの指摘があっても、なぜかそれに触れないのがほとんどだった。東支那海(尖閣諸島)や南支那海を巡る動きに関する報告の部分だけは大きく取り上げるのだが…。

たしかに尖閣諸島は日本領土であるし、南支那海情勢も日本には重要だから、それらに及ぼされる中国の脅威をクローズアップするのは当然だが、しかし台湾もまたそれらと同じように、否ある意味ではそれ以上に死活的に重要であるはずだ(あの島が中国に攻略されれば東支那海や南支那海はおろか、西太平洋までが中国の内海になりかねないのだから)。

しかも台湾には、尖閣、スプラトリーなどとは異なり、二千三百万人もの人々が暮らしているのである。生命の尊さを何より重んじるはずの日本メディアとしては、中国の台湾侵略の動きにはもっと関心を寄せてしかるべきである。

しかし、実際には滅多にそうはしてこなかった。それはなぜか。それは台湾問題に触れたくないからだ。

その問題に深入りすれば、「一つの中国」原則の禁忌を犯しかねない。台湾を中国領土と強調する宣伝の虚構性を見て見ぬふりをすることで、初めて中国での支局設置を許されたという経緯が、マスメディア各社にはある。

■「台湾問題は中国の内政ではない」と報じるメディアはないか

しかしここ最近、中国の脅威があまりにも増大し、国民、世界の警戒心も高まるに伴い、さすがにいつまでも曖昧な報道に徹することはできなくなってきたようだ。ウイグル問題しかし、台湾問題に関してもそうなりつつあるらしい。

だから今回の朝日新聞の報道はとてもよかった。画期的と言ってもいいのではないか。

ただ、注文はある。記事は最後に、この報告に対する中国外務省の批判のコメントを紹介している。

―――中国外務省の華春瑩副報道局長は(中略)台湾問題については「中国の内政であり、我々は平和統一へ間口を広げて努力したいが、いかなる台湾独立の動きも認めない」と中国の立場を改めて強調した。

台湾問題を「中国の内政」とする中国のこの「立場」こそ、侵略思想に基づく誤りであると、一度明確に報道してもらえないだろうか。

これは朝日以外のメディアにもお願いしたいところだ。そうでもしない限り多くの国民はいつまで経っても、台湾併呑とは他国が干渉できない中国の内政だと誤解し、実際には逆に全世界が挙って阻止するべき対外侵略であるという事実になかなか気づくことができない。
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