競馬の結果です。東京競馬場で行われた『日本ダービー』の結果です。
1着『ウオッカ』、2着『アサクサキングス』、3着『アドマイヤオーラ』・・・。
11年ぶりの出走となった日本ダービーの舞台の牝馬・・・昨年の2歳女王が挑んだ戦いはまさかまさかの圧勝で『クリフジ』以来64年ぶり、史上3頭目の日本ダービー牝馬制覇となった。
2着に敗れたアサクサキングスは人気どころの差し馬が後方でもがいている状況下、先行して上手く粘りこんだ。3着のアドマイヤオーラはよく追い込んできたがやはり展開は向かなかった。
勝ったウオッカ・・・あの伝説の、日本史上最強の牝馬と言われるクリフジ以来、64年ぶりに日本ダービーを制してしまった。しかも、誰も文句のつけようが無い程の圧勝を見せ付けての・・・。
始まる前からすでに若干の波乱要素はあった。
さすがに日本ダービー、選ばれた精鋭18頭だけあって全馬共に完璧な馬体で挑んだ。その中でやる気を出しに出していたのが圧倒的な1番人気に推されていた『フサイチホウオー』だった。
見た感じでもおそらくやる気を前に出しすぎているだけだろうし、ゲートインの時も戦いが始まることをわかっているかのように落ち着きを取り戻し、スンナリ入ったところを見るとやはり良血は違うな・・・と感心させられたが・・・やはりテンションは上がりすぎていた。
そしてもう1つの波乱要素が『皐月賞』馬の『ヴィクトリー』。
もともと気難しい馬で、調教すらも上手く行なう事が出来ない程の気分屋というのは有名だが、それこそ歴代最高クラスのわがまま女『スイープトウショウ』と同じくレースが始まったら気分さえ損ねなければ力を出す、実戦タイプの馬だということもわかっていた。そしてスイープと違い、ゲートインもスンナリといき、波乱無くスタートすると思われていた・・・。
スタート直後、ヴィクトリーの出があまり良くない。それでも出遅れ程のミスではなかったはずなのだが、致命的なダメージはその後にあった。・・・テンのスピードが全く上がらない!!
鞍上『田中勝』は相当アセったはず。ゲートを出てスンナリ先行出来るはずのヴィクトリーがまさかの後方2番手スタートとなった。
これでレース展開はめちゃくちゃになったことは言うまでもない。元からヴィクトリーの位置取り次第の展開になるだろう・・・とは予想されていたが、まさか殿と並走することになるとは・・・。
スタートして殿あたりの位置をキープしていたが、さすがにこれでは勝負になるわけがないと考えたであろうカッチーは一気に先行集団に並びかけに行く。だが、さすがにこの序盤で早くも無駄な体力を消耗したヴィクトリーにもはや勝ち目は無かった。
逆に好位置で競馬をしていたのが1番人気のフサイチホウオーだったが、こちらも大きな問題が襲い掛かっていた・・・。スタートしてから道中、ずーっと引っ掛かりっぱなしでのレースで鞍上『安藤勝』が必死に抑えながらのレースとなっていたのだ。好位置をキープしていたわけではなく、ただ単に引っ掛かって先行してしまっただけだった。一向に折り合う雰囲気も無く、断然の1番人気に推された東京無敗のホウオーはここで勝ちから完全に見放される結果となった。
そうなってくると、ヴィクトリーが必死でペースを作りにいくもやはり早い展開にはならなかった。
すでに先行粘り込みの色も濃く、あとは前のどの馬がより粘るか・・・の状態で直線、一気に脚を伸ばしたのが牝馬のウオッカだった。
歴代のダービー馬、もちろん牡馬だがその勝ちっぷり、圧勝時のセオリーとも言える外から一気に差し切る王道の勝ち方を、2kgの斤量差があるとは言え牝馬がやってしまった。
勝ちタイムは2分24秒5、上がり3ハロンが34秒3という牡馬顔負けのとてつもないレースを見せ付けた。
昨年、2歳女王となった『阪神JF』の勝ちタイムが1分33秒1と例年の『NHKマイルC』の牡馬の勝ちタイムを上回る、ヘタしたら古馬GⅠ馬クラスのタイムで勝利したそのインパクトは凄かった。
そしてマイルでは確実に発揮する上がり33秒台の末脚、『桜花賞』では相手も強かったが明らかに展開のアヤだった。通常ならまず逆転されることのない勝負で騎手のマジックが発揮されたレースだった。
近年でも話題が上がっている3歳時に快挙を成し遂げた牝馬『シーザリオ』や『ラインクラフト』よりも完成度としては遥かに高いだろう。父『タニノギムレット』ですら今回のメンバーに入ってあれだけに競馬が出来たかどうか・・・。
とにかく、人気馬にそれなりの欠陥があったことは確かだが、それ以上に文句無しの強さを見せ付けたウオッカ。次は海外遠征も視野に入れるのは当然だが、この強さなら『凱旋門賞』に挑戦してもいいと思う。フサイチホウオーの馬主『関口房朗氏』はダービーを勝ったら凱旋門に挑戦すると名言していた。フサイチホウオーがそこまで強いかは疑問だったけど、ウオッカなら3歳馬に縁起のいい舞台とも言われる凱旋門賞で牝馬による斤量ハンデも加わって、もしかしたらもあるかもしれない。
これで日本の牝馬は女王『スイープトウショウ』、『カワカミプリンセス』、『ディアデラノビア』、『アサヒライジング』、そして3歳馬の『ウオッカ』と『ダイワスカーレット』、『ベッラレイア』と早くも『エリザベス女王杯』が楽しみなメンバーが揃った。近年の牝馬は本当に質がいいです。