「母にはお気に入りの服を着て旅立ってもらいたい」
その願いは儚く散り行きました
斎場担当者が言うには、プロの湯灌師さんですら洋服は敬遠しがちなのだとか。
そしてなにより、故人にとっても苦痛であろうとのこと。
実際、湯灌師さんにも世間話として伺ってみたけれど、
「ご家族の希望であればやれるだけのことはやります。
だけど、心の中で”ゴメンね、ゴメンね”と思いながら着せているのが正直なところです」
と、おっしゃっていました。
まぁ、私は打ち合わせの段階で下の着物を見た途端、
「これがいいっ!!!」ってなっちゃったんですけどね
桜の季節にピッタリな可愛い花柄~
しかもね、襟だけじゃなくお袖もお花なの~
母はピンクが大好きだったし、ましてや湯灌の日は「母の日」でこんなピッタリな衣装はないわっ
ってことで、湯灌の儀が始まりました。
湯灌師さんは、30歳前後のお若い女性。
私はソファに座ってゆっくりしていてOKとおっしゃり。
あ、あれ?湯灌ってリンを鳴らしたり、お線香を絶やさないようにするんじゃ?と問うと、
「お一人でのお見送りですし、今はコロナの関係で密を避ける意味もあって省略する斎場さんが多いです」
とのこと。
おぉ!それは助かる。
あの、リンを一定間隔で鳴らす作業をしていると湯灌に集中できないのよ~。
おかげさまで、ガン見状態で立ち会えましたよ
なんなら、湯灌師さんに質問したり、世間話をしたり、時にはリクエストもしたりして。
そんな中、ふとチアノーゼがどうなったのか気になって、もうズイズイっと近くに行っちゃう私w
するとなんと!!!
チアノーゼは綺麗に消え、手も足も真っ白になっていました
猫「わぁ、チアノーゼが消えてる~♪」
湯「そうですね。綺麗ですね♡」
猫「亡くなるとチアノーゼって消えるんですか?」
湯「いえ、中にはチアノったまま・・・あ、失礼しました。そのままの色の方もいらっしゃいます」
ぶはっw
チアノる
ツボる~。
私の中での今年の流行語大賞にノミネートだわ。
なんでも湯灌師さん、元は看護師さんだったんですって。
なので、チアノるは看護師用語らしいです。
もう湯灌師さんがフレンドリー過ぎて、最後にお化粧をする頃にはかぶりつきでそばにいた私
お化粧の前には、顔の産毛を綺麗に剃ってくださるのですが、
なんと鼻の穴の入口までショリショリしてくれるのですよ~。
これだけでも湯灌をお願いして良かったって思った瞬間でした。
産毛があるかないでお化粧のノリが違うのは女性の永遠の課題だものね。
まるでお友達のように、
湯灌師さんと心をひとつにして母を綺麗にできたことは素敵な思い出になりました。
なんとか母の日まで生きていてほしいと願ったけれど、
こうして美しく変身した母を見ると、むしろ湯灌が母の日でよかったとさえ思うのです。
それに、ブロ友の未来生さんが「来年の命日は母の日ですよ」と教えてくださり目からウロコ!!!
母ったら、何から何までしっかり計算していたのねぇ~
こりゃ一本取られたわ