『そして、海の泡になる』

               

               葉真中顕

                             <2020年11月発行>

 

 

あらすじ少し・・・

 

   

 

   バブル期に 個人資産最高額4300億円を抱え破産した、朝比奈ハル。

   「北浜の魔女」 と呼ばれた彼女は、平成が終わる年にひっそりと獄死した。

 

   和歌山の寒村で生まれ育ったハルは、

   いかにして、のし上がったのか、彼女は果たしてどんな人物だったのか。

 

   その生涯を小説に書こうと決めた 「私」 は、

   生前の彼女を知る関係者に聞き取りを始める。

 

   終戦、バブル、コロナ禍・・・

   それまでの日常が決定的に変わってしまうとき、

   この日本社会に生きる人々は、どう振舞ってきたのかーーーーー。

 

 

 

 

読んだ感想・・・

 

   

 

   いくつかのレビューを読ませていただき、

   読むのを楽しみにしていた作品です。

 

   

   

   この物語は、過去の事件で、

   

   バブル期に「バブルの女帝」と 北浜で天才投資家と呼ばれた、

   

   料亭の女将 尾上縫 という実在人物をモデルに描かれた作品です。

 

 

 

 

   

 

 

バブル というと、みなさんは、どのようなイメージを持たれますか?

 

 

   

   

    

 

 

 

   

   

      都市でバブル期を過ごされた方々の中には、

   

      謳歌された方々もいらっしゃるかもしれませんが、

   

   私は、田舎だったので、バブルと言えども、大した恩恵は受けていませんでした。笑

 

 

 

 

 当時を振り返って、微かに思い出すのは・・・

   

   

 

       時を遡れば、給料やボーナスなどは多少は多かったかもしれませんが、

   それよりも、会社が主催する飲み会や食事会、イベント・行事が多かったように思います。

   でも、これは、会社が儲かっているから、その分を社員に還元しているのだな という、

   そんな感覚でした。

 

   そして、男の人たちが若くでも、高級セダンやスポーツカーを新車で購入されてる人が、

   当時は多かったと思います。でも、あの頃は、景気がいいとか、特に感じてはなく、

   自分の中では、今は、そういうブームがきているんだ と、そう思っていました。

 

   今振り返れば、預金の利回りが良かったり、土地の値段が高く売れたり、

   良かった時代だったのだと思いますが、それも、後から振り返ってみればの話です。

 

   そもそも、「バブル」 という言葉も、その当時には存在しなくて、

   今が、バブルだ! という、そんな認識は当時には全くありませんでした。

   

   バブルという言葉は、後づけで、

   マスコミが後になって、その時代を示すために付けた名前です。

   

   なぜ、そんなバブルが起きたのか、崩壊したのか、

   (プラザ合意・ドル安・円高・日銀金融緩和・利上げ)

   それについては、ここでは割愛させていただきますね。

 

   

 

 

 

 でも、あの頃は、 

 

 日本はこれから、もっと、どんどん栄えていくと思えたのです。

 

 誰もが、明るい将来が描けた時代だったのだと思います。

 

 

 明るい将来に希望が持てたキラキラ 

 

 

 だからこそ、

 

 きっと当時の世の中には、

 

 活気があふれていたのだと思います。晴れ

 

 

 

 

 実体経済では、1990年には すでに崩壊が始まっているのですが、

 

 ジュリアナ東京が1991年にオープンしているように、

 

 人間の感覚としてのバブルは、すぐに消えることはなく、90年代の半ばまで続きます。

 

 

 

 その後、不況に入り、「失われた20年」 と呼ばれるようになりました。

 

 それから、アベノミクス、金融緩和と 盛り返してきましたが、

 

 コロナ禍で、現在に至っています。

 

 

 

 

 私が感じるバブルは、華やかしいイメージよりも、

 

バブルで湧いた人たちが、手広く広げ過ぎたために

 

後から、大変なことになってしまったという、負のイメージの方が大きいです。

 

 

 

この物語では、

 

今では考えられない、当時の金融業界の裏側が、垣間見れます。

 

 

 

 

朝比奈ハルが、これまで生きてきた、

 

女性としての人生に抑圧されてきた、 わがまま

 

それが描かれている作品なのですが、

 

朝比奈ハルの生い立ちや過去からは、切なくもなる作品でした。

 

 

 

 

そして、ミステリーなので、

 

終わりに 解き明かされる真実もありますーーーーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に、

印象に残った言葉キラキラ

 

 

  ワガママに。 自分の好きに。 生きてな。

                    

                                               やっぱり、朝比奈ハルが言った、この言葉が印象的でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

また来週、金曜日に更新します~

よい週末をお過ごしくださいませ。