それじゃあ続きを…獣の夢のキーパーソンである宮地珠紀について

比室アリスが既に人の次元を超越してるため、余りインパクトが無いかもしれないですが(一応は人の次元を出てないんで)

こっちも色んな意味で人間の域を超えてます。彼女は未来を見通す力が有るのです。そしてその未来に名前を付けた…それが獣。けれど、真の恐ろしさはやはりマスコミ。解き放たれた獣はあっという間に広まっていく、それさえも予言してみせた宮地珠紀の存在の異常性を物語の登場人物の一人はこう呼んでいた『パンドラの箱に残った最後の災い…災いを予兆する災い

判らない方は以下を反転させて読んでください(判らない人が大多数と予想されるので)

彼女の言うことは全てが真実になる。何故なら彼女には未来が見えているから。100%当たる占い…余り良い例えでは無いですが、一番近いのは恐らくこれでしょう。どんなに悪い事も100%言い当てる預言者…どれだけ人が努力しても、結果を変える事が出来ない。そんな人間が居たら全ての人間は努力する事を捨ててしまうでしょう。まさに最凶の災い…パンドラの箱に残されていたのは希望ではなく、絶望だったのです。

まぁ色々と書きましたが、結論を…比室アリスも宮地珠紀も本当に居れば全人類が滅びます。我々の理解の領域を超えた高次元の言葉を操る比室アリス、未来を予言する力を持つ宮地珠紀…考えるだけでぞっっとしますよ。

それ故にこの二人を生み出した中井拓志氏の想像力に敬意を払っている訳です。

ですが…それだけこの本を読むのは難しいです。一度全ての答えが判ってしまえば面白くもなるのですが、そこに行き着くまでの過程が複雑であり意見を二分させます。はまる人はとことんまではまりますが、嫌いな人はとことんまで拒否します。

興味がある人は是非読んでみて下さい。個人的にお薦めするのはレフトハンド以外の作品から入ることですね。

あれはあれで面白さも有るのですが(全員が身勝手に行動しているのは中々楽しいです。人間の本性丸出しで正義を語る奴なんて皆無…)前にも書いたとおり読んでて疲れます、最初にこの作品を読むと中井拓志さんの作風を勘違いする可能性が高いです。なので…他の三作を読んでみる事をお薦めします。