大飯再稼働、福井知事が一両日中に同意へ
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866922/news/20120614-OYT1T00654.htm
関西電力大飯原子力発電所３、４号機（福井県おおい町）の再稼働について、福井県議会（定数３７、欠員２）は１４日、全員協議会を開き、判断を西川一誠知事に一任した。
おおい町の時岡忍町長も、同日の町議会全員協議会で「町として容認する」と述べ、同意表明した。これで西川知事が判断の前提条件としていた県内手続きはすべて終了し、西川知事は一両日中にも地元の同意を野田首相に伝える。
県議会では冒頭、西川知事が再稼働に前向きな姿勢を示したうえで、「最終的な判断をしたい」と述べ、全６会派にそれぞれの意見を求めた。
最大会派「自民党県政会」（２４人）は「福井の原発は関西の発展に貢献してきた。今後も電力供給地として国の原子力政策に協力するのが責務だ」と、再稼働への賛同を表明。「原発は堅持すべきだ。適切な判断をしてほしい」と知事に同意を促した。
「民主・みらい」（７人）は「安全性の確認が不十分。しかし、原発停止で地元経済・雇用に影響が出た。国の支援が必要だ」とし、知事に慎重な判断を求めた。ほかの会派からは「防災対策が進んでいない」などと安全面を不安視する声が出た。
田中敏幸議長は「各会派の意見を受け止め適切に対応してほしい」と締めくくり、知事に判断を一任した。これを受け、西川知事は１５日以降に関電の八木誠社長に事故発生時の情報共有などを要望したうえで、地元同意を表明する。
（2012年6月14日13時59分 読売新聞）
ようやっとここまできましたか。
これからすぐに再稼働を始めても、フル出力が可能になるまで６週間かかることを考えるなら遅すぎではありますが、まずは一歩前進と言ってもいいでしょう。
正直、この期に及んでも橋下市長が見苦しくも下衆いこと言ってるんで、再びヘソ曲げるんじゃないかと危惧しておりましたが……とりあえずは以前に要求してた、『首相による国民への説明』が達成されたと判断したのか、矛を収めてくれたようです。
もっとも、大飯が動いたとしても、関西の電力不足が一気に解消されるわけではないので、フル稼働に移行しても油断が出来る状況ではありません。火力のトラブルによる運転停止も心配なところですし、大飯原発の再稼働が成ったとしても、関西電力は気の抜けない状況が続くでしょうね。事故を起こしたわけでもないのに罵声ばかり浴びせられて酬いられることが少ないですが、それにもめげず供給義務を果たすよう尽力してる姿には、頭が下がります。
さて、とりあえず大飯の再稼働はクリアできそうですが、関西だけではなく日本を覆う電力不安が払拭されたわけではありません。
それは事故の可能性とか電力会社の体質がどーこーって話ではなく、原発を巡る政治リスクの問題。
多くの人が忘れかけてるような気がしますけど、昨年五月、中部電力を見舞った政治的災害を思い出してくださいませ。
これ、国外から見れば「原発の再稼働や建設には異常なまでに時間が掛かるのに、停止は時の首相の思いつきで恣意的に行われる」としか見えないと思うんですよね。そんな国で事業展開したり、投資したいと思うような奇特な人がどれだけいるものか。大いに疑問であります。
今回の大飯再稼働が順調に進展し、他の原発もそれに伴って再稼働へと動き出したとしても、こうした超法規的な停止要請を出せないような仕組みも、原発の安全性向上や万が一の場合の補償対策と共に考えていかなければならないのでしょうか？
今後日本が脱原発に進むとしても、新技術の開発には時間が掛かりますし、もし今日明日になんらかの技術的ブレイクスルーが成ったとしても、その製品化と普及には10年単位で時間が掛かります。それどころか、既存の技術を用いた本格的な火力発電所の建設にしても、計画立案から営業運転には10年以上かかるのがザラですし。
そうであるならば、あと数十年は嫌でも原発を使い続けざるをえないわけで、停止すれば全て解決みたいな態度は、反原発や脱原発を称える人間こそ取っちゃいけないと思うのですが、どうでしょうか？
……もっとも、そういうことを言うと、即原発推進派にカテゴライズされて、袋叩きにしようとするのが、反原発最大の問題だったりもするんですが。
エネルギー政策ってのは10年20年をかけて軌道修正するもので、安易な転換は誰の得にもなりません。まして、一部の政治家がパフォーマンスのために乱用していいものではありません。
岩谷産業が出した悲鳴めいた意見広告にしても、いい加減現実に目を向けて現状で唯一の選択肢に正面から向き合えと、中傷や脅迫のリスクを承知で出したものでしょうし、関西経済連合会の意思でもありましょう。
もうそろそろ、長期的課題であるエネルギー政策の転換と、短期的な問題である電力不足の解消を混同するのはやめ、後者をまずは解消してから、前者に冷静に腰を据えて取り組むべきかと思います。
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関西電力大飯原子力発電所３、４号機（福井県おおい町）の再稼働について、福井県議会（定数３７、欠員２）は１４日、全員協議会を開き、判断を西川一誠知事に一任した。
おおい町の時岡忍町長も、同日の町議会全員協議会で「町として容認する」と述べ、同意表明した。これで西川知事が判断の前提条件としていた県内手続きはすべて終了し、西川知事は一両日中にも地元の同意を野田首相に伝える。
県議会では冒頭、西川知事が再稼働に前向きな姿勢を示したうえで、「最終的な判断をしたい」と述べ、全６会派にそれぞれの意見を求めた。
最大会派「自民党県政会」（２４人）は「福井の原発は関西の発展に貢献してきた。今後も電力供給地として国の原子力政策に協力するのが責務だ」と、再稼働への賛同を表明。「原発は堅持すべきだ。適切な判断をしてほしい」と知事に同意を促した。
「民主・みらい」（７人）は「安全性の確認が不十分。しかし、原発停止で地元経済・雇用に影響が出た。国の支援が必要だ」とし、知事に慎重な判断を求めた。ほかの会派からは「防災対策が進んでいない」などと安全面を不安視する声が出た。
田中敏幸議長は「各会派の意見を受け止め適切に対応してほしい」と締めくくり、知事に判断を一任した。これを受け、西川知事は１５日以降に関電の八木誠社長に事故発生時の情報共有などを要望したうえで、地元同意を表明する。
（2012年6月14日13時59分 読売新聞）
ようやっとここまできましたか。
これからすぐに再稼働を始めても、フル出力が可能になるまで６週間かかることを考えるなら遅すぎではありますが、まずは一歩前進と言ってもいいでしょう。
正直、この期に及んでも橋下市長が見苦しくも下衆いこと言ってるんで、再びヘソ曲げるんじゃないかと危惧しておりましたが……とりあえずは以前に要求してた、『首相による国民への説明』が達成されたと判断したのか、矛を収めてくれたようです。
もっとも、大飯が動いたとしても、関西の電力不足が一気に解消されるわけではないので、フル稼働に移行しても油断が出来る状況ではありません。火力のトラブルによる運転停止も心配なところですし、大飯原発の再稼働が成ったとしても、関西電力は気の抜けない状況が続くでしょうね。事故を起こしたわけでもないのに罵声ばかり浴びせられて酬いられることが少ないですが、それにもめげず供給義務を果たすよう尽力してる姿には、頭が下がります。
さて、とりあえず大飯の再稼働はクリアできそうですが、関西だけではなく日本を覆う電力不安が払拭されたわけではありません。
それは事故の可能性とか電力会社の体質がどーこーって話ではなく、原発を巡る政治リスクの問題。
多くの人が忘れかけてるような気がしますけど、昨年五月、中部電力を見舞った政治的災害を思い出してくださいませ。
これ、国外から見れば「原発の再稼働や建設には異常なまでに時間が掛かるのに、停止は時の首相の思いつきで恣意的に行われる」としか見えないと思うんですよね。そんな国で事業展開したり、投資したいと思うような奇特な人がどれだけいるものか。大いに疑問であります。
今回の大飯再稼働が順調に進展し、他の原発もそれに伴って再稼働へと動き出したとしても、こうした超法規的な停止要請を出せないような仕組みも、原発の安全性向上や万が一の場合の補償対策と共に考えていかなければならないのでしょうか？
今後日本が脱原発に進むとしても、新技術の開発には時間が掛かりますし、もし今日明日になんらかの技術的ブレイクスルーが成ったとしても、その製品化と普及には10年単位で時間が掛かります。それどころか、既存の技術を用いた本格的な火力発電所の建設にしても、計画立案から営業運転には10年以上かかるのがザラですし。
そうであるならば、あと数十年は嫌でも原発を使い続けざるをえないわけで、停止すれば全て解決みたいな態度は、反原発や脱原発を称える人間こそ取っちゃいけないと思うのですが、どうでしょうか？
……もっとも、そういうことを言うと、即原発推進派にカテゴライズされて、袋叩きにしようとするのが、反原発最大の問題だったりもするんですが。
エネルギー政策ってのは10年20年をかけて軌道修正するもので、安易な転換は誰の得にもなりません。まして、一部の政治家がパフォーマンスのために乱用していいものではありません。
岩谷産業が出した悲鳴めいた意見広告にしても、いい加減現実に目を向けて現状で唯一の選択肢に正面から向き合えと、中傷や脅迫のリスクを承知で出したものでしょうし、関西経済連合会の意思でもありましょう。
もうそろそろ、長期的課題であるエネルギー政策の転換と、短期的な問題である電力不足の解消を混同するのはやめ、後者をまずは解消してから、前者に冷静に腰を据えて取り組むべきかと思います。
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