田中防衛相は「踏み込み過ぎ」…年内着工に言及
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120115-OYT1T00488.htm
 田中防衛相は15日のNHK番組で、沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設について「着工が年内にできるかどうか、当面の手順になっている」と述べ、移設工事の年内着工に言及した。

 田中氏の発言は、県知事の許可を得て、滑走路建設のための辺野古沖の埋め立て工事を年内に着手したい意向を示したものだ。民主党政権で関係閣僚が着工時期に触れたのは初めて。

 田中氏は番組で「県民が納得し、理解いただかないと物事は進まない。(通常)国会開会前に知事と会い、力合わせができるように努力していく」と強調した。

 防衛省は、県に昨年末提出した移設を巡る環境影響評価書を、知事の意見書提示後に一部修正したうえで、6月をメドに埋め立て申請を行う考えだ。ただ、県外移設を主張する県側の説得を慎重に進めるため、政府は着工目標時期の発言を控えていた。政府内では、田中氏の発言について「繊細な交渉が必要とされる時期に踏み込み過ぎだ」(外務省幹部)と、沖縄の反発を懸念する声が出ている。
(2012年1月15日18時20分 読売新聞)

 もう正直『ま た か』って感想しか出てきませんが。なんでこー、閣僚が微妙な問題について軽々しく発言するのが続くのか。
 ここ2週間だけで山岡元消費者担当相の『ユーロ破綻、中国バブル崩壊』だの、安住財務相による『イラン産原油輸入削減』だの、軽々しく言っていいかどうかくらい、小学生でも解りそうな発言が続いています。
 閣僚の発言ってのはそのまま国の方針と受け取られがちですし、うかつな発言は市場への影響が大きくなりがちですし、選択肢を狭めることにもなります。また、閣僚の発言をすぐ後から総理や別の閣僚が取り消すってのも、とうの発言者だけではなく政府全体への信用を毀損することにもなりかねません。
 どーにも、鳩山政権時代からこの悪癖は改まりませんねぇ……。

 今回の辺野古の新基地年内着工にしても、沖縄側が強硬姿勢崩していない状況で言っても相手の神経を逆なでするだけで逆効果しか引き出せません。
 また、こいつはあたいの妄想に近いのですけど、裏で政府と知事が年内着工の方向で調整に入ってたと仮定した場合、この発言はどう作用するか……確実にぶち壊す方向にしか作用しないでしょう。
 長年の懸案を解決するために次回の知事選には出てこないであろう仲井間知事が交渉に応じ、埋め立てと新基地の建設に許可を出す気があったとしても、今回のような発言があったのでは交渉そのものが難しくなりますし(条件闘争すら認めようとしない強硬派もいますからね)。
 仲井間知事が普天間基地問題に対してどのような本音を持っているかは現状見えてませんが、今回の田中発言で国に対して怒る姿勢を見せなければ、支持を失いますから。

 すでに一ヶ月を切った宜野湾市長選の結果次第で、これまでの対決姿勢が崩れる可能性は割とあったんじゃないかと思ってたんですけど、田中氏のおかげで0に近くなったんじゃないかと思います。本人は自分の在任中に多少なりとも前進させようって意気込みからこんなこと言ったのでしょうけど、馬鹿なことを言ったもんですよ。


 恐らくは本人達には国益を毀損しようとか、国の動きを停滞させようって意思はないと思うんですけどね。自分たちなりにこうした方がいいってのをポロッと言ってしまっただけなのでしょう。
 ですが、往々にして善意溢れる無能者が問題をこじれさせるのも確か。
 閣僚全取っ替えが一番いいんですけど、それには解散総選挙による政権再交代が必要な以上、今しばらくは採れるオプションではありません。
 で、あるならば、取りあえずは閣僚全員に、政府方針でもない個人の意見を、軽々しく公の場で口にするなって徹底させるしかないんじゃないですかね?
 せめてその程度のリーダーシップくらいは見せて欲しいものですが……この程度すら無い物ねだりなのか。頭が痛い話です。


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