Japan's Neuclear Future: Policy Debate, Prospects, and U.S. Interests(pdf注意)より
日本の核開発の将来:
政策議論、展望と合衆国の国益

Emma Chanlett-Avery
アジア情勢専門家

Mary Beth Nikitin
核拡散防止アナリスト

Congressional Research Service
7-5700
www.crs.gov
RL34487


概要

 伝統的に国際的核拡散防止体制の最も重要な支持者の一つである日本は、核武装の否定を一貫して誓ってきた。にも拘らず、北東アジアで進展する状況、特に北朝鮮の2006年10月の核実験と、中国で進行中の軍の近代化促進は日本の仮想敵国に対する脆弱性と、それに伴う独立した核抑止力の開発に対する新たな疑問を惹起させる物であった。日本政界内部の核武装の可能性に対するかつてのタブーは、開かれた議論の場で熱心に説く数人の当局者やオピニオンリーダーによって破られたかのように見える。これらの要因に拘らず、短中期における核武装の選択を日本は追及しないという、日本と日本専門家間における強いコンセンサスは変わらないままではある。

 本論文は既存の民生用核エネルギー計画における技術的基盤を評価し、日本の核武装の可能性追求の展望について検討する。これは日本が現在の計画を軍用計画に変更するために、克服しなければならない問題の領域を調査する事となる。現在、日本は本格的な核抑止能力における必要条件のいくつかが、欠如しているように見える:爆弾設計の専門知識、信頼性のある輸送手段、スパイ防止の為の諜報計画、核実験場など。加えて、反対派の市民やエリートオピニオン、国内法と慣例による制限、否定的な外交結果による断念等を含む、日本の核兵器開発への法的・政治的な制約範囲における、伝統的な取り組みを分析した。

 日本の核放棄政策の再考や転換は、合衆国の東アジア政策に重大な影響がある。この報ruduction告書で取り扱う、日本の意思決定を推進している要素の調査し、合衆国の安全保障において最も重要な勢力である日本における核議論が、合衆国の地域内安全保障上の利益にどのような影響を及ぼすかを分析する。世界的に考えて、核拡散防止条約(NPT)からの日本の脱退は、世界で最も永続性のある拡散防止体制に対し、打撃を与える事になる。地域的に考えても日本の『核武装化』は中国と韓国、そして台湾の間における軍拡競争の起爆剤となりえる。それによってインドやパキスタンは、自国の核武装能力の強化や近代化を強要される事となるかもしれない。二国間関係に絞っても、日本が合衆国の支持なしに意思決定を行うならば、その動きは日本を防衛する合衆国の関与に対する、日本政府の信頼感の欠如を示している可能性がある。日米同盟の弱体化は、新たな覇権主義的大国としての中国の地位の強化へと変移し、東アジアの地政学的バランスを覆す可能性がある。これら全ての悪影響は、アジア太平洋地域及びその以遠の安全保障を、深刻な不安定化をもたらす可能性が高い。

 このレポートは状況により更新される。

(Part2・序文に続く)