The shipping industry seeks level playing field for Hebei Spiritより

海洋安全審判院仁川支部・韓国海洋安全審判院の海事専門家の知識の不足と、HebeiSpirit船員に対する偏見を示す5つの基本的な点とは?
巡る因果の猫車-ハベイ号損傷箇所Hebei Spiritの損傷箇所
サムスンのクレーン船No1がHebeiSpirit号に与えた損傷。9箇所に衝突し、3つの船倉に穴が開いた。網点を施された箇所は事故当時、空だったバラストタンク。

他の関係団体との協議を避け続けることにより、韓国海洋安全審判院(KMST)の専門家は、IMOの規定を無視し続けている。HebeiSpirit号の船長と航海士(彼らは一審の無罪判決の後、1年間韓国に拘留され続けている)の運命を決する、控訴審の1週間ほど前の公聴会において、IMST(仁川海洋安全審判院)はKMST中央部に対し『一審判決は明らかな誤り』として報告した。

(他団体との)協議もなく、IMO規定を無視して本日(2008年12月3日)作成されたKMSTの最終報告書が使用される控訴審が、1週間後に結審される。

これが公平な審判の場と言えるであろうか?

韓国海洋安全審判院の提出する最終的な報告書に、仁川支部が省略と偏見によって提出した見解を再び盛り込まないことを願い、ここにそれらの明らかな間違いを、我々の見解とともに提示する。


海洋安全審判院仁川支部の最初の判決における韓国の海事専門家の見解と、我々の見解は以下の通り:
(訳者注:以下、仁川支部の見解を黒ページ主の解説を赤にて表記)

「本事案である衝突による海洋汚染(以下『海洋汚染』)は、以下の要因により引き起こされた:天候変化に対する早期措置を怠ったクレーン船『Samsung No.1』は、2隻のタグボート『Samsung T-5』『Samho T-3』によって曳航中に悪天候に遭遇、その曳航能力を失い…

「SAMSUNG T-5」がHebeiSpiritの舳先付近を通過した際、「SAMSUNG T-5」は曳き綱が破断するまでその最大限の牽引能力を失っていなかった。また、仁川支部が上記で指摘したように、HebeiSpiritからの通報があるまで、当該海域における曳航船団の動きに対する警告はいかなる通信・信号においても為されなかった。

…操船不能状態に陥った。碇泊中のM/V『Hebei Spirit』号の至近海域での『Samsung T-5』の曳索の破断は、このよう海面状況にもかかわらず、他船への警告や緊急碇泊などの安全対策を採らないまま曳航を続けるという状況下で発生した。

『Samsung T-5』の曳索破断が衝突の根本原因である。当該海域で碇泊中のタンカーの風上側を通過中、曳索が破断した。衝突と汚染は分けて考えることは出来ない。タグボートとバージの全般的運用における、曳索の使用とメンテナンスの管理責任はタグボートの船長と船員にある。以上の点を考えるならば、『Hebei Spirit』の船員達に海上における管理責任は全くないと言えるだろう。

以下は衝突による海洋汚染の関連事項:『Hebei Spirit』には、外洋船用海域での碇泊中の警戒義務があったにも関わらずそれを怠ったせいで、海域状況の早期把握が出来なかった。

碇泊中の『Hebei Spirit』の船員達は適正な時間的余裕を持って、差し迫った海域状況に気づいていた。VTS/VHF(VHF通信を利用した船舶交通管制システム)の交信記録で示されたように、あらゆる警告よりも前に『Hebei Spirit』による措置は取られている。VLCC(タンカー)と泰安VTSからの呼び出しは、タグボート船員によって無視された。

このような状況下で『Hebei Spirit』は、機関を始動していなかったために極微速で後退しか出来ず、衝突は不可避となった。

『Hebei Spirit』の機関は衝突40分前に始動していたが、衝突前に錨索を伸ばして極微速後進をかけるのに、これは必ずしも必要ではなかった。また、衝突後のエンジンデータロガーの記録調査によると、微速後進・後進中速へのセッティングに成功していることが判明している。

その上、海洋汚染に対する危機意識の欠如により、衝突発生後に油濁防止緊急措置手引書の下に、積極的且つ適切な措置を施すことが出来なかった。

『Hebei Spirit』の船員達の行動は、長年の破滅的なタンカー事故の経験をもとに発達した、国際的なガイドラインに従った正しいものである。にもかかわらず、彼らは衝突の余波が続く中、韓国の当局者によって重油流出への対応不足を責められ続けてきた。

報告書は重油流出の前に取るべき処置を、以下のように示唆してるようだ:
a.クレーン船の衝突による『Hebei Spirit』の船殻状態の検証。クレーン船が20分に渡りタンカーの船殻を叩き、船首から船尾に渡って3箇所のタンクに穴を開けた。また、その20分間に、重油がタンクから流出を始めた。
b.クレーン船の船員の居場所と安全性のチェック。
c.どのタンクが破られ、どの程度の損傷かのチェック。
d.不活性ガスの損傷タンクへの注入による低爆発性の維持。船の安全性確保のため、船体構造の堅牢性のチェック

これらの措置には全て時間がかかる上に、サムスンのクレーン船がVLCCに衝突し続けてる間、船橋からは損害の確認をすることは出来なかった ─ 後知恵での指摘は的外れである。

VLCCの搭載機材から読み出された記録によると、衝突から30分以内に、4,000トン以上の原油(漏出量のほぼ半分)が海に漏出していた。すなわち、サムスンのクレーン船が船体に衝突し続け、完全に制御を失ったクレーンフックが、甲板から船橋にかけて激しく振り回されていた時間帯である。

海洋安全審判院の専門家が推奨した措置は…

a.原油を他の油槽に移送せよ(全ての油槽は98%の満タン状態)
b.積載用油槽が満載の場合は、空のバラストタンクに原油を移送せよ(配管系統は、互いに完全に独立している)
c.韓国の大学でのテストが示したように、VLCCが18度まで船体を傾斜させたならば、原油の漏出を止める事が出来た(船体は事故時約5度傾斜されており、風力階級6~7(訳者注:風速換算で10.8~17.1m)の風と、4メートルの高波に揉まれている状況下でのこれ以上の傾斜は、船の安定性を危うくするものであった。もし船が沈んでいたならば、漏出量は10,500トンでは済まず、200,000トンもの原油が漏出していたことになったであろう)


海洋安全審判院仁川支部提出の報告書の、紛れもない省略、あるいは誤解は海事保険証書と関係がある。

海洋安全審判院仁川支部の専門家は、航海の基礎知識として、保険証書の用語を使用した。これは保険監査と証書の役割に対する根本的な誤解釈である。彼らは保険監査への根本的な誤解を元に、曳航監査を論証しようとしたため、この航海の問題を決定的に履き違えることになった。

サムスン重工(SHI)が保険証書を取得する際に正規の手続きを取ったため、海洋安全審判院仁川支部はSHIが仁川からの航海の際、保険監査を手配しなかったという事実を無視した。

IMSTの報告書で使われていた曳航保険証書は、この海域を航海する合理性を証明する決定的要因とはなりえない。法廷審理と上告審の証拠として使われる独立調査は、巨済島への帰りの航海ではなく、巨済島から仁川への一度の航海をその対象としていた、

証書からは、その効力が証書発行日である2007年11月26日から7日間、巨済島からの一度の航海に及ぶのが見て取れる。

事故が起こったのは仁川からの帰還航海中の12月7日である上に、この証書は復路に関して一切の有効性を持たない。にもかかわらず、IMSTはこの明らかな事実を完全に無視している。


質問の理由は尋ねられるべきだろうか?

我々は韓国の司法機関が来週下す予定の判決において、この事件の真実の全てを表しているわけではない、サムスンと検察官による一方的な申し立てによる仁川/韓国海洋安全審判院の報告書を、採用しないことを望む。
-----------------訳ここまで

残念ながら、結果はサイト主さんが危惧されたとおり、サムスンと検察官による一方的な主張が通ってしまいました。せめて、6月に予定されているという最高裁では、IMOなどの専門家の意見を盛り込んだ判決が出るといいのですが。

…にしても、このサイトの情報が本当なら、サムスン保険なし…orz

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