陸の運送屋さんからのリクで訳した物を、こちらにも投下。誤訳などありましたらコメントにて指摘していただけると助かります。

The Hebei Spirit Incident-IOPC Fundより

Hebei Spirit
大韓民国 2007年12月7日
2009年2月5日更新の報告書


何が起きたのか?

2007年12月7日、209,000トンの原油を積んだ香港籍のタンカーHebei Spirit号(146,848総トン)が大韓民国の西海岸の泰安沖約5海里に碇泊中、クレーン船『Samsung No.1』に衝突され、約10500トンの原油がHebei Spiritから海へと流出した。

油濁は大韓民国の西海岸沿いにある、4つの地方のうち3つを汚染した。汚染除去作業は、汚染の影響を受けた海上と375kmもの海岸線で依然続行中である。大まかな原油除去作業は2008年3月に終了し、波浪洗浄法(訳注:surf washing。あってるか判りませんorz)・高圧温水噴射法を含む様々な技術を用いた除去作業の第二段階は2008年6月に完了した。遠方地域の除去作業は未だ続行中ではあるが、間もなく完了すると予想されている。

1992基金と船主の保険業者であるAssuranceforeningen Skuld (Gjensidig) (Skuld Club)は、除去作業の監督と原油流出による漁業・養殖・観光産業への潜在的影響を評価する、韓国との国際的監督チームを任命した。


補償機構:誰が償うのか?

大韓民国は1992年の民事責任条約(1992 CLC)と1992年基金条約の署名国であり、両条約は韓国の法の一部を成している。これらの条約の下、Hebei Spirit号事件で汚染損害を被った個人・企業・任意団体・公共団体は補償を受けることが出来る。大韓民国は追加基金議定書(※1)の調印国ではない。

現実的には、油濁汚染で受けた損失や損害によって生じた費用に対し、補償は支払わなければならない。全ての主張は証拠文書によって厳密に支えられるべきである─きちんと立証された主張は、そうでない物より迅速に処理されるであろう。

1992年の民事責任条約追加補償の下で船主の保険業者(Skuld Club)から入手可能な補償は、8977万SDR(9500万英ポンド)であり、さらに約1億1900万英ポンド(1億1323万SDR)までの追加補償が1992年基金から入手可能である。言い換えるならば、1992年の民事責任条約と1992年基金条約下で利用できる補償の総額は、2億300万SDR(3216億1899万ウォン乃至2億1400万英ポンド)となる。


Hebei Spirit原油流出事件による被災住民支援と海洋環境回復に関する特別法

韓国政府は、Hebei Spirit号事件の被災者への支援特別法が2008年3月に下院で承認されたことを、1992年基金に対し通知した。特別法の規定により、韓国政府はSkuld Cubと1992年基金から補償申請者に対する支払いを行う許可を得た。これにより被災者は、請求に対するSkuld Cubと1992年基金の損害評価を基とした、事故による損失に対する補償を全額手に出来る。特別法は2008年6月15日に発効した。

2008年6月、特別法により1992年基金とSkuld Clubが比例配分原則により請求者に対する補償を行う際、補償請求への1992年基金の損害評価額に対し100%の支払いが行われるよう、残りの割合を韓国政府が負担することを1992年基金に対し通知した。

請求事務所

1992年基金とSkuld Clubは、補償請求の迅速な処理を促進し、請求者の補償請求説明を支援するための請求事務所を、ソウルに開設した(『Hebei Spiritセンター』)。補償請求提出の案内を受けるために、Hebei Spiritセンターへの連絡が請求者に対し求められる。

連絡先は以下の通り:(訳注:連絡先住所ですので割愛)


補償水準

2008年6月、実行委員会は、基金の専門家によるHebei Spirit号事件に起因する損害額の事前評価において、潜在的な補償請求総額の不明確性を考慮すると、1992年民事責任条約と基金条約の下で利用できる補償金額を上回りそうである事を鑑み、補償水準を確立済み補償請求額の35%にすることを決定した。

2008年10月、実行委員会は、1992年基金の専門家による最新の流出損害総額予想が、5663~6013億ウォン(2億7200万~2億8900万英ポンド)の間であることに注目し、これに基づき1992年基金の補償水準を基金とSkuld Clubの損害評価額の35%に据え置くことに決定、次回会合において再確認される。


補償請求状況

2008年10月7日現在、提出された事故による補償請求総額は242,077,589,824ウォン(1億900万英ポンド)となっている。これらの請求のうち102件の損害評価額は339億ウォンである。残りの請求案件は評価額算定中であり、さらなる請求が予想されている。


事故原因の調査

2008年9月4日、海洋安全審判院仁川支部は、事故原因に関する裁定を下した。審判院はサムスンのタグボートとHebei Spiritの双方に衝突の責任があるとし、その後の法廷においてHebei Spiritの船長と当直航海士にも、サムスンNo1(クレーン船)との衝突に対する部分的責任があるとの判決を下した。

サムスン重工を含むタグボートの船長、Hebei Spiritの船長と一等航海士らの被告達は、中央海洋安全審判院に判決を不服として上訴している。


訳注:1992年基金は国際油濁補償基金(IOPC)のこと
※1:2003年5月のIMO会議にて採択された、海難事故被害者への補償額を現在の5倍に増額する国際油濁保障追加基金(International Oil Pollution Compensation Supplementary Fund)を設立するという新議定書