曲学阿世と劣化した国会審議 | 旗本退屈女のスクラップブック。
西村眞悟の時事通信


平成27年6月12日(金)

 ここのところ、原稿書きに没頭していて本時事通信を書けなかった。
 しかし、次の問題意識を以て、国政と国際情勢を注視していた。
 
 それは、
(1)南シナ海における中共の十二の人工島埋め立て建設即ち軍事基地造成は、
  海洋国家である日本の死命を制する重大事態である。
  従って、南シナ海における「航行の自由」の確保は
  我が国の「個別的自衛権行使」の領域にある。
(2)よって、我が国は、南シナ海の「航行の自由」の為に中共の埋め立てに対し、
   明確に中止を要求したアメリカに積極的な賛同を伝えるとともに、
   埋め立て阻止に向けた共同行動を申し出るべきである。
(3)この我が国のアメリカとの共同行動に際して、
  集団的自衛権行使は当然で、これなくして共同行動はできない。
(4)ドイツのエルマウにおける先進七カ国のサミット如何。

 ところがだ。
 アホな憲法学者が、そろいもそろって、
 集団的自衛権を行使する政府の提出法案を違憲だと議会で発言したものだから、
 もともとの反日・左翼連中が、半分驚き半分喜んで、得意の先祖返りではしゃぎだした。
 
 なにしろ、与党が国会に招いた参考人まで「憲法違反」と言うものだから、
 言うほうも、それを呼んだほうも、お前らアホかとしか言いようがない。あほらし。

 と、言う訳で、私の問題意識の(1)、(2)、(3)は、
 国会の先祖返りの議員諸侯の頭の中にはない。
 大阪には、二重行政は税金の無駄使いだから大阪市を廃止すると騒いだ者が大勢いたが、
 今こそ騒げよ。
 あんなアホに国会が占拠されている、税金の無駄使いや、と。

 ところで、
 曲学阿世
 という言葉を思いだそう。
 
 我が国の存立に関わる重大問題が南シナ海で起こり始めている時に、
 その事態に無関心なまま、
 国家の根本問題に関して、勝手に自分の「学説」を、学者でございと述べる。
 これを、曲学阿世という。
 国会に出てきたあの連中は、曲学阿世である。

 そもそも学者など国会に呼ばすに、眞の法律家を呼べ。
 眞の法律家とは、
 一瞬たりとも、この世に発生した具体的事態から目をそらせず、
 法を解釈してその事態に適用して妥当な解決策を生み出し、
 以て、「社会的正義」即ち「法の支配」を確保するものである。
 法の解釈とは、そういう実践的なものである。抽象的学説ではない。
 それは、斬れば血が出るような具体的実践である。
 あの国会に出てきた学者に、南シナ海の事態を如何にするかという問題意識があるのか。
 南シナ海の事態は、「憲法学」とは関係ないと思っている連中ではないか。
 
 与党は、大学教授の中から参考人を選ぶという旧来からの陋習を打ち破り、
 弁護士のなかから参考人を選んだらどうか。その弁護士も、日本人に限る必要はない。
 依頼者のためなら、命をかけるという
 ゴルゴサーティーンのような心意気のある弁護士を参考人に呼んだらどうか。
 また、政治は、国家から依頼されれば、命をかけるという法律家を養成する責務がある。

 次ぎに(4)、
 サミットのことであるが、
 安倍総理は、まことに良く奮闘して成果を挙げた。
 賞賛すべきである。
 あのAIIBに参加を表明したイギリス、フランス、ドイツを含めて、
 サミットで、ロシアのクリミヤ併合とともに、
 中共の南シナ海埋め立てに「強く反対する」と明確に宣言させたことは、
 画期的な業績である。
 
 そもそも、フランスとドイツは、意外にすぐに中共と手を結んで利を得ようとする連中なのだ。
 百二十年前の三国干渉を忘れるなだ。
 
 また、ドイツは、八十年前には蒋介石国民党政府の軍事顧問であり、
 優れた装備の近代的蒋介石軍を育成しつつ、
 蒋介石に「敵を日本に絞り込め」と進言し、
 日華事変後の本格的日中衝突の下地を造ったのはドイツ軍事顧問団である。

 国会は、アホな学者に付き合って、先祖返りしているよりも、
 安倍総理のサミットでの活動に
 「敬意と賛同の決議」
 でもしたらどうか。
 これをすれば、アメリカ軍も本気になるだろうし、
 中共も違う意味で本気になるだろう。
 つまり、日本を今まで通り甘く見ていれば怪我をすると思うだろう。

 さて、話題は変わるが、
 経営者で愛国者の人に意見を聞くのは非常に大切で為になると思った。
 何故なら、彼らは財界人や例えば台湾の馬英九総統などの対中姿勢を、 
 自分の体験から、直ちに具体的に見抜く材料をもっているからだ。

 馬英九の行動は、最近、完全に中共の習近平の対日姿勢と歩調を合わせている。
 抗日闘争に参加した経歴のある台湾人に勲章を授ける制度をつくったらしい。
 この馬英九の行動に関して、
 愛国経営者は、一言で私に言った。
 「中共から金をもらったんだ。間違いない」
 政権末期の馬英九は、総統の任期が切れれば、
 その金を持ってアメリカに飛んで、
 そこに住みつくかも知れない(金は、既にアメリカに送金されている可能性大)。

 また、日本の財界首脳が、時々、中共が日本を罵っている最中に、
 中共に大勢で伺い向こうの「大物」と懇談して帰ってくる。
 その理由、
 愛国経営者は言う。
 「彼らの会社が、中共に多くの会社をもっているからですよ」

 このような角度から見ると、
 財界人を駐中国大使にしたり、
 政府のつくる懇談会の有力メンバーにすることが、
 如何に危険なことか理解できる。
 相手の支那は、昔から、人の欲望と利害を利用して懐柔し、また、脅迫するプロなのだから。