猛暑が過ぎてナツが来た | 不倫の賞味期限 ≪猫と一緒にぽんちっち≫

猛暑が過ぎてナツが来た

9月18日土曜日の夜。

庭でにゃーにゃー鳴いていた仔猫を保護したという友人から電話が入った。

「今、うちの台所にいるんだけど、
うちでは飼えないし・・・
ぽんちゃん、見に来る?」

「すぐ行く!」

その日はたまたま猫好きの同僚が遊びに来ていた。

ミーに薬を飲ませてくれたN先生。

夫の反対を振り切って、N先生と一緒に友人の家にすぐに向かった。

仔猫は友人宅の台所で逃げ回った。

台所の隅の狭い棚の玉ねぎの上でシャーシャー威嚇。

小さい体でシャーシャー威嚇。

「捕まりそうもないね・・・」

友人が諦めかけたその時

「軍手とバスタオル、貸していただけますか?」とN先生。

N先生はバスタオルで自分の胸元を覆い、軍手をして仔猫に優しく語りかけた。

「仔猫ちゃんも人生の一大事でびっくりしているのよね。
大丈夫よ。出ておいで」

犯人説得の優しい婦警さんみたいだ。

しかし、仔猫は簡単には出てこなかった。

30分くらい膠着した時間が流れただろうか。

「今夜は無理かもね・・・」

友人が再び諦めかけた頃、N先生が仔猫を捕獲した。

仔猫はすかさずキャリーバッグの中に。

「もう猫はいらない。
もしも猫を連れてきたら、オレ、その猫捨てるからね」

と悪態ついていた夫のことがちょっと気になったけど、

玉ねぎの上で踏ん張っていた仔猫はこうして我が家にやってきた。

9/18緊張しているナツ
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玉ねぎの上で踏ん張っていたから「たまこ」でいいか。

私は仔猫に仮称「たまこ」と名付けた。

あ、

夫は一晩経ったらあっけなく陥落。

仔猫のことが気になって気になってしかたない様子で、

部屋の隅から出てこない「たまこ」のことを私以上に心配していた。

一週間近く経ってから、「たまこ」を見た高校三年生の息子が

「なんでこいつ、うちにいるの?」


「なんで、って・・・」

「なんでだよ。
ミーが死んだからってすぐに次の猫なのかよ!」

息子の語気は怒りで満ちていた。

「なんでだよ。
母さんはすぐにそうやって猫を連れて来て!」

「ちょっと待って!
母さんが連れてきた猫はたまこだけだよ。
あとは、ミーはぽん太、ナオはこぽん、キャンは友達、ベルはお父さんとぽん太とこぽんでしょ?
死んじゃった牛子はこぽんの友達だったけど」

「・・・・・・」

「あれ?
ぽん太、忘れちゃったの?
ベルを連れてきたのは母さんじゃないよ。
秋田のおばあちゃんちにみんなで行って、母さんが東京に帰る荷造りしているときに
『ベル参上ーーー!』ってぽん太たちが連れてきたんじゃない。
母さんびっくりだったわよ」

「・・・・・・」

「たまこ、母猫とはぐれちゃったみたいなのよ。
Fちゃんちの近くの駐車場でずっと鳴いていたんだって。
縁会って我が家にやってきたんだから、母さんはたまこを家族として迎えたいと思ってる」

「・・・・・・」

「どう?」

「・・・・・・本当に飼うの?
飼うんだったらたまこはやだ。
違う名前がいい」

「わかった。
じゃ、名前はぽん太が決めて。
母さんは『たまこ』じゃなかったら、今年の記録的な猛暑を乗り切って生き延びた仔猫に敬意を表して
『猛暑』もしくは『ナツコ』がいい」

「『ナツ』」

「『ナツコ』じゃなくて『ナツ』ね?」

「うん」

こうして仔猫は名前が決まった。

夫に遊んでもらっているナツ
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初シャンプー
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ナツ、夫の腕の中
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ミーの写真や動画を見るとまだまだ涙が止まらないけど、
猫で味わった悲しみを猫で癒されてもいる毎日。

猫共々これからもよろしくお願いいたします!