この頃、思うことをまた、少し書いておきたい。
横浜の若葉台という居住空間に移住して12年目の春がやってきている。
ここは県の住宅供給公社が肝いりで開発したマンション群の団地であるが、
もう30数年の時が流れている。
だから初めの頃の草分け住人も既に高齢化し、ほとんどが後期高齢者になっている。
しかし、素晴らしい事に此処に住む住民は意識が高く、自分の健康にも十分配慮している人が殆んどであり、実質的には健康な長寿者が多く、モデル地区にもなっているほどである。
最盛期には2万人以上が住み、小学校3校、中学校2校もあったというが、やはり、少子高齢化が進み今では小学校も中学校もⅠ校になっている。
この土地は山林だったようで、計画的に整備され、マンション群でありながら風通しは素晴らしく建物の間を緑が覆い.歩行者道と自転車道の散歩道が並行して設置されているのである。
だから、緑の樹々の中を真夏でも、ゆっくり快適に散歩することが出来るのである。
引越しして間もなくの頃はその散歩道をよく歩いていた。
ある時、ある場所で「自転車道」と「歩行者道」とコンクリートに書かれている筈なのに
オヤ?と思うことがあった。
「自転車道」はそのままの字が残っているのに「歩行者道」のほうは
「歩」の字が消えているのである。・・・なんとその道は「行者道」となっていたのである。
びっくりするとともに、凄いいたずらだ?と思って吹き出した。
考えてみれば・・殺伐としたコンクリートマンション群のこの団地が
本当は緑豊かな自然の中に存在している事をアピールするために
住民の誰かが、ここ若葉台は大都会の中にありながらも
大自然の中で行者が修業するほどの自然と緑豊かな場所である事を知らしめようとした
ユーモア溢れる悪戯?だったかも知れないと思った・・・。
あれから十年の歳月が流れ、それらの文字も消えてしまった・・・。
この横浜の若葉台はそれほど素晴らしい所である。
ここには横浜の地下鉄の駅も出来る筈であったというが、自然を大事に思う住民の反対でその計画はなくなった。
その代わりにバスのターミナルが出来て横浜市営バス、相鉄バス、東急バス、神奈川中央交通など4社のバスが相互に乗り入れており、
JR横浜腺の十日市場駅や東急田園都市線の青葉台駅、相模鉄道の三ツ境駅まで
直行のバスが5分以内に発着する最高のアクセスを持つ場所になっているのである。
JR横浜駅西口行の直行バスも1時間に2本も運行されている。
何より横浜市の高齢者事業として70歳を過ぎれば自分などは
7千円で一年間、これら全てのバスに乗車できる敬老特別乗車証がもらえるのである。
これは最高の制度であり、高齢者になった現在、乗車の度に感謝している。
さて、1丁目から4丁目まであるこの団地の中には自治会が数多く存在し、それぞれがボランティアで草刈りや樹木の手入れなどを行い、清潔で自然豊かな環境の維持に努めている。
ここは桜の名所でもあり、素晴らしい桜並木が存在する。
また、団地のそこかしこに花壇が作られ、今はもう、五月になったが、
つつじやサツキは最後の鑑賞の時を迎えている。
故郷、岩手県の五月は盛岡や大野、花巻など最高の自然が存在する。
そこで生まれ育った自分がその故郷を離れ、湘南のこの大団地に移住するなど
当時は思いもしなかった。
望郷の思いはこのコロナで人間関係が遮断された今、更に切なく思い出される。
しかし、この地にも素晴らしい自然が多くの人々の努力で残され維持され、
住む人々に潤いと活力を与えてくれている事に合掌する思いである。
若葉台4丁目(娘のマンション)から見た満月 2021年4月