引本:お前そろそろ本気で俺のこと褒めてくれや。
古田:マジで?
引本:頼むわ。
古田:まあ、そうですね。さっきも言ったとおり達者というか、器用なんですよ。だから僕がこういう風にボケてくれって伝えたら、イメージに近いようなボケ方をすぐしてくれたりとか、そういうのは助かりますよ。
引本:それそれ! そういうの待ってたんや!
古田:にやけすぎやろ! だから言いたなかったんや。
引本:すみません。ちょっとお願いがあるんですけど。
高田:何でしょう?
引本:今の相方の発言、着ボイスでもらっていいですか?
古田:家帰ってからなんぼでも言うたるわ。
引本:それじゃあかんねん。今の感じの今のトーンで俺のこと褒めてるお前がええねん。
古田:お前、相当気持ち悪いな。
高田:この辺りで学生時代のことについてお聞きしたいんですけど。
引本:すみません。それはNGで。
古田:なんでやねん。ちゃんと答えろや。
高田:古田さんは、どんな学生時代を?
古田:まず人と会話ができていなかったですね。
高田:今の古田さんからを存じていると、考えられない発言ですね。
古田:でも、ほんまなんですよ。極度の人見知りで。
高田:恋愛の方はいかがでしたか?
古田:好きな女の子がいたんですよ。それでなんとか付き合いたいと思って、勇気を出してその女の子にメールを送ったんです。『明日の昼休み二人っきりで会いませんか?』って。
引本:俺がその女の子やったら確実に断るな。
古田:お前は関係ないから黙っといてくれ。ほんで、その女の子が了承してくれて、いざ昼休み二人になったんですよ。
高田:理想的な展開じゃないですか? それでその後は?
古田:沈黙が三十分続きました。
高田:えっ?
古田:一緒にいたのに三十分間、一言もしゃべれなかったんです。これは気まずかったですよ。
高田:引本さんは学生時代の恋愛とかどうでした?
引本:僕も女の子が苦手で、本当にしゃべれなかったんですよ。でも全くしゃべれなかったわけではないですよ。
高田:何か思い出でも?
引本:ううん。B型。
高田:はい?
引本:今のは、僕が中学生の時に唯一、女の子と交わした会話です。
高田:ちなみにどんな質問だったんですか?
引本:女子が「引本の血液型ってA型やったっけ?」て聞いてきて、僕が「ううん。B型」って答えたんです。
古田:泣けてくるわ~。
引本:しかも僕B型じゃないですからね。ほんまはA型なんです。
古田:なんなんそれ? なんの嘘なん?
引本:いや、B型って天才と称される人が多いから、B型への憧れがあってん。A型ってたくさんいるし凡庸な感じするやん。
古田:お前もしかしてあれちゃうん? 普段しゃべらへんのをセンスあるように思わせたかったんちゃうん?
引本:そうや。悪い?
古田:悪いわ。血液型偽るな。
高田:古田さんは、かなり意識して性格を変えられた?
古田:そうですね。半年くらいかけてユーチューブでお笑いの動画見まくったりして、このままやったら一生、人とちゃんと会話できんようなるから、変えていこうって頑張りました。
引本:はは~ん。だからか。
古田:はは~んてなんやねん。
引本:相方の心の中にはね。まだ深い闇が存在しているんです。
古田:これはね。ちょっと否定できないです。
引本:なんか気分を害したりすると、一瞬で顔が『夜叉』になるんです。
高田:夜叉?
引本:はい。まごうことなき夜叉です。その時の相方を見て僕はこう思うんです。「また夜叉が出ちまったか」と。
高田:引本さんはまだ人見知りが残っていたりします?
引本:まだ大分残っていますね。
古田:だからね。僕は彼のメシアになりたいんです。人は変われるんです。
引本:夜叉が体内に巣食ってる人間に、こんなん言われたくないですよ。
古田:お前は夜叉にこだわりすぎやねん。
高田:お二人が仲良くされている芸人さんはどなたですか?
古田:何人かいてるんですけど、同期が多いですね。
引本:僕も同期が多いんです。『アイエイチ』や『蝉シグレ』とは仲良いですよ。
高田:お世話になっている先輩とかは?
引本:これがね。僕ら先輩に可愛がられないという大病を患っているんです。
古田:これほんまにそうなんですよ。
引本:だからこそ声を大にして言いたいんですけど、これを読まれた先輩方でもしご飯連れて行ってもいいぞっていう方がおられたら、ほんまに誘ってください。よろしくお願いします!
高田:最後に今後の目標をお願いします。
引本:近い目標で言えばサードメンバーになりたいですね。
古田:あと、やっぱり同期とかが結果出してるんで焦りはあるんですけど、焦っても良い結果が生まれないので、まずは僕らにしか出来ないことを見つけたいといのはあります。「あいつらしかできひんことやってるな」って思っていただけるようになったら、自然と結果もついてくるのかなと。
引本:まあ彼の話を分かりやすくまとめると、“僕らならではの笑い”をいち早く見つけることですね。
古田:お前、最後の最後にええとこ取りすんなや。
インタビュー・文 高田豪