左:今井将人 右:高見雄登
今井:確かに仲は良い方かなと思います。年齢さが3つあるんですよ。
高田:どちらが上なんでしょう?
高見:僕ですね。僕は今27歳です。
今井:3歳離れてるんで、高見が『お兄ちゃん的ポジション』で温かく見てくれているところはあります。
高見:実際の兄弟構成でも僕は長男で、今井は次男なんです。だから自然とそういう関係性になっていますね。僕が言ったことを反対せず付いてきてくれるところがあるんで、それは僕からしてもやりやすいですし、フォローせなあかん時は僕がフォローする立場に回っていますね。
今井:だから僕たち“絶妙なバランス”のコンビなんでしょうね。
高見:自分で言ったら台無しやがな(笑)。
高田:険悪になることもそれほどなく?
高見:そうですね。どちらかというと僕が『いらち』なんで、たまに爆発してしまうことはあります。
今井:逆に僕は怒ることがほとんどないんですよ。この辺りも“絶妙なバランス”ですよね。
高見:もうええって(笑)。
高田:お笑いのことをそれほど知らずにNSCへ入学された、とおっしゃっていましたが、芸人さんを目指すきっかけとかはありましたか?
今井:一応、僕は小学校の文集に『お笑い芸人になる!』って書いてんたですよ。めっちゃ恥ずかしいんですけど(笑)。
高田:そこからお笑い一筋?
今井:一筋ではないんですよ。中学、高校と教師になろうと思っていたんです。それで教育実習とかもちゃんと行きまして、これは教師になるしかないっていうところまで行ったんですけど、採用試験に落ちてしまったんです。そこで僕は思ったんです。「俺って実はお笑いがめっちゃ好きなんちゃうん?」て。
高見:それって教師の採用試験に落ちて初めて芽生えてきた気持ちやろ?
今井:実は(笑)。
高見:もしその試験に受かっていたら?
今井:絶対、教師になってたやろな。
高田:ある意味、そこが転機になったというわけですね。
今井:その通りです。「教師の試験には落ちたけど、別のところで受かった」って感じですよ。
高見:いや受かってへんやろ。
今井:教師の試験はね。まだあと十年くらい受ける権利があるんですよ。僕の実家が川魚の卸売業を営んでいるんで、いざとなったらそこに就職することも可能ですね。
高見:なんぼほど保険かけとんねん。
今井:保険だらけのお笑い芸人ですよ。
高見:全然それ格好よくないからな。
高田:高見さんはどうですか?
高見:僕はずっとサラリーマンになろうと思って生きてきたんです。予定通り就職しまして、営業マンをやっていたんです。しかし、僕だけ本当に売れないんです。毎週、毎週、売り上げの週報が出るんですけど、ゼロは僕だけでしたね。
高田:どうしてそんなに売れなかったんでしょう?
高見:それはね。売る気がなかったからですよ。
高田:それじゃあ、売れませんね。
高見:営業に出向くんですけど、相手に「いりません」て言われたら、じゃあいいかって感じでしたから。まあ絵に描いたようなダメ社員でした。その後リーマンショックがあったこともあって、結局やめることになったんです。
今井:何ごまかしてんねん。リストラされたんやろ?
高見:いやリストラではないで。特に世話になっていなかった部長に呼び出されて「君、この仕事向いてないんとちがうか?」って言われただけや。
今井:それは完全に「やめろ」言われてるやん。リストラみたいなもんや。
高見:その後、三ヶ月くらい“ヒモ”をしていたんです。会社の辞める間際に好きやった女の子に告白して、付き合うことになって、そのままその女の子の家に転がりこみました。それで彼女の実家から送られてきた米を勝手に研いで、勝手に炊いて、勝手に食べていました。
今井:この話聞いてていっつも思うんですけど、対してヒモらしいこともしてないんですよ。ただの居候やのに、格好つけてヒモっていうのが僕は凄く腹立たしいです。
高田:憧れのお笑い芸人の方はどなたでしょう?
高見:そんなにお笑いに詳しいわけでもなくこの世界に入ってきたので、何期か上の先輩を見た時に衝撃を受けましたね。特に30期の『ツートライブさん』
、『アイロンヘッドさん』
、『ダブルアートさん』とかを見た時に、こんな面白い人らがいてはるんやというのは感じました。多分、今井も同じだと思います。
今井:僕はやっぱりダウンタウンさんが大好きですね。
高見:なんやねん。なんでお前、そこで俺を裏切るねん。流れ読めや。
高田:コントに対する強いこだわりはお持ちですか?
高見:そんなこともないんですけど、最初に評価していただいたのが僕らのやる“コントっぽいもの”だったんですよ。
高田:厳密に言うと、コントではない?
今井:いえコントですよ。ただコントといえばコントとも言えますし、コントじゃないといえば、コントじゃない。まあ結局何が言いたいかといえばコントなんですけどね。
高見:何をややこしいこと言うてんねん。コント、コントうるさいな。
高田:周囲からの評価はいかがでしょう?
高見:『ライフバーナー』
の楠見なんかは「お前らのネタって面白いこと並べてるだけやん」って言ってますね。NSC時代にお世話になった大工富明先生からは「お前らのネタって道幅狭い道路をサイドミラーこすりながら強引に進んでいる感じがする」って言われました。
今井:やっぱり褒められると嬉しいね。
高見:褒められてないで。
高田:基礎的なことを知らない分、結果的に新しい笑いの形が生まれる可能性はないですか?
高見:意図してそういう風にできたら格好いいんですけど中々そうはいかないですね。あと僕らのネタって受け方が一定じゃないんです。かける舞台によって本当に受け方が全然違うんですよ。
(後編
へ続きます)